BGA版レート環境アグリコラのドラフト戦略

初めまして、皆さんはアグリコラと言うゲームを知っていますか?知っていますよね?早く本文を読みてぇよ!って方は目次からジャンプするしかないね。頑張って解説します。
※初心者の人はこんな記事を読まないでアグリコラを死ぬ気で打ってください。

自己紹介

えるです。ボードゲーム歴は12~3年。初プレイゲーはスコットランドヤード。隙あれば自分語り。
アグリコラとの出会いは2012年。アグリコラ旧版を購入後わずか2プレイで農業否定したセックスゲームと理解し1年間封印。
2013年から泥沼からの出発の拡張を入れたアグリコラは脳死セックスゲームでないと理解し、無限に農業を始める。このころは1日3回以上はやっていた。3泥or5泥以外やってこなかった。
2013年か14年に行われた高円寺盤遊会のホビージャパン主催アグリコラ大会にEIKのみはわずか3回位しかやったこと無いのに出場。やったこと無い人が1名居たが、ぶっちゃけ猛者しか居なかった気がした。
初日の1回戦は木の価値が解らず最下位。その後木を取るゲームと速攻理解し、2日目の最後の試合以外全部1位を取る。この時ゲーム序盤に畑を耕して種を蒔く人間はおらず、1ステ小麦1蒔きをした時は上級者っぽい人に、ムーブ弱すぎでしょ。みたいに煽られた事は今でも覚えてる。その試合勝ったの僕なんですけどね初見さん。
カヌー出たから漁踏んだだけでぶちぎれられたので、農民の民度はカスだなと思いました。勿論僕の民度もカスです。当たり前だよなぁ!?
その時の僕はEIKは座席ゲーという結論を出した。そして大会勢も大して強く無いなって思いました。身内の方が大分強いことが判明。

その後、身内戦で常勝しすぎ対戦相手が居なくなり引退。この頃の勝率は9割以上。同卓拒否されるレベルに。EIK+泥入りはカードドラフトの段階で下家の8~10手先を読んだり、上家のムーブから手札推測からのメタが出来る位には強かった。農業マシーンになっており、人間を辞めてた気がする。
毎日終電で帰る日々を過ごすも、毎日一人3グリ泥を回すルーティーンをしていた。
リバ版はカードが少なすぎて買う気が起きず、そのままボードゲーム自体引退。

2018年頃仕事の都合で引っ越しすることになり、暇だったから初心者騙りしながらボードゲームカフェの常連をボコるという企画を自分の中で始めたら、何故かボドゲ友達が増えてアグリコラを布教することに。
泥沼リバ勢とか言う希少種を増やすのに貢献。さて本題に戻ろう。

BGA版アグリコラをやる上で心に留めておかなければならない事

この項目は絶対に触れておかなければならないと思ったので書く。
戦術云々を語る前に、アグリコラの大前提を理解しておかなければならない。
BGA版アグリコラの9割は正常なゲームとして成立しないという事。
理解が足りていないプレイヤーが多すぎて、無意識的にキングメーカーになるプレイヤーがあまりにも多すぎる。大体こういうプレイヤーは30点前半を取る。そういう初心者を見かけたらこう言いましょう。

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また、キングメーカーによって殺されたプレイヤーは最悪4位になる可能性もある。事実、上位勢のプレイ履歴を覗いても、40点下回って3~4位になる事もある。それは意図しないキングメーカーによって殺されているのだ
BGAレート戦は言わば法律の無い無法地帯で基地外が刃物を振りまわして襲ってくる事がある。
逆に、何故か負けハンドなのに勝たせていただけるケースもある。
なので以下の事は念頭に入れておこう。
・アグリコラは色々な部分で運ゲー
・誰かの気分で人が死ぬ

正常なアグリコラ

まず、前提としてこの環境は正常なアグリコラが成立しにくいということを大前提において下さい。
じゃあ、正常なアグリコラって何?って話になると思うが、私が提唱する正常なゲームとは、以下の事を指す。
・プレイヤー全員が1位との点差が4点以内
・増員がR7でも全プレイヤーが46点以上
・柵事故畑事故が発生せず、全員が村長盤面or村長盤面から1~2手足りない状態になっている事。
裏を返えせば、全員が正常な手を打てばこの条件は容易に達成できる。
そして安定して順位を上げるのであれば、少なくともこの記事を読んでいるあなたは正常に近づく努力をすべきだ。

