生成AIの時代で必要になってくるスキル 〜Best of Adobe Summit で考えたこと〜

先日仕事の関係で、Adobe社の“Best of Adobe Summit”というイベントに参加してきた。ただ、アメリカ本国のラスベガスで開催されたものではなく、日本の関係者向けの内容が絞られたバージョンである。

その中のプレゼンテーションで、特に押し出されたのは生成AIによるコンテンツ(主に画像)生成だった。
既に作成された画像や、キーワードなどを元に簡単に画像を作成し、色合いなり、画像に含まれるパーツなり、複数のデバイスに応じたレイアウト変更などもあっという間に行える。
デモを見ると、自分でも簡単にそれっぽい画像作れるんじゃね?とか思ってしまうぐらいだった。
(生成AI により著作物としての権利侵犯を起こさないよう、画像にクレデンシャル・権利情報を設定していくことも、併せて主張していたこともポイント)

また凄いのが、企業のブランドガイドラインなどをツール側に設定しておくと、そのガイドラインを踏まえた画像の生成もできるし、もし生成された画像をユーザ側がカスタマイズすることでガイドラインを満たさなかった場合アラートも表示してくれるのだという。
今後は、そのようなガイドラインなどが整備されていると、それに沿ってコンテンツも生成できるし、ユーザ側が作成したコンテンツのレビューもできるようになると言うわけだ。

それは、今後よっぽどのデザイン性を求めるキービジュアルなどのもの以外、ちょっとしたキャンペーンバナーとかのようなレベルのクリエイティブは、もはや基本的に生成AIの精度を高めるための情報を定義する人と、実際にその出てきたものを調整する人(もちろんできたものを見極めるセンスは求められるだろうが)、もしくはどういう風に情報をインプットすればより近いに答えられるものができるのかが求められてくるということになるように感じた。
今までデザインの中にも当然ロジックがあって、それに応じて作り上げてきているが、今後はそのロジックを説明したからAI側が対応できるとは限らないわけで、そこをうまく対応できる人が求められてくるのかもしれない。(1本のバナナ画像問題は最たる例ではないだろうか)

AI時代にどんなスキルが必要か、みたいな議論はよく出てくるが、デザインや設計みたいな話はよく出るが、自分からすると生成AIが理解しやすい、構造的な文章を書く力(それこそプロンプトエンジニアリング)みたいなスキルの方がわかりやすく求められるような気がする。
今のSEO対策のように、ChatGPTならこういう表現、Claudeならこういう表現をした方が良いとか、出てくるのではないか。

また、生成AI(LLM)にどういう文章を読みこませると期待する結果を得られやすいか、読み込ませる元データ(学習データ)の生成・クレンジングができるか、データの構造定義ができるかどうかが必要になるような気がする。
学習データを作るのも当然センスが求められてくるので、データ準備スキルとか、データクレンジングする専門の人というのができてくるかもしれない。

文章であれば、関係性を的確に表すための表記(因果関係・関係性とか)だろうし、画像や動画などのクリエイティブの物であれば、構成する要素の位置関係やパーツそのもの色のトーンだとか、タイミングだとか、様々な要素整理できるかということであろう。

さらにいうと、評価されやすい・人気がある各種文章なり画像をもとに、AIに構造を分析をさせて反映させるようなテクニックが求められるかもしれない。

今後の我々にとって、必要なのは表現力そのものではなくて、表現をさせるための指導力(言語スキルなども含めて)なのかもしれない。

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