「ゼンディカーの夜明け」発売後の環境を考える(1)←続かなかった
記事を書くに至った経緯など
徹夜した勢いでこれを書いている。普段はむしろこういった環境考察系の記事を読み漁る側なのだが、MTGAインビテーショナル2日目の興奮冷めやらぬまま、この熱量を無駄にしないために今回初めて筆を執った次第。のでいろいろ見当違いのことを書いてるかもしれない(予防線)。ただ議論(口論じゃないよ)は好きなので思うところがあればどんどん反応が欲しい。
第1回はパック全体にざっと触れつつ、数回に分けて、ローテーション後も残るデッキや役割別に各種スタンプールのカードを見ていきたいと思う。(ただし続くとは言っていない)
新セットの印象とゲームの向かう先
さて、ゼンディカーのフルスポイラーが発表されたということで、各所で続々と新カードの考察などあがってきているのだが、皆さんのパック全体に対する印象はいかがだったであろうか。個人的には、ウーロや灯争ニッサほどの「目立って環境を定義するカード」は出ていなかったような印象だが、ところどころに光るカードが散りばめられた、総合してなんだかんだでカードパワーの高いセットなんじゃないか、と感じた。特に統率者含む下環境に与える影響は結構大きいんじゃないかと思う。
今回のパックの目玉といえば、まず前回のゼンディカーに引き続きの「上陸」、リミテッド環境にも大きく作用するであろう「パーティー」、そして初の試みとなる「土地になる両面スペル」があがる。昨今の事情もあり、テーブルトップに比べオンラインでのプレイが徐々に好まれつつある今、MTGAからの新規流入も(今後)増加傾向にあり、公式が以前よりデジタル化を推し進めていることもあいまってそれが明確にカードデザインに現れているように感じる。つまり、両面土地による事故低減や紙で処理が面倒になるがデザイン面で面白いカードの割合が増えていることだ。
個人的には、土地事故(特にマナスクリュー)による負けはMTGの単なる不快要素でなく、それも含め面白さの一片だとは思うが、アリーナからの新規参入者は他DCG経験者も多く、「カードのプレイすら満足に行えなかった」という特有の経験はプレイのモチベーションを簡単に落としてしまう。ここに深く踏み込むと脱線していくためこれ以上は割愛するが、要するに環境はフラットする方向へ、高コスト・アドバンテージを大きく得る方向へと(意図的に)向かっているわけである。
また、次環境はマナベースの影響も大きい。アンタップインできる2色地形が存在しない(置いた後2色の一方しか出ない)ので多色のアグロなどが組みづらく、低マナ域のマルチのカードは運用にリスクを伴う。よって平凡な結論ではあるが、マナフラッドを許容できるランプやコントロールは変わらずその存在感を示しそうだ。
次環境の各種役割別カードなど
こういった視点で見ていくと、高コストであっても使われるカードが案外多い。ただしウィニー戦略が取れないというわけではなく、ロングゲームを見据えた構築をすることで強いデッキは作れそうである。
ここからはまず、ローテーション後どういったカードが環境に顔を出し得るか、その役割別にまとめていきたいと思う。なおアリーナBO1専用カードについては触れない。(太字はゼンディカーの夜明け収録カード)
・除去
白……ガラスの棺(追放)、素早い反応、払拭の光(追放)、スカイクレ
イブの亡霊(追放)、空の粉砕、エルズペス死に打ち勝つ
(追放)、王国まといの巨人(出来事)、オンドゥの転置 など
青……厳格な放逐、厚かましい借り手(出来事)、乱動への突入、
洞察の碑文、(泥棒スカイダイバー) など
黒……血の長の渇き、大群への給餌、取り除き、無常な行動、
悪魔の信奉者、遺跡の碑文、墓入りの妨害、
ネスロイの神話、残忍な騎士、死に至る霞、魔女の復讐、
食らいつくし(追放)、絶滅の契機(追放)、影の評決(追放)など
赤……棘平原の危険(追放)、ショック、火の予言、焦熱の竜火
(追放)、雷猛竜の襲撃(追放)、乱動の噴火、轟く叱責、
燃えがら地獄、砕骨の巨人(出来事)、髑髏砕きの一撃 など
緑……豊穣の碑文、原初の力、水晶壊し など
多色・無色……不吉な戦術、予言された壊滅、湖での水難、
