見出し画像

academyまでの180日間 day28

今朝は7時半起床。9時間睡眠。ばつの悪い夢を見たけれど、なぜだかひさびさにすっきりとした目覚めで嬉しい。今日から恭平さん仙台だ。仙台どれくらい人集まるのかな?東北はわたしは未踏の地。でも新潟より仙台が先だったらもしかしたら行ってたのかも。機会が来たら行きたいな。

起きてすぐ「何がしたい?」と自分に聞いてみた。そんな風に問いかけるのは久しぶりだ。ゆっくりスキンケアしたい。好きな服に着替えて部屋をきれいにしていい香りにしたい。それから絵を描きたい。依頼の絵と、自分の好きな絵と、一枚ずつ……。いつものブックカフェにも行きたい。いろんなことがフツフツと湧いてくる。今日は休みなので、やりたいことを全部やろう。

とはいえ気分はころころと変わるので、朝はギターで遊んだ。久しぶりにエレキギターをアンプに繋いで鳴らしてみた。カネコアヤノに憧れて買ったsg(クワガタのような形をしたギター)でカネコアヤノの音楽を弾く。"気分"のコード進行が好きで何度も弾いた。それにしてもB7って、なんでこんなに雰囲気をがらっと変える力があるんだろう。いきなり現れて空気をかき混ぜる。弾いてるこちら側の心にも驚きを与えるのはわたしが素人だからかな?しばらくじゃかじゃかして満足したので、着替えてブックカフェに行くことにした。

お気に入りの手作りワンピースにジーンズで自転車にのると、恐ろしく汗をかいた。しかもひらひら部分が後輪にまきついて、油で真っ黒になった。やっぱり夏はできるだけ涼しい格好をしなさいよ、というお告げだと思った。町の小さな画材屋でスケッチブックを購入してから、ブックカフェに到着した。画材屋のおっちゃん元気そうでよかった。

ここのカフェのミックスジュースが大好き。心なしか阿倍野のスタンダードブックストアで飲んでいたのと同じ味がするんだよね。ここの書店とスタンダードは親交があるらしく、もしかしたら同じレシピなのかな?と。それかミックスジュースの作り方はどこも似てるだけなのか。謎なまま、ちゅうちゅう飲みほす。

今日のタスクの一つ目は依頼の絵"その1"のラフを完成させること。これはブックカフェで8割ほど完成させられた。もう一つは絵"その2"の進行計画を立てること。
恭平さんの"事務"の概念に出会ったおかげで、物事を実現するためのタスク管理技術が身についた。今日は〇〇をする。明日は〇〇。一週間後には△△まで完了させて、二週間後には□□まで完了。翌日は休みがてら最終チェックしたら締切日には余裕で間に合うから安心だ……。というように、毎日の具体的な行動と量を書き起こして、タスク完了までのスケジュールを一気に作る。そしたらあとはそれを実行するだけでOK。これは『中学生のためのテストの段取り講座』が参考になってるけど、今回の新作『生きのびるための事務』でも同じことが書かれてるので、繰り返し読むうちにからだに染み付いてきた。

わたしが今依頼を受けているのは、化粧品についての絵。製品の良さを人に伝えるための絵を任されているのだけれど、これがまた難しくて、その分やりがいがある。奥深い製品だからこそ、簡単なキャッチコピーで釣るように人を惹きつけるのは危険だし、そもそもそれが目的じゃないのは重々承知済み。というのも、このお仕事は、わたしが恭平さんのことを人に伝えるときに感じる難しさと似ているのだ。長く活動を目にしている人なら含蓄までも理解できるけれど、初見の人からしたら一見何かの信仰かのようにも見えるだろうし、誤解も招きやすい。もっとよく目を凝らして、長く耳を澄ませて、その人の想いの源に歩み寄ろうとしてみないとわからないことがたくさんある。だから製品についても、わたしの想像の範疇で、あるいはただ単に絶賛するだけのような広告の絵を作り上げるのではなく、実際にしようしている人の生の声を元に絵を描くことを選んだ。一瞬で理解できるものや人なんていないことは大前提として、それでもちょっと関心を持ってもらえるような絵に仕上げたいと願っている。

今夜は、製品を広める活動をしている人たち(自身も製品に救われた経験のある人たち)が時間を作ってくれて、2回目となる打ち合わせをオンラインで行った。この打ち合わせでもあらかじめ聞きたい質問を整理して事前周知しておくという事務を行ったおかげで、予想以上にスムーズに進めることができた。やっぱり事務ってすごいし、なんだか楽しいかも。きちっと決まった量がやり切れると気持ちよい清々しさがある。

話を聞かせてくださった体験者の方々はみんな優しく、スマホの画面越しでも元気な表情と声が溢れるように伝わってきた。絵のイメージについても、自分の好きな色や花、趣味などをしっかりと伝えてくれて、協力と応援を寄せてくれて嬉しかった。

初めての絵の"仕事"。仕事ってこんな感じなのかな?とふと。
全くの素人なので手順もわからないまま、自分で「こうかな?」「こうした方がやりやすいな」というのをどんどん素直に伝えてみている。それを依頼者さんたちが受け止めてくれて、事が進んでいる。締切日以外は完全に自分の考え出したやり方で進めているので、これが仕事なのだとしたら、こんなこと言っていいのかわからないけれど、なんか仕事ではない感覚がする。製品を広める仕事をしている人のひとりが「これは仕事なのか趣味なのかわからない」と言っていたが、わたしも同感だ。今わかるのは、"人のために真剣に絵を描いている"。それだけだ。

まだ報酬の話なんて出ていないし、サンプルでもらった製品についても値段を知らない。あえて調べるていない。「この値段だからこれくらい良いと感じた」とはなりたくなくて、完全に自分の実感だけを頼りにその良さを確かめて、それを絵にしようと思っている。ひとつひとつのやり方を、とても慎重に選んでいる。

今日もその製品を使って朝と晩、スキンケアをしてみた。いつもは風呂から出たあとすぐに化粧水をつけないと、顔が乾燥で突っ張って仕方がなかったのだけど、それがなくなって、肌が水を含んでしっとりしている感じがある。母からも肌のトーンが明るくなったと言われた。でも何より、自分の肌を丁寧に触ってる時の安心感や充足感が幸せだなと感じた。自分のお手入れを真剣にするきっかけを与えてくれていることが何よりもありがたい。

でもひとつ気にかかるのは……恭平さんがいう事務の"JOY"的部分を、なかなかわたしは実感することができていないこと。せっかく舞い込んだ絵の仕事にしても、自分に「上手くいくよ」と声をかけるより先に「大丈夫かな……」と不安を感じてしまう。この不安にも根元があって、それが癒やされない限り続くのかもしれない。でも、止まらずに今は進んでみる。いつかあっけらかんと笑えるおばあちゃんになるまで、わたしらしく不安と冒険心を一緒に抱えながら進んでゆくつもりだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?