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academyまでの180日間 day19

東京旅2日目。チェックアウトが11時までだったので10時まで眠った。わたしは寝返りをほとんど打たないので狭いカプセルベッドでも全然OK。ほとんど寝た格好のまんまで朝を迎える。

ゲストハウスを出て、そのまま下北沢の街を散歩する。古書ビビビや劇場スズナリが並ぶ大通りや裏道なんかをてくてくと。再開発エリアでかわいい古着屋を見つけ、今夜のライブ用にワンピースを買った。

あっという間に12時。朝と昼兼用の食事をとる。下北沢といえばカレーが有名で、わたしは"八月"というお店がお気に入り。サニーデイサービスの曽我部恵一さんがオーナーなのだ。ほんとは同じ建物にレコードショップも経営されてたのだけど、今はもうないんだよね。八月カレー、皿の底から顔を出すちえちひろさんの絵に癒される。バイバイ、またくるね、下北沢。

お次は電車を乗り継いで上井草という駅へ。向かうはいわさきちひろ美術館。故郷は安曇野で、そっちにも美術館があるらしい。
美術館、とても心地よかった。荷物をロッカーに預けて2時間くらいゆっくりじっくり見て回った。子どもを持ちたい。最近そんな思いが芽生え始めている。どんなに苦労があっても、自分の方から人を愛せる。大人になるとはそういうことだ、とちひろさんは言う。ちひろさんの絵を見て、もちろん絵も描きたくなったけど、意外にも子どものことを考えている自分がいた。ちひろさんはわたしにとって絵の先生でもあるけど、子育ての先生にもなるのかもしれない……。

美術館を堪能したあとは、今度はちょっと小走りで早稲田へ。こちらのお目当ては村上春樹ライブラリー。わたしは春樹さんの本は、小説はなかなか頭にはいってこなくて、どちらかというとエッセイの方が好き。そんなわたしでも楽しめるかな……と心配していたけど、ここも来てよかった!わたしが早稲田の学生だったら毎日来たいくらい、居心地がよくて、清潔で新鮮な空間。新作短編の『夏帆』を読んでみた。冒頭おもしろかったのだけど、やっぱり途中から入ってこず……ほかの部屋の展示や映像を見てから下のカフェでお茶した。ドーナツも食べた。卒業した学校に、自分の本が蔵書の、自分の名前がついた図書館ができるなんて、すごい人生だなぁとしみじみ思う。駆け足だったけど来られて大満足だった。

さて今日のメインイベントの晴れ豆ライブ!の前に、一旦荷物を置きにホテルへ。本日泊まるところは、なんとはじめてのブックアンドベッド。貴重品だけ持って身軽なからだでいざGOと思ったら、1日歩きまくって疲れたのかライブハウスという場所に緊張しているのか、最寄りの駅でパニック発作になりかけた。なんでこのタイミングなんだろうと思いながらも、さーーっと青ざめていくのを止めることができない。いったん水を買って口に含むも動悸はおさまらず、吐きそうな予感と、このままうずくまってホテルまで帰れなくなるんじゃないかという強い恐怖感でいてもたってもいられなくなり、しばらく徘徊したのちに母にヘルプの電話をかけた。同じくパニック障害の経験がある母は、発作から気をそらすために何でもない話をえんえんとしてくれた。涙が出てきて、そしたら心が落ち着いた。

それでも小一時間は電話を切らずに繋いだままにしてもらっていたので、岡林風穂さんのは残念ながら聴けなかった。ようやくウィダーゼリーも5口くらい食べれたので、そろそろライブハウスに入れるかな……と思っていたら、目の前を知ってる人が通りすぎた。電話の向こうで母に代わって父が何やら喋っている。わたしは父に小声で叫んだ。「ダイアンの津田おる!!」「まじで?!」「うん!確認してくるわ!」……「ダイアンの津田さんですか?」「そうですよ」

実は早稲田のライブラリー付近に観音像があって、何とはなしに合掌したのだった。きっとそのおかげだ……。パニック発作のことなんかわすれて、わたしは無性に元気になってしまい、「ライブ行ってくる!」と言って電話を切った。ありがとうママとたあ(父)。ありがとうダイアンの津田さん。ありがとう観音様。すべてに感謝して、やっと"晴れたら空に豆まいて"に足を踏み入れることができた。

中は思った以上に照明が暗く、思った以上に人がいっぱいだった。棒茶を注文し、しばし恭平さんバンドが出てくるのを待つ。と、そこへ先日お邪魔させてもらったギャラリーのご夫婦が!東京で会うなんて、とびっくりしながらご挨拶。そのあとなんと奥さまが恭平さんがよく見える席をわたしに譲ってくださった。終始恭平さんを一直線に眺めることができて……本当にありがたかった。

ライブは素晴らしかった。念願の"魔子よ魔子"が聴けて感無量、でもしかし"牛深ハイヤ"はもっともっと最高だった。ウッドベースもグランドピアノもドラムも寺尾沙穂さんの歌声もすべてが心地よい……あぁやっぱりバンドはいいなぁとしみじみ感じた。歌にすっぽりじんわりと包まれる感覚。1時間、あっという間に過ぎてしまった。しかもアンコールで岡林さんの歌声が聴けた!恭平さんと2人で"TRAIN TRAIN "。
今日はツイてる!……というより、やっぱり物事はなるようになってるんだな。だからすべてを受け入れるべきなんだなぁと思ったよ。

ライブが終わって、岡林さんのカセットテープと寺尾さんのCDを購入。お二方とも、少しお喋りし、サインを書いてもらった。とても優しくて、分け隔てなくて、声と笑顔が素敵なおふたり。楽しくお喋りできて、この上ない幸福。そして恭平さん!わたしに気づくと笑顔で寄ってくれ、肩を抱いて寺尾さんに紹介してくれた。恭平さんにキチガイ呼ばわりされるのは、ぜんぜん嫌じゃない。今のままでいいぞ、どんどんいけ、と言われてるかのような安心を感じる。わたしはこの旅が終わったら、次は熊本の下見。恭平さんに「お金あるの?仕事はしてるの?」と心配された。大丈夫大丈夫と思ってどんどん使ってるけど、ちゃんと無くなっていっている。帰ったら節約してお金もちゃんと貯めなくては。

そしてなんと"TRUE恭平SHOW"の監督、小宮さんにも直接ご挨拶できた。まっすぐな目をして立っていた。声を聞いたとき、当たり前すぎるけど「小宮さんの声だ!」となった。話しかけると気さくにお返事してくださり、ついつい被せて喋ってしまうわたしを優先して、話を聞いてくださるところに、取材者精神を感じる。小宮さんによるとなんとacademy1期生の方も今日2人来てたのだそう!会いたかった……。小宮さんとのお喋りも嬉し楽しかった。現在進行中の作業のアウトプットや、未定だけどあるかもしれないドラマの再開、楽しみだ。享受してるだけじゃなく、わたしも自分のすべきことを頑張ろうと思った。

ホテルに帰ってきて、ほんとはもう早く寝たい。寝たいのだけど書きたくてたまらなくなり、一気にここまで書いた。明日は東京のお友だちに会う日。出来事がどんどん続くのでnoteが追い付かない。でも忘れたくないことばかりで、眠気も吹き飛ばす勢いで必死に文字に起こしている。
明日も今日と同じくらい、きっと素敵な日になる。今、とてつもなく幸せだ。

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