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先生の白い嘘

『先生の白い嘘』を1日に3回も見る(その後も数回見ました)というすっごく体力を使うことをした私の感想です。原作とかけ離れた表現があったりカットされた描写が多くあったのであくまでも今回映画『先生の白い嘘』を見た感想を一個人の目線で述べます。新妻くんメインでお話することになると思うけど全体も見つつ書きます。
※新妻くんのシーン全部ネタバレしてます
(最後に舞台挨拶にも触れるけどその部分は本当に自分用メモになってるのでツイートしてない部分も大量に書くと思います)

冒頭5分だけ視聴できるので良ければ↓


まず大きなテーマとされている男女について、私はここに出てくるどの人間にも該当しない人間だからこそ正直少し気持ち悪く感じました。最初は怯えてたものの快楽に堕ちる美鈴(原作ではそうではないですが映画の中ではこう表現されてた)も、女性を犯すことを俺がしてやってると表す早藤も、そんな早藤の行動を見て見ぬ振りして自分の幸せに貪欲な美奈子も、全員「女は弱くて可哀想だから」という考えが根付いているからこその行動なのかと思え苦しくなりました。この得体の知れない気持ち悪さこそが正しい感情なのかは分かりません。
新妻くんが現れるシーンは全て美鈴が美鈴でいられる時間なのかもしれないと見ていて思えました。素直に本音でぶつかってくれる新妻くんだからこそ美鈴が誰かになる必要がないんだろうな。コトリンゴさんのサウンドトラックで美鈴と新妻がなんだかほっとする空気に包まれて優しく一音ずつ奏でているのは2人の気持ちを表しているようです。新妻くんと美鈴先生が始めに本音でぶつかり合えたからこその関係なんだろうと思いました。涙を流してしまった美鈴先生にくしゃっとしたティッシュを差し出す新妻くんの姿が無垢そのものでこの子を傷つけるなんて、、、という過保護おばさんの気持ちになりました。猪狩くんが演じる新妻くんは自分の殻に閉じこもってしまい世界中の人間全てが敵に見えるような表情で震えていることが多く、美鈴先生が一筋の光だったんだと全編通して思えました。

私的に新妻くんのシーンで印象に残ったシーンがあって、 初めて美鈴先生の家に行ったシーンがずっと忘れられません。同じ人結構な人数いると思うんだけどどうなんだろう。猪狩くん的には雨に濡れながら先生を待つシーンが見所らしいんだけどね。このシーンで初めて新妻くんが自分は「男」で「女」である先生に恐怖を与えうる存在なんだ、と気づきます。自分が先生を守るために渡した防犯ブザーによって先生を怖い目に合わせてしまう、なんとも皮肉なことです。防犯ブザーをわざわざ先生のたまに買っていて鞄から急いで取り出して「本当は俺が助けに行けるのが1番良いんですけど、、」って言いながら左手(猪狩くーーん😭)で自分の電話番号を書く新妻くんはちょー可愛かった。その後の防犯ブザーがなってからの勢いが地獄のようでした。6年前の早藤に無理やり犯された描写を映してからの同画角の新妻くん。新妻くんが、怯える美鈴先生を見て、自分がしてしまった事の重大さを感じると共に自分の掌を何か得体の知れないもののように見る表情が見ているこちらまで苦しくなりました。奈緒ちゃんのパニックになって過呼吸になる演技が上手だからこそ見ているこちらも同じ気持ちになり苦しかった。新妻くんの取り返しようがない酷いことをしてしまったのだと反省すると同時に恐怖の感情が湧き出てくる様子もこちらの不安を煽るものでした。押し倒し美鈴先生の息が荒くなり、美鈴先生が危険視して怯える対象としていた「男の人」に新妻くんがなってしまう瞬間でした。他にも、新妻くんが直接出てくるわけではないけれど、美鈴と美奈子が本音で語る病院のシーンで美鈴が「彼が本当に大切なの。傷つけたくないの。」と話す姿は非常に印象深かったです。その後の美奈子の「美鈴は彼に大切にされているんだね。」の一言にも様々な感情が込められているように感じ取れました。

新妻くんのお部屋が映るシーンはリアルな男子高校生の部屋って感じで趣味の物がたくさんで可愛かったです。(身内の男子高校生もあんな部屋で暮らしてる)美鈴の家の前の公園で猫に餌をあげていたり、部屋に猫缶が積まれていたりする表現があったため新妻=猫という認識を与えようとしてるのかなと思ってニヨニヨしてました。誰にも心を開かずクラスでも少し浮いた存在の新妻くんが同じ痛みを待つ美鈴に懐く姿は猫そのものなのかも。

電話のシーンで急に新妻くんがタメ口に変化していて罪な男だったことだけここに残しておきたい。「なんで非通知なの?公衆電話?番号知られたくないの?」の先生に怯えられていることを察して震えながら聞く姿は心が痛くなりましたが、聞き方がメロくて私はそれどころじゃなかったです。
先生がこんなにも「男」に怯えているのに何もできない自分が悔しい。先生の敵が「男」ならその男である自分も許せない。と語る新妻くんには何か覚悟のようなものを感じました。その言葉を受けて美鈴先生が新妻くんへの恋心を自覚する描写は心を痛めました。私の敵は「自分」なの。と思わず本音が漏れてしまう美鈴先生。
美鈴「あと10円あれば私はきっとこう言っていただろう」
新妻「会いたい」
で2人の気持ちが通じ合ったぞーーーー😭😭😭とパラダイスでしたが作中は大雨で苦しくなりました。私の気持ちは快晴だったのに。新妻くんが待ってたんだろうなと分かる猫缶を大切そうに拾い上げ新妻くんが座っていたであろうベンチに座る美鈴先生はそれまでとは何かが決定的に違う、優しい恋をした女性の姿になっているのが見て取れて感動しました。ここは本当に奈緒ちゃんの演技力に圧倒されました。