精霊龍ウギン(追放) など
除去はさすがに黒が頭一つ抜けて選択肢が多く、次いで白、赤が続く。
2マナ以下だと、ウーロなどの再利用可能カードに対して強い棺や黒でエンチャントへの直接の回答となる給餌、アドベンチャーの借り手・砕骨などはよく見ることだろう。
また、デッキの核になりうるフェリダーの撤退やテフェリーの後見(テフェリーの永遠の洞察)、荒くれたちの笑い声、プレインズウォーカーなどに完全に対処できるスカイクレイブの亡霊やネスロイの神話、エルズペス死に打ち勝つは評価したい。
環境の全体除去のメインは空の粉砕と絶滅の契機で、アグロの支配率によって影の評決、燃えがら地獄、死に至る霞などは見ることになりそう。
カウンターが乗るクリーチャーの増加が予想されて無常な行動の信頼性は少し落ち、3マナプレインズウォーカーが環境から去ることで取り除きの有用性も若干下がったため低コスト帯は一長一短で、複数の色の除去をメタに合わせて細かく散らす形になるか。
・ウィニー構築の主力(クリーチャー)たち
白……巨人落とし、イオナの大司祭、帆凧の僧侶、歴戦の神聖刃、
恐れなき雛、コーの刃使い、光輝王の野心家、スカイクレイブの亡
霊、スカイクレイブの大鎚、団結の標タズリ、兵団の統率者、無私の
救助犬、天界の語り部 など
青……マーフォークの風泥棒、ヴァントレスのガーゴイル、敏捷な罠探し、
厚かましい借り手、海門の嵐呼び、泥棒スカイダイバー、嵐翼の精
体、ズーラポートの決闘者 など
黒……鋸刃蠍、盗賊ギルドの処罰者、魔王の器、収得の熟練者、マラキール
の血僧侶、忘却の虚僧、スカイクレイブの影、夜鷲のあさり屋、
希望の死タボラックス、リリアナの軍旗手、悪ふざけの名人
ランクル、悲哀の徘徊者、スカイクレイブの災い魔 など
赤……熱烈な勇者、むら気な猛導獣、火刃の突撃者、アクームのヘルハウン
ド、カルガの威嚇者、グロータグの虫捕り、マグマの媒介者、乱動す
る渦、チャンドラの紅蓮獣、義賊、リムロックの騎士、心火の供犠
者、髑髏砕きの突撃者、タルジーディの隊商スピラ、灰のフェニック
ス、砕骨の巨人、鍛冶で鍛えられしアナックス、朱地洞の族長トーブ
ラン など
緑……金のガチョウ、群れのシャンブラー、スカイクレイブの鶴嘴、水蓮の
コブラ、タジュールの模範、漁る軟泥、僻境生まれの守護者、ガラク
の先触れ、打ち壊すブロントドン、恋煩いの野獣、水晶壊し、探索す
る獣、野生林の災い魔、オラン=リーフの軟泥、硬鎧の大群、ギャレ
ンブリグの領主ヨルヴォ、絡みつく花面晶体、カザンドゥのマンモス
など
その他……ジンジャープルート、結晶の巨人、石とぐろの海蛇、秘宝のゴー
レム、影槍、夢の巣のルールス、記憶を飲み込むもの、ずる賢い夜賢
者、スプライトのドラゴン、死の飢えのタイタンクロクサ、嵐拳の聖
戦士、高山の犬師、議事会の導師、軍団のまとめ役ウィノータ、恐れ
なき探査者アキリ、山火事の精霊、生命の絆の僧侶、スカイクレイブ
の荒廃者グラークマウ、カルガの戦導者、海門の擁護者リンヴァー
ラ、ムラーサの根食獣、影さす太枝のニッサ、空飛ぶ思考盗み、鼓動
盗みザグラス、トリックスターザレス・サン
ゼンディカーではビートダウンするうえで使いやすいカードが割と多く登場した印象だ。特に白絡みはカウンターシナジーのデッキが成立しそうだ。パーティーはフルボーナスを無理に狙った構築にせず、最初からパーティー2上限くらいで組むのが良いかなと思っている。パーティーデッキを狙って組むというよりは自然に盤面に揃うよう意図されたバランスに感じる。
またならず者も層は厚めで、青黒や赤黒(もしくは3色?)での成立が見えるが、切削速度・環境によっては敵に塩を送るだけになるリスクも秘めているため構築の雛型が完成するまで時間を要するかもしれない。青黒ならパーティー版ピアスが使え、クロックパーミッション気味に動ける。
他にはローテーションによって天敵のナーセットが消えたことで再び見ることになるかもしれないサイクリング、強化を受けたライブラリアウト、パーツが残るアドベンチャー、ウィノータ、イゼットアグロ、緑単などは研究の価値がある。