攻めのドラフト、守りのドラフト、正常なドラフト

アグリコラには攻めのドラフトと守りのドラフトと正常なドラフトが存在すると考えている。
・攻めのドラフト
コンボ重視のドラフトの事を指す。いわゆる独りよがり。中級者~上級者の大半はこれ。
攻めのドラフトの特徴
・上振れたら100%勝てる
・複数枚のカードコンボが前提の為、カード依存度が激しい傾向にあり、攻めのドラフトするプレイヤーが多いと死ぬ
・ドラフトの段階でキングメーカーになりやすい
・資源量を増やすインフレタイプと、ワーカーの暴力で殴るデフレタイプが存在する

・守りのドラフト
ある程度のコンボはするが、受けの広いカードをケアでカットする。通称陰キャドラフト
不要なカードを取る都合上、コンボの片割れパーツだけで戦えるヘンテココンボを自分で作って戦うことになる。
守りのドラフトの特徴
・デフレ場に強く、インフレ場に弱い。
・安定して高い順位が見込める
・3手目~6手目のドラフトで戦う為、行動が透けるが、恐らく理解されない
・出力不足になりやすい為、キングメーカーが現れた時に死ぬ対象になりやすい

・正常なドラフト
全体のドラフトの流れを読んでカードをピックする。世界の平和にする者
コンボのカットは狙わず、コンボもそこまで追わない。自分の盤面上で必要になるものを取る傾向にある。基本的に強いカードから順番に抜いていくタイプ
正常なドラフトの特徴
・全体的にインフレ傾向に向かうため、大体1位になれない。
・デフレに向かうタイプの攻めプレイヤーと確実に殺し合いになる。
・勝つためには全体の点数コントロールをしなければならない。

レート戦においては守りのドラフトが良い

BGAのレート戦は3位~4位になるとマイナスになるため、2位以上を狙う必要がある。
また、拡張スペースが無い都合上、必然的にデフレ傾向になりやすい。
初手のハンドが弱かった場合、初手の段階で2位で妥協するプランを考えなければならない。
また、他プレイヤーを蹴落とす為にカードを出すマスを潰さなければならない都合上、弱カードでメタを張らなければならない。
とは言え、守りのドラフトは性質上キングメーカーに最も殺されやすい位置になりやすい。そのせいで4位になってしまっては意味がない。

守りのドラフトはアグリコラを正常にする

大前提として、4人が増築増員ルートに行くと、確実に正常なアグリコラにならない。増員キューの兼ね合いでSP打ちが加速し、全体の盤面が進まないからだ。
だから、皆の中にある増員至上主義を一旦脳内から切り離して、考えて欲しい。
増員を降りる事により、柵点が伸び、家畜点が増えたり
畑点が安定し、種点も必然的に安定することにより、堅実な手を打てるようになるだろう。

攻めのドラフト勢に轢き殺されないようにする為には

ドラフト段階で考えていかなければならない事は次の3つだ
①畑の枚数が足りるか
②木材の本数が足りるか
③1回殺されても立ち上がれるハンドか

①の考え方として、ドラフト1週した段階で、鋤系カードが1枚も見えていない時
あなたの取るべき行動は、誰も取らない奇術師をピックして、1ステに2蒔きを通す事です。奇術師もないあなたは、大鎌使いや醸造師でも抜いて置いて気合で2蒔きを通しましょう。
もし、3~4手目でわら小屋や、寝室が流れてきている場合で鋤系カードが1枚も見えて無い場合、種ブースト等無くても1ステで通すか、弱カードで無理やりシナジーを作ってください。
絶対に後半畑の取り合いから抜ける事が出来、相対的にアドが稼げます。
序盤から畑を増やせる畑番や鋤手助手は初手級ですので、後から出てくるケースもありますが、畑番は後半で使う運用もありますし、鋤手助手は初手で出す場合を除くと、種まきでぶつかるケースは少ないからです。

