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22-23 ラマシア総評(cadete B編)

最初は数年後かに自分が見返すのを目的で書いてたけど、前回のU14の記事に興味持って読んでくれた人が存外に多くて、めっちゃ嬉しい。
モチベーション1000倍⇧⇧

前回のはこれ


今回は前回紹介したinfantil Aの一つ上のカテゴリーcadete B。


ちなみにカテゴリーの区分けはこんな感じ

https://blau-grana.com/fcb/cantera.htm より


・成績


リーグ優勝30試合中28勝2分0敗 得点105 失点13)   

KDB cup優勝(バイエルン、シティ、パリ、マドリー、アヤックス、ライプツィヒといった国内外の強豪が参加した大会。シティ、ブルージュ、パリ等を下し優勝)

(自分が見た範囲)

<リーグ成績上位比較>

圧倒的強さで無敗優勝


〇 リーグ戦個人成績(全30試合)

  • 得点トップのモンスターは置いといて、個人的には中盤起用が多いPedro Rodriguez と Pedro Fernandez の2人が10点以上決めてるのが素晴らしいと感じた。やっぱ点取れる中盤はありがたい。


・印象に残った選手


このカテゴリーも皆それぞれ違った良さがあり、リーグでの対戦相手と比べても全体的にレベルが高かった。その中でもパフォーマンスが際立っているのに加えて、これからの成長が一段と楽しみな選手を挙げる。


▸Antonio  Fernandez(CF,RWG,CMF)

スペインの名前事情知らないけど多分愛称がToni Fernandez。
ハンサムな得点力お化けレフティ。ただ、彼はゴールだけでなくアシストも多い。9番の得点力と10番のチャンスメイク力を両方備えている上に、大外での一対一でも怖さを出せる。基本的に前目の選手にやって欲しいこと大体できる印象。

タイプ的には9.5番。前線にいるときには常に相手の最終ラインと駆け引きをして、見事なランニングで味方のボールを引き出しゴールに迫る。そしてスペースの有無や自分をマークしてる相手選手の状況次第で主に右サイドのハーフスペースとバイタルエリアが重なる部分や大外に流れてボールを受ける。そこからは高精度なクロスやスルーパス、ドリブル突破など多彩な方法でチャンスを生み出す。

彼の凄いとこは頻繁に中盤に降りたりサイドに流れてボールを引き出すが、毎回最後のフィニッシュワークの部分にちゃんといるとこ。さっきあそこでボール捌いてたのに、いつの間にか中央にいて点とってたみたいなことが多々あった気がする。

元々下のカテゴリー(確かU12)でもゴールを量産していた選手で、コロナによる中断が無ければそのカテゴリーの最多得点記録(アンスか久保かパブロモレノ)を更新していた可能性があったらしい。

そのため、シーズン初期から彼には注目していたが、序盤は間違いなく上手いんだけどストライカーとしてゴールに迫る恐さがやや欠けている印象があった。
しかし、いつの間にやら上半身はごつくなってるし前でボール受ければ常にゴールの匂いがするしで、まさに求めていたストライカーに進化していた。元々キックが上手いのもありFKもPKも◎

怪物感が日に日に増している。個人的にここ数年見たラマシアのCF中で一番期待できそうな選手だと感じた。

既にかなり有名な選手だが、来季のリーグ戦での活躍次第ではユースリーグに呼ばれる可能性も非常に高いため、そこでのパフォーマンス次第で一躍ラマシアのトッププロスペクトとして躍り出るかも。
Twitterに沢山動画があるから是非見てみて欲しい。



▸Pedro Rodriguez(CMF, DMF)


今季トニと共にチームの中心だったペドロ三人衆(ロドリゲス、フェルナンデス、ビジャール)の一人。真の意味で中盤全部できる。あんまプロの選手に例えたくないけどバルセロナ時代何でもやってくれたラキティッチ感。