一方キーパーツが落ちてしまう赤単黒単やサクリファイス系デッキは簡単には穴が埋まりそうにないが、パーツは汎用性の高いものも多いので他と組み合わせて別のアーキタイプを成立させるだろう。
ちなみに今回登場した両面土地は白絡み、赤絡み3種、他2種なのでその違いもウィニーが成立するうえで影響がありそう。
カード単体で見ていくと、個人的には団結の標タズリは過小評価されているように感じるので使ってみたい1枚だ。3マナで出れば流石に強そうだが、1、2マナでパーティーを組むのは動き全体で見ると強くなさそうではある。
また、同じく評価が低めなスカイクレイブの災い魔も使い方次第で化けそうなカードで、自分のライフをスマートに減らす手段を模索中である。(飛行は付いてないのか……) というか創案が禁止されていなかったら真面目にやばいカードになっていたのでは……(どのキッカーにも言えることだが)
おそらく今回一番目玉のプレインズウォーカーであるニッサは、灯争ニッサに比べかなり攻撃性能に振っているため受けるデッキには向かないが、ミッドレンジ帯の主力としてもアグロのコストの頂点に据えても強そうで期待される1枚。ただし上陸の誘発タイミングには注意が必要だ。
・マナ加速、上陸支援系
金のガチョウ、狼柳の安息所、イリーシア木立のドライアド、耕作、ラノワールの幻想家、狩猟の神のお告げ、迷える探求者梓、移動経路、渡る大角、豆の木の巨人(出来事)、運命の神クローティス、ケルドの心胆ラーダ、僻境への脱出、自然の怒りのタイタンウーロ、真面目な身代わり、寓話の小道(進化する未開地)、古の緑守り、睡蓮のコブラ、高所の追求、乱動の再成長、ムラーサの根食獣、鎮まらぬ大地ヤシャーン、絡みつく花面晶体、ナヒリの石成術 など
注目はやはり睡蓮のコブラで、以前の収録時よりはフェッチ分弱くなっているものの、加速性能は抜群。地味ながらムラーサの根食獣も殴りつつ土地を置ける強カードで、インスタントタイミングで上陸できるため見た目以上に強いと思う。鎮まらぬ大地、ヤシャーンはマナ加速で枯れがちなリソースの補充に加え、サクリファイスに対して強いため環境次第で愛用されそうだ。
ちなみに下環境だとフェッチランドを止めるほか、地味にFOWのピッチコストの支払いもできなくなる。4マナのカードのためレガシーでは難しいかもしれないがモダンなら採用の可能性はあるかもしれない。
そしてやはり環境における存在感が圧倒的なウーロ、落ちるまで使われ続けるであろうカードで、切削が絡むデッキの悩みの種でもある。このカードの存在で高所の追求がかなり弱く見えるのだが、おそらく本来なら普通に使われる性能ではあると思う。(探検の再録だとバランスが危うい)
後の記事でも触れる予定だが、ランプメタである当惑させる難題は正直なところ微妙にズレているのではないか、と感じていて、ランプ側が構築やプレイでのすり抜けが出来る絶妙な調整に見える。そもそも霊気の疾風が落ちることによる影響の方が気になる。
ニッサの抜けた穴が大きいためこれまでのようにランプ要素がほぼウーロのみのような構築は出来なくなったものの、高マナ域の追加分が強いのでゲーム性に沿った構築が出来そうだ。混成体の穴埋めは難しいが
さて、ランプ系デッキのフィニッシャーを務めるカードの選定だが、個人的に期待しているバントカラーt赤のランプ(4cコントロール)だとウギン、フェリダーの撤退、エメリアの呼び声、運命の天使、サメ台風、ウーロ、ナーセット辺りか。ただウギンは撤退とかみ合わせが悪い時があるため、かなり枚数を絞るかフェイで持ってくるかで良さそう。多分撤退を雑に誘発させるだけで勝てる盤面になるので打ち消しなどで守りたい。運命の天使は回復阻害のエンチャントがどれ位積まれるかで評価が変わってくる。
次回以降
・パーミッション系カード(打ち消し)
・ドローカード、アドバンテージ源となるカード
・プレインズウォーカーやエンドカード、マナフラッド受けなど
・コンボ系カード
・各色メタ、特定のアーキタイプメタなど
そろそろ5000字を超えて記事が長くなってきたため第1回はこのへんで。
ではでは
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