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リーダーとボスの違い

トヨタ自動車の労使協議会の様子がYouTubeで配信されていた。

私はトヨタイムズがものすごい好きだ。というか社内にとどめておいていても良い価値を外に提供できる器が好きだ。

特に好きなのが2年くらい前に行われた豊田章男社長とイチロー選手と小谷真生子アナの鼎談。もう何度も見ている。

本当に凄い世界になった。自分から情報を取りに行けば何でも集められる時代だ。テレビ時代の終焉は近いような気がしている。なぜなら「豊田社長とイチロー選手と小谷アナの鼎談」というキーワードに何かを感じた人がいたら、そのままインターネットで検索をすればそれが見られるのだから。

https://toyotatimes.jp/insidetoyota/054.html
トヨタイムズ トヨタ春交渉2020 第2回 より

で、まあ労使協議会ってなんぞやというと役員陣(使用者)と現場メンバー(労働者)で、お互いの課題やマインドを改めて確認しようぜ?みたいなやつだと解釈している。

その中で豊田章男社長が「ボスとリーダーの違い」をスライドに映して説明をしていた。(以下引用)
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皆さん、ボスとリーダーの違いをご存知でしょうか。イギリスの高級百貨店チェーンの創業者の方の言葉です。その内のいくつかをご紹介したいと思います。

ボスは私と言う。リーダーはわれわれと言う。
ボスは失敗の責任をおわせる。リーダーは黙って失敗を処理する。
ボスはやり方を胸に秘める。リーダーはやり方を教える。
ボスは仕事を苦役に変える。リーダーは仕事をゲームに変える。
ボスはやれと言う。リーダーはやろうと言う。
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前後の流れは記事か動画を見てください。

で、まずイギリスの百貨店チェーンの創業者って誰やねんって思ったので、調べたところハリー・ゴードン・セルフリッジという人だった。

100年前の人だ、そんな昔の人が本当にそう言っていたのであれば英語の原文はあるかなと探してみた。あったあった。(情報を取りに行けば見つかる、すごい世の中だ)ハリーゴードンセルフリッジ 名言 英文とか調べたら30秒で出てきた。

https://en.wikipedia.org/wiki/Harry_Gordon_Selfridge

Among the more popular quotations attributed to Selfridge:
People will sit up and take notice of you if you will sit up and take notice of what makes them sit up and take notice.

The boss drives his men; the leader coaches them.
The boss depends upon authority, the leader on goodwill.
The boss inspires fear; the leader inspires enthusiasm.
The boss says "I"; the leader, "we."
The boss fixes the blame for the breakdown; the leader fixes the breakdown.
The boss knows how it is done; the leader shows how.
The boss says "Go"; the leader says "Let's go!"
The customer is always right.

・ボスは部下を駆り立てるが、リーダーは部下を指導する。
・ボスは権威を切望するが、リーダーは好意を期待する。
・ボスは恐怖をかきたてるが、リーダーは情熱を生み出す。
・ボスは時間通りに来いという、リーダーはみずから時間前にやってくる。

ただ、ここで疑問は豊田社長はなんで上記4つは端折ったんのか。全て素晴らしいことを言ってるのだから全部言えば良かったのに。。尺の問題なのか、都合が悪いのか、既に出来ているからなのか、必要ないのか。なんていう深層心理をいつも疑問に感じてしまう。まぁでも恐らくその中でも今のトヨタ社員に伝えたいものをピックアップしたのだろう。で、興味を持った人間は自分で更に調べるわけで、そしたらここにたどり着くわけで。的な感じですかね。知らんけど。良い時代だ。

個人的には最後にある『顧客は常に正しい』といのが響いた。
The customer is always rightの後にeven when they are wrong.みたいなニュアンスが続くのだとしたら意味的には「お客様は神様」みたいな感じになるのだろうか。そうすると個人的にはちょっと薄まる気がするが。always rightで止めておこう。

日本人の一番苦手な事後検証、これをやらないとここの答えが見つけられないと思っている。ボスやリーダーの決断に対しては結果があり、それがなぜ良かったか、なぜ悪かったかの議論がされていない組織が多い。良かったら「さすが!」で終わらせてしまい、悪かったら「切り替えていこう!」で片付く。「失敗の本質」を理解せず、同じ失敗を何度も馬鹿みたいに繰り返す原因はなんだろうか。

「当時は良いと思っていたんだ、状況は変わるから仕方ないだろ!この立場になればわかる!今は皆で団結して乗り越えよう!」と言うボスがいたら企業として危ない。そして近い人間はそれに同調して終わり、なんていうマネジメント集団の考えだとすると悲しくなるが、こうした自分の論理に当てはまる人選だけで物事を進めるのを見ていると、実は日本人は全体主義では無く、欧米諸国顔負けの「individualismじゃないのか?」とすら感じてしまう。

結果=顧客の評価というのは雑な答えかもしれないが、出た結果に対してボスになればなるほど悪いことは事後検証をしたがらないように感じる。

部下もボスを批判するのは簡単だ、居酒屋で「俺は最初からこうすればいいって思ってたんだよ!」なーんて酒の肴にしてストレスを発散している。ただ、リーダー自らが自分の決断に対して結論を出し、反省をし、自分なりの考察をしたうえでメンバーの意見を聞き、議論をして、納得した部分は吸い上げ、更に反映までさせてみるリーダーがいたら強い。そうすると吸い上げられた部下にも結果が求められる。結果と言うのは成果ではない、その人の判断したことに対して出た答えだ。上に上がれば上がるほど、奢らずにそこを冷静に反省、分析できる人間にならなくてはいけないと思う。

てわけで常に「あれ、もしかして自分、ボスのメンタリティになってしまっていないだろうか」を自問自答していかなくてはと感じた。

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