作中に雨の描写が多かったのは登場人物みんなが持つそれぞれの暗い感情を表していたのかなとか考えました。ホースで濡らされその上3月の寒い気温の中ずっと雨に打たれ続けてブルブル震えている新妻くん(ほとんど素の猪狩くん)シンプルに寒そうで話入ってこなかった。あんな色んなシーンあって選ぶ見どころここじゃねえだろ!とか思いつつも良いシーンでした。

キスシーン触れるか否かすごく迷うんだけど、繊細な気持ちを表してる部分だと思うしキス前の言葉が印象的で大好きだったので意を決して書きます。

キスシーンを詳細に書くほどの勇気はないのでそこは劇場、もしくは円盤で見てほしいんですけど、前文にも書いたような「新妻くんが美鈴先生を押し倒してしまい公衆電話での会話、美鈴先生が新妻くんへの恋心を自覚した後」ということを頭に入れて読んでください。
詳しい経緯は省きますが、瀬波くんと美鈴先生が初めてきちんと向かい合ってお互いの気持ちを確かめるように話すシーンが魅力的でした。前文で示したようにキス前の言葉(ツイートもしたけど)を残します。
新妻「先生、これは暴力ですか?」
美鈴「暴力じゃなければいいのに」
と優しい顔をしながら大切な存在を壊さないように、このまま時が止まってくれと切に願うようにキスするのが、私の稚拙な言葉で表すのも烏滸がましいほどの魅力的なシーンでした。今思い出すだけでも感情が昂って泣きそう。激しいキスをしたり何度も唇を重ねたりするわけでもなく、一度触れ、しばらくそのまま時が止まったかのように優しくキスをし、離れた後も2人で見つめ合う。その一連の動作が美しすぎて初キスシーンがこれで本当に良かった、、、と思えました。(1度目は普通に耐えられなくて顔歪めながらお友達の腕握って泣きましたが、2回目からはしっかり考えながら見られるようになりました成長、キスシーン後の猪狩担みんなその後の早藤と同じ挙動になったはず)

すみません。全然キスシーンについて書けました。てか書き足りないくらいなんですけどあまり書きすぎても円盤で見る予定の方が面白くなくなっちゃうと思うのでこのくらいでやめにします。

あまり書きすぎてもあとで読みにくいかなとは思ってしまうんですけどあとちょっとだけ、、、新妻くんのこと全部書きたい、、、、

新妻くんが初めて誰か(美鈴先生)のために動いた場面。新妻くんから見えた、美鈴先生の最大の脅威であり諸悪の根源である早藤との対面。早藤は人の心がないような場面も多く観ているこちらも憎悪や嫌悪の感情が止まりませんでした。そんな早藤との対決で新妻くんは結局何も言えずじまいです。美鈴先生のために俺ができることは、、と新妻くんなりに考えて行動したはずなのに結局(新妻くんからすれば)何の意味も持たない行動になってしまった結果が辛かったです。

新妻くんが久しぶりに会った美鈴先生は目を向けるのも辛いような姿になっていましたがどこか晴れやかな表情でした。そんな美鈴先生に新妻くんは想いを伝えます。(これは映像で見てほしいので詳しくは書きません)最終的に美鈴先生は学校を去りますが最後に新妻くんと対面ではないものの会話することができ、幸せだったのかな。音楽が大きくなり泣き崩れる新妻くんと振り返らずに去っていく美鈴先生の対比が辛くも美しくもあり印象的でした。音楽が大きくなった時、美鈴先生が新妻くんに「ありがとう」と言ったように私は思えたんだけど詳しく覚えてないからはっきりとは言えないな、って感じ。
このまま2人がそれぞれの道を歩んで終わるのもそれはそれで綺麗な終わり方だったと思うけどラストシーンで涙止まらなかったです。植木屋さんが来た時に、将来はお爺ちゃんのような植木屋さんになりたいと話していた新妻くんを思い出してもしかして、、、、と思いましたがそのまさかで手叩いて騒ぎそうになった。髪型似合ってなさすぎて頭抱えたけどそれ抜きにしたらまじで涙出るしお祭り状態だしで感情大忙し。あのあと新妻くんと美鈴ちゃんが「生徒と教師」ではなく「男女」としてこれからの道を歩んでいければなと切に願います。

結局色々書いたけど時系列、劇中の順番バラバラの駄文ですみません💧映画見たら何が言いたかったのか少しは理解してもらえると思います、、初めての外部の作品への出演、そして豪華すぎるキャスト陣に囲まれてこちらとしても口から心臓が飛び出そうな気持ちでしたが猪狩くんが「新妻祐希」としてこの作品に関わることができて、本当に、本当に良かったです。この作品を簡単に人にはお勧めできませんがぜひみなさん一度でいいから鑑賞していただけると嬉しいです。本当に素敵な作品をありがとうございました。全ての人が自分を、そして周りの人を大切に生きられますように。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。

ここからは舞台挨拶の話です。猪狩くんの挨拶や作品に関わった方たちへの話になるのでここは後日書きます。
猪狩くんの挨拶で印象に残った言葉だけ簡単に書いておきます。ここの感想は後日。

「僕は、新妻のことを一生本当の意味で理解できないし、理解した気になってはいけないっていうのをずっと思いながら演じていた」「何かしてあげられることはないか、その答えはきっと無いんだけど、そのことを多くの方に感じていただけると嬉しい」