底では正しくチームの軸となり、シンプルなプレーで前線のキープレイヤーにボールを供給する。また身長は特筆して大きくないが体幹が強く、デュエルの勝率も高い気がする。ピボーテとしては静的な部類で必要以上に動かない。

それに対してボランチの彼はとにかく動く。ボールを持てば動きながら周りの選手とパス交換を繰り返しリズムを作ると共に相手の陣形を少しづつ崩していく。また、スペースの認知に優れており、空いてるスペースを使うのも非常に巧み。中盤やサイドに動いてボールを引き出すCFのトニと、空いた中央のスペースを活用するペドロロドリゲスの相性は抜群だったと思う(トニの部分にある動画や下の得点シーンみたいな感じ)。

中盤の汗っかきとか運動量豊富っていう評価の選手を聞くと、個人的に「足元のテクニックはあんまないけど、一生懸命走る選手なのかな。」という風に考えてしまう癖があるのだが、彼はその辺もちゃんと上手い。

正直欠点らしい欠点はなく、ゲーム的な例えになってしまうがあらゆるパラメーターがその世代のMAXを100としたときの85という感じだった。
現状でも非常に素晴らしいが、これから先トップチームを目指すのなら得点力、チャンスメイク力といった攻撃面で違いを出す能力の何か一つでも良いので100かそれ以上に出来れば、より明るい未来が待っているのではないかと思う。


▸Pedro Fernández(CMF, LWG)

後述するPedro Villarと共にVal Miñorから今季新加入した攻撃的MF。

下の写真左がPedro Fernandez、右がPedro Villar。彼らが来たことで中盤が全員ペドロになってしまい、最初の方はBarca tvで実況している方もちょいちょい言い間違えたり混乱してたのは面白かった。

抽象的になってしまうが、一目でセンスがあるなと分かる選手。一々「うまっ」て声が出るプレーする。足元のテクニックはがずば抜けているのに加えて、視野も広く、逆足でのプレーも苦にしない。

基本的にどんな状況でも落ち着いており、淡々と凄いプレーをする。昔プレー集で見たラスパルマス時代のペドリっぽいかも。
細かいタッチに加えて相手の逆をとる意識が非常に強く、中盤ではドリブル突破だけでなく相手とタイミングをずらしてのスルーパス、左の大外でもカットインと縦突破の両方で脅威になれる。

下のカテゴリーでテクニックがずば抜けてる選手だと味方を使わず全部自分一人でやろうとする王様タイプや、自身のアイデアは豊富で味方を使うのは上手だが味方のアイデアに合わせるのは苦手なタイプを結構見るが、彼は非常に合理的で自分で出来そうなら自分でするし、無理そうなら味方を使う。そのため、不必要なロストが少ない。また、意図を汲み取って味方のプレーに合わせるのも得意。クレはこういう選手好きそう。自分は好き。

こういうアイデアの豊富な選手が一人でもいると何となく見てても楽しめるので、気になったら是非見てみて欲しい。
技術的な面で言うことは何もないので、身体の成熟によって技術レベルが落ちないままアジリティが上がれば最高。

ちなみに試合中は怖いほど冷静だが、大会で優勝すると年相応のはしゃぎ方をする。とても良い。
来季の上のカテゴリーの状況次第ではトニと一緒に飛び級もありそう。



▸Pedro Villar(DMF, CMF, CB)

今季新加入。新加入+シーズン途中から怪我で離脱したことが原因だと思うが、能力の割に知名度が低いなと感じる選手。

今季新加入ですぐにピボーテとして定着。2つ上のカテゴリーにヴィッセル神戸との試合でお披露目されたパウプリムがいるが、結構彼と似てる。

首を振る回数が多くボールを持ってる時も常に顔が挙がっているため認知力が非常に高い。プロの試合でもよく見る相手がインターセプト狙っているのを認知できていないが故のボールロストみたいなのがない。そして、味方の裏抜けやボールを引き出す動きも見逃さない。また常に周りへのコーチングを行い自分がボールを受けるだけでなく、自分が囮となりマークを引き付けて他の選手にスペースを提供する等、プレーから賢さが見て取れる。