②の考え方として
資源ブーストが少なかったり、コスト軽減系のカードが多く流れている場合、基本的にデフレになる傾向にあります。
コスト軽減系の多くは増築や改築コストの軽減が多く、効果の起動回数=カードパワーとなる為、増築系アクションを複数回踏むことになりがちです。
増員プレイヤーが多いと必然的に増員キューは詰まり、木材が高くなる傾向にある。(特にもり打ちや柴結び、木の家増築師等)
と言うか、大体周りはそんなこと考えないで無計画に増築する為、正常ではないアグリコラでは、この問題は絶対に発生すると思って良い。
この場合、抜ける方法が二つあり
・序盤で食料基盤を整え、レンガ改築をしてから増築をして、増員キューにぶつかりに行く
・柵を先行して引いて、早期の増築を切るパターン
前者のパターンは主に小麦軸で戦うプレイヤーが好む戦法で、改築レンガ暖炉から戦うムーブになる。これが守りのドラフトで戦うプレイヤーの多いムーブになると思う。状況に応じてレンガで2軒増築とかすると、よりデフレになる。その為、小麦軸で戦うならレンガ増築はそもそも視野に入れて、レンガ大工や、聖職者、レンガ積み等のレンガ増築補助を早期に抜こう。
後者のパターンは、さらに2つパターンがあり
Ⅰ柵を小さく引くパターン
Ⅱ柵を大きく引くパターン
Ⅰのケースは、木の家増築するパターンが多いが、基本的には増員キューにぶつかりに行く形になる。増員の捲れが早い場合、先行2軒増築プレイヤーよりも飯的に状況が良いケースがある。
ただし、2軒増築のプランはほぼなくなる為、多少の上振れで返されるケースが多い。種の手番を圧縮する大温室や、荷車、羊を入れるので機織り機、学者や鋤職人と相性が良い。
Ⅱのケースは、もはや全てを捨てる為、1ステの序盤で全力で木材を取る動きをすることにより、増築モチベを下げる効果がある。ステ2で最低でも9柵もしくは12~15柵を引くケースになる。
増築を切る都合上、かまど系で家畜を取っていく動きをしないと基本的に飯が無くて破綻する。
改築で進行していくため、相性が良いのは改築系カードになる。また、ステ2の空いた手は畑に行く事をお勧めする。
召使や学者などの石の家系カードは3手目で抜かれることが少ないため、比較的やれなくはない。鋤職人とかいればいいけど、居ない場合は学者や召使単品での運用を余儀なくされる。
フリーメイソンや、石切り、牧師や簗打ちを利用して石の家の増築を視野に入れる必要が出てくる。
改築がどこで捲れるか不明な為、日雇い農夫は持っているとこういう意味不明ムーブを通しやすくなるため、日雇い農夫の改築効果単品で運用する事も視野に入れるべき。その時に誰も使わない暖炉等のカスカードで点数を稼ごう。新たな土地等のインチキカードが無いため、ステ5まで無増築で1位を目指すことは到底無理だ。
先行柵引き切り2軒進行の場合、初手は大体持っていない家畜の番になる為、残りの1手が弱いと100%勝てないのと、盤外から資源を得られないと勝てない。逆に言えば、ゴミカードでもあえてクソムーブをすればメタ行動しつつ、強カードに化けるケースも存在する。

③の考え方として
殺される状況とは何かを考えると
Ⅰ増員キューが詰まりすぎて死ぬパターン
Ⅱ畑が激高いor木が高すぎて柵引ける次元じゃない
Ⅲ飯事情で死ぬ
Ⅲのパターンはそもそも手を曲げて増員していない為、この状況にもし陥った時が、キングメーカーに殺された時になる。
Ⅰのケースは、非常に単純でキューが詰まってるので、SPを打ち返さなければいけなくなる。その為、小進歩で少なくとも1手で2点もしくは1点+αの点数が必要となる。勿論増員時にも進歩を出す都合上、点数カードは必要となる。
つまりドラフトの段階で使えるであろう点数カードを複数枚握る必要がある
Ⅱの場合も同様で、自身の点数行動が制限されないように点数カードを握ったり、厩で点数を出したり、飯で盤面を埋めたり、工夫する必要がある。
そういったカードは基本的に弱いカードと言われているが、守りのドラフトと言う観点からすると、優先順位が上がるという事になる。

