長年の銀河英雄伝説ファン

高校の頃から結構SF小説が好きで、その中でも特に名作と思うものの中に「銀河英雄伝説」というのがあります。この小説は田中芳樹という人が大学院時代に書いたものらしく、文章や表現は多分それほど磨かれてないと思うんですが、今だにいろんな出版社から売り出され、通常の小説ではあり得ないほどのロングヒットとなっておりモンスター小説などとも呼ばれています。しかも、いつぞやかはタカラヅカのタイトルになっていたり、他の舞台でも河村隆一が主人公の一人を演じていたりして、ちょっとたまげたものです。
さて、なぜこんなネタを?というところですが、体罰などの問題と絡めて最近よく語られるリーダー論について、この作品から面白い対比が見られます。長くなりそうですが、若干説明を入れますと、二人いる主人公のうちのひとりがヤン ウェンリーという人物で、自由惑星同盟という国家の一つの艦隊を率いる司令官です。この人物、ケンカなど闘いが苦手で口を開けば辞めて年金暮らしがしたいという、独身の冴えない男ですが、こと戦争になると無敵でミラクルヤンとかマジシャンヤンなどと呼ばれています。ヤンが首都星から遠く離れた前線にいるときに首都でクーデターが発生、内戦状態となりヤンは首都に向かって進撃、クーデター軍との決戦となります。もちろんクーデターにも理由があるわけで、大義のもとに国家のために行動を起こしたものの、ヤンの立場、考え方と相容れず対決せざるを得なくなります。その時のやりとりです、まずクーデター側の司令官が自らの将兵に檄をいれます。以降のやり取りの前に前段の会話があるのですが端折るのでちょっと極端に聞こえますが概ね次のようなものです。「国家の命運はこの戦いにかかっている。国家の命運に比べれば個人の自由や権利などは小さなことである。我々の理想や大義のため一層奮起し命をかけて戦って欲しい」一方、ヤンは「今から戦いが始まる。つまらない戦いだが、だからこそ勝たねば意味がない。な~に、懸かっているのはたかだか国家の命運だ。個人の自由や権利に比べて対して価値のあるものじゃない。勝つ算段はできているから諸君は気楽にいつも通りやってくれ」とまあ、この対比です。どう思いますか?
以前から問題になりつつも定期的に話題になる体罰やらパワハラやらのネタ。リーダー論なんて、私の様なしがないサラリーマンが言うのも何なのですが、やはり人格やら経験、いわゆるリベラル・アーツの様なものが現れるのではないでしょうか。
それにしてもヤンの言った様な台詞、死ぬまでに一度くらい言ってみたいものです。

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