あと右左どちらの足でもタッチやキックの質が高い。

相手を押し込んだ状態でボールを持つとワクワクするピボーテと言ったら何となくイメージできると思う。ブスケツがよく相手を押し込んでる試合で、味方の抜け出しにジャストなボールを出していたと思うが、ああいうプレーが多く、選手と選手の足の間を通るパスや相手の頭上を越えてく浮き球のパスも正確。

自分でも書いててちょっと褒め過ぎな気もするが、新加入で前情報が全くなかった状態で見て直ぐに好きになった選手なのでやむなし。
ネガトラでの潰し性能と本人は結構狙うが中々入らないミドルシュートの精度が上がると嬉しい。

リーグの優勝が決まった時、怪我で松葉杖をついてたのにも関わらず、飛び跳ねて喜んでる姿がかわいかった。来季もっとブレイクしろ。



▸Madou Murcia(CB, LSB)

心技体を備えるレフティのCB。結構攻めっ気の強い今季のカデーテBを最終ラインから支え続けた番人。前述した4人と並んで世代別代表の常連。

後方の広大なスペースのカバーや、相手CFにボールが入る瞬間に体をぶつけてバランスを崩しボールを奪うなど、卓越したフィジカルとアスリート能力を存分に活かした守備で最終ラインの中心的存在であった。

前線のプレスに苦しんだ相手が何とか繋いで裏のスペースへ出したボールを悉く回収し、ひたすらにカウンターの芽を摘むのが一時期定番化していて、少し相手に同情することもあった。

ダイナミックな守備が持ち味の彼だが、保持時はその逆で繊細な足元の技術が目立つ。パスレンジやパス精度共に申し分なく配球能力もトップクラスである。また後方でボールを持つことを恐れず、相手のプレスにも動じない。

シーズン中に何回かLSBでの起用があり、そこでは持ち味の守備に加えて、ダイナミックなオーバーラップ、高精度なクロスでチャンスを創出していたのを見て驚いた思い出。


・他の子


▸Iker Rodriguez(GK)
守護神。試合を通してほとんどボールを握れるチームであるため、相手の決定機自体少なかったものの、その少ない決定機もしっかり止めていた。ボールを繋ぐ意識と技術が高いのが非常に良い。世代別代表の常連。


▸Samakou Nomoko(WG, CF)
前評判が高く期待していたエストレーモ。実際その評判通りのプレーもあったが、ゴールやアシストといった数字は思ったよりも残せなかった。
ただ、自分の形に持って行けた時のドリブル突破はやはり目を見張るものがあり、中央の味方やラテラルとの連携もスムーズにこなしていた。来季は抜いた後のクロスやシュートの精度が安定するとよりこわい選手になれるかも。

ラマシア(特に男子の成長期と重なるカテゴリー)のエストレーモ陣全員に言えることだが、年を重ねるごとに相手の身体能力や身長も上がり、今まで抜けていた場面で相手の足にボールが引っかかって抜けないみたいなことが多く苦戦していた選手が非常に多かった印象。今季のヤマルは例外。

今季苦戦してる中で何かしらの光明をつかんでくれたら嬉しい。

▸Sidney Delgado(WG)
プロフィール的には前述したノモコに似ている。強みであるドリブル突破に加え、今季はゴール数もトニに次ぐ13ゴールとなっており、サイドでの突破と得点の両方をこなしていた。もう少し身体が成長し、相手に当たられても軸がぶれなくなれば素晴らしい。


▸Raul Chirveches(CB)
良い意味で目立たないレフティのCB。クレなら悪目立ちしないCBのありがたさがよく分かると思う。今季コンビを組むことが多かった相方のムルシアがダイナミックだった分あまり目立ちはしないが、自分のやるべきことを保持非保持両面で淡々とこなしていた。守備では穴にならず、ビルドアップも非常にスムーズにこなす。


