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マリアヴァン解析で何が出来るのか

マリアヴァン解析で何が出来るのか

確率密度関数の存在と滑らかさの証明

マリアヴァン解析は確率微分方程式と関係が深い。

それは、確率微分方程式の解には確率積分=ウィーナー過程の汎関数が現れ、マリアヴァン解析がウィーナー過程の汎関数に関する微積分学であることからも想像がつくだろう。

マリアヴァン解析は、確率微分方程式の解を考えるとき、その確率密度関数の存在と滑らかさに関する情報を提供してくれる。

したがって、ある確率変数の時間的変動が確率微分方程式として与えられていたときに、ある時点における当該確率変数の分布などを調べるのに、マリアヴァン解析が用いられる。

複雑な確率変数の確率密度関数は扱いづらいことも多々あるため、その近似を求めることがあるが、そのような場合にもマリアヴァン解析が用いられる。

ウィーナー・カオス展開(Wiener Chaos expansion)による確率変数の近似

マリアヴァン解析は、確率変数それ自体の近似にも用いられる。

マリアヴァン解析によって、適当な条件を満たす確率変数は、多重確率積分の級数として表す方法が知られている。

これをウィーナー・カオス展開(Wiener Chaos expansion、ウィーナー・伊藤カオス展開とも)と呼ぶ。

ウィーナー・カオス展開は確率変数の近似式を提供するものであり、数理ファイナンスにおける金融商品の価格評価などに応用されている。

スコロホッド積分(Skorohod integral)、オルンシュタイン・ウーレンベック半群(Ornstein-Uhlenbeck semigroup)と部分積分の公式

マリアヴァン微分はウィーナー空間上の微分作用素であるが、「対」になる概念と組み合わせることによって、多様な性質を導くことができる。

マリアヴァン微分作用素の随伴作用素に当たるのが、スコロホッド積分(Skorohod integral、発散作用素divergence)である。

マリアヴァン微分とその双対概念であるスコロホッド積分に関しては、以下の記事に詳しく述べられている。
【マリアヴァン解析】マリアヴァン微分、スコロホッド積分、両者の随伴性(双対性)

また、ウィーナー・カオス展開に対するオルンシュタイン・ウーレンベック半群(Ornstein-Uhlenbeck semigroup)と呼ばれる作用素を考えることで、応用上重要な部分積分の公式を導くことができる。

部分積分の公式は確率変数の正規近似(Normal approximation)において重要な役割を果たす。

表現定理とクラーク・オコンの公式(Clark-Ocone formula)

確率解析では、適当な条件を満たす確率変数が確率積分を用いて表される定理が知られている。

条件によって、これを積分表現定理(Integral representation theorem)マルチンゲール表現定理(Martingale representation theorem)という。

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