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ゲームのプレイヤーにとって尊重されるべきもの

 ゲームは魅力的で、楽しく、そして興奮する。ゲームを遊ぶ体験は愉快で、幸せで、満足感がある。

 ゲームの本質とはなんだろうか。それはプレイヤーが自身で選択することだ。そのことについて私の考えを述べたい。

 これは、あるゲームで私が体験した出来事だ。私はネットでボードゲームを楽しんでいた。私は中級プレイヤーで、初心者ではないが上級者ではないというレベルだった。

 そのゲームは非常に過疎っていて、プレイヤーがおらず実力が均衡しない卓というのは珍しいものではなかった。上級プレイヤーが身内で遊んでいるようなゲームで、新人プレイヤーというものがいない。

 そんな折、新規参入者を増やしましょうよと、新人大会が開かれた。その新人大会は楽しいもので良い盛り上がりを見せていた。外出自粛令も追い風だった。私も中級者であり、そのゲームを好ましく思っていたので新人大会はとても嬉しく思った。過疎っているゲームでプレイヤーが増えることは嬉しいことだ。

 問題は大会後に起きた。大会後、交流しましょうということで卓を囲ったのだが、不愉快なことがあった。交流や遊びを主目的としたフリー卓の出来事であることを留意願いたい。

 簡単に言うと、私がゲーム中にプレイを間違えた。その影響で一人のプレイヤーが有利な立場にたった。中盤でゲームが決まってしまったようなものだ。すると、どうだ。他三人がワイワイとそのプレイを言葉で咎め始めた。その場であれば私も我慢したが、ゲームエンドまでずっと引っ張り、ゲーム後まで言われる始末だった。(ちなみに20分程で遊べるゲームだった)

 そのプレイは、私の実力不足に起因するものだし、他プレイヤーからすれば不愉快なものだったのかもしれない。しかし私は自身の考えと戦略の元、そのプレイを行った。

 私の選択は尊重されなければならない。私はプレイヤーなのだ。

 勿論、私のプレイを指摘する権利が対戦相手にある。そのプレイはゲームを壊してしまったし、文句だって聞く。だが、ゲーム中に言われ続け、果てはゲームが終わった後も言われる筋合いはない。彼らの、指摘のつもりだったであろう言葉は、私にゲームをしたくないと思わせるには十分なものだった。

 何よりもそのゲームはフリー卓であった。例えばランクマッチ、大会でああるならその不満も理解する。しかしその卓はそうではなかった。大会後の、ボードゲームで交流しましょうという、コミュニケーションのゲームだったはずだ。

 もし彼らが、競技をしたかったのであれば、私を卓に入れてはいけない。私が座ったからには、私の下手なプレイがあるかもしれないことに承諾しているからだ。そして何回か卓を囲んだことのある彼らは私の実力を正しく知っていた。

 なお私はその時マイクを切った。彼らの不満が不愉快だったからだ。ゲーム後、マイクが切れてたと言って無言の理由を説明し、夜も遅いからと言って退室した。私はそのゲームを遊ばないことに決めた。不愉快な体験というのは心に残るからだ。

 勿論、不満を口に出し責めたくなる気持ちはわかる。ゲームが想定通りにいかないことは気分が良いことではない。特にその卓は私の実力不足が顕著だった。

 私もFPSゲームや格闘ゲームで公式ランキングに乗ったり大会に優勝したりできる程度にはやりこんだことがある。トップの世界を覗いたことがある。下手なプレイというのは不愉快なものだ。FPSで言えば不用意に突っ込む仲間とかルールを理解していない仲間というやつである。格闘ゲームで言えば相手を見ずに暴れているだけのような奴。俺は遊びでやってんじゃねぇんだよ、というやつである。

 だがそれはあくまでレートをかけて、競技をしているから不愉快になるだけである。それを交流のような場所、特に実力が均衡しないことがわかっているゲームで悪態をつかないでほしい。そこは競技ではなくコミュニケーションをしに来ているのだ。卓を囲って遊びましょう、実力は違いますが、あなたと楽しい時間を共有したいと卓を囲ったのだ。そしてそれは相手方も十分に承知していたはずだった。初めてそのゲームを遊ぶ中ではないし、他の趣味で話していたからだ。

 プレイのミスを声に出して責め続ければ終わりだ。

 私と卓を囲った人は、私にそのゲームを引退させたかったのだろうか。それとも私とそのゲームを遊びたくなかったのだろうか。私のことが嫌いだったのだろうか。

 そうではないとはっきり言える。だが私はもう遊びたくない。

 プレイヤーが選択を決める。それがゲームの本質だ。他プレイヤーがそれを責めることは、あってはならないと思う。

 実力が揃わないゲームというのは不幸だと思う。どんな楽しいゲームも台無しにしてしまう。そして実力は誰もが身につくものではない。

 私はそのゲームが好きだ。でも間違えたプレイを責められるのが嫌なのでもうやらないと思う。


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