▸Pol Bernabéu(RSB, CMF)
賢さとテクニックを備えたラテラル。ラテラルだけでなくボランチも出来る技術力があり、中盤で使われることもあった。FWの裏抜けに合わせて後方からボール出すのも、相手ぺナルティエリアの角あたりから上げるクロスも上手。シーズン途中で理由は分からないが試合に出てない時期があったが、ほとんどの試合で高パフォーマンスだった。中盤の選手や下りてきたトニとパス交換しながらラテラルの位置から中央に突撃するの好き。


▸Juan Pablo Galbarro(RSB)
ドリブル小僧がラテラルになったみたいな感じ。足元のテクニックは高くて面白いが、判断力や守備など改善は必要。

▸Nil Teixidol(LSB)
中央にスペースがあれば、大胆で勢いのあるドリブルで積極的に中央に侵入していく面白い選手。またドリブルは大胆だが、器用さもあり狭いスペースをそれほど苦にしない。走力があるため、被カウンターで相手FWにちぎられる場面はあんまし見たことない。


▸Adam Argemí(CMF, DMF)
Theラマシアの中盤って感じの選手。小柄だがテクニックがあり、時々驚くプレーを見せてくれる。時折見せてくれるアウトサイドでのパス好き。フィジカル問題がこの先もありそうだが、それをどう乗り越えるか。
でかいやつに負けるな頑張れ。

Adrián Guerrero(CMF, LWG)
前述したペドロフェルナンデスと似たタイプの攻撃的MF。質は若干劣っている気がするが、似た働きが可能。2人の併用は少なく、代わる代わる出ていた気がする。中盤でためを作れる選手。

・雑感


大体どのカテゴリーも良い選手が揃っているポジションとそうでないポジションがあり、中盤の支配力はあるけどサイドの突破力が無かったり、後ろは守れてボールも繋げるけどチャンスメイクができる中盤がいないという風に一長一短な部分があった。

しかし、cadete Bに関してはそれとは異なりとにかくバランスの良いチームという印象を受けた。前には得点力があるCF、サイドには突破力のあるWG、中盤はそれぞれファイナルサードでの仕事が得意な選手とボールを動かしてテンポを作れる選手、前線に安定して質の高い球を供給できる選手がいて、最終ラインには守れて繋げる選手が揃っていた。この部分が圧倒的な強さで今季無敗優勝を成し遂げられた要因なんじゃないかなと思う。

リーグ戦ではほぼ毎試合相手陣内に押し込んで攻め続ける展開。そうなると当然崩すのは難しいため、相手によっては守備を崩すためにかなりの人数を攻撃参加させていた気がする。場合によっては、ラテラルが中央の選手とワンツーしながら突っ込んでいくなど中々プロでは見られないこともしていて面白かった。一見ハイリスクに見えるが、そういった場合でも後ろにムルシアが準備しているためカウンターで沈むみたいなことはなかった。

また、ポジション問わずネガトラの意識が高く、相手が半端に繋ごうとするものなら囲んで奪い、そこからトニを筆頭としたショートカウンターで点を取ることもしばしば。

相手を崩す上ではやはり、トニの下りてくる動きとそれによって空いたスパースを他の選手が使うのがキーになってた気がする。

ボランチの組み合わせとしては
①ファイナルサードでの仕事が得意なタイプ(ペドロフェルナンデス or アドリアンゲレーロ)
+
②ピボーテ的な働きも出来るタイプ(ペドロロドリゲス or アダムアルジェミ)
という風にある程度起用するタイプが決まっており、ソロピボーテでのボール前進が厳しいときは②の選手がドブレピボーテ気味になり、そのスペースにトニが下りてくるという風なことが常に出来るようにしていたと思う。

見れていない大会もあるが、出場した全ての大会で優勝か準優勝を収めており、スペイン国内外の強豪クラブと比較しても優れていると胸を張って言えるチームであった。


次回は豊富な中盤のタレントとラマシアトップのチーム成熟度を誇り、cadet B同様無双状態だったcadet A



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