変な手の練習しよう

最初の1軒目を石の家で増築出来るプランを検討出来るようになれば、あなたは一流のアグリコラプレイヤーだろう。

例:ニンジンミュージアムで石の家増築
ステージ2に野菜3蒔きを通すと、R8で石3木3 R10にさらに1つ畑を耕してもう一度蒔き、石4 木2。R12で石4 木6を通すムーブ
合計で石10木11をニンジンミュージアムで得られることになり、ステージ5の後半に一気に石の家2軒増が可能になる。

例:コレクター3種繁殖+2畑小麦野菜蒔き
ステ2までに13柵+畑2枚耕して全部終わらせるルート
木6を拾えれば案外やれなくはない。
授業コレクター出す 柵 コレクター×2 畑×2 種まきの7手は固定なので
序盤に4木6木3木が行けると、やれなくはない。R5の最終手までに木材を集めきる必要がある。

例:レンガ大工&陶磁器から石の家増築
レンガ6を大量に踏める展開があるのであれば、陶磁器から石の家増築が狙える。学者から召使を出し、石の家で増築するプランも可能。(リプレイどっか行ってしまった)

例:ステ2で羊7回収で機織り機展開
かまどが無くてもR1~2で出た3~4羊を8柵で受けて、R2で2~3羊をカットするムーブ。機織り機は打点も高く、序盤のジンギスカンメタになる為、メタムーブとして有効。

例:わら小屋+八百屋でステ2に畑を関連を全て終わらせるムーブ
わら小屋のイメージはステ1に蒔ききって、ステ2に出すイメージが強いが、ステ2で蒔いて展開しても遅くはない。まして八百屋を握ると手元の野菜をステ1だけでは植えられない為、ステ2で畑4~5枚まで作って蒔くのもありだと考えている。勿論八百屋だけでは勝てないので、多少補助が必要になるが検討の余地はあると思われる。

例:柴結びで木の家増築ではなくレンガ家増築
本来柴結びは6木で1軒増築するのに使われることが多いが、レンガの家の増築をあえてするムーブもある。大工を駆使して、レンガ6木2で多めにレンガが取れる時はレンガでの増築も視野に入れよう。

変な手の練習の仕方

ドラフト段階で絶対に取らないカードを3手目まで行えば、変なカードで固まるハズなので、そこからコンボを作っていく。
棋譜的な物は強いカードだとイメージが付きやすいが、弱いカードで戦う場合は、場の資源で余りやすい資源がどれだけ余っているかで手が変わるので、資源の偏りが酷い時や、増員キューが詰まる事が確定している時(2軒増築が2~3人いる)何かで試してみると良い。何事も実践あるのみ。
そもそも弱いカードで戦う人がそういないから、皆知見が少ない。
強いカードの別の使い方を考えて、なるべくメタになるようなムーブを検討すると良い。

守りのドラフトの最大の欠点

プロっぽいムーブを通す守りのドラフトだが、最大の欠点がある。それは自分以外の誰かが同じような守りのムーブをすると、お互いが絶対に勝てない事。
変な手を打つ時は、対戦前に必ず相手のレートと勝率を確認しよう。

BGAアグリコラにおけるドラフトの傾向

ELOが300~500と高くても、勝率70%前後のプレイヤーは大体攻め攻めのドラフトが多い。
ELO300以下や勝率40~50%のプレイヤーが一人でもいる場合、座席ゲーになるか、キングメーカーが出てくるので注意が必要
特にこういうプレイヤーが連続して座っている場合、その下家なら攻めのドラフトを通してボコボコにすることをお勧めする。逆に上家の場合、守りのドラフトにして2位を取ろう。

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2位で良いんだよ2位で。
1位になる確率が極めて低いハンドや、座席ゲーやキングメーカーが発生した時は常にこの姿勢で良いです。
殆ど発生しないが、ELO400以上で勝率も70%以上の人で固まった場合は、正常なドラフトをすることを強くお勧めする。
カード運で勝負が決している事が多く、全くもって返せない状況になっている事が多いが、ハンドパワーが拮抗している場合を想定して、自分のプレイングを通しやすくするためのピックをする事。
ドラフトで敢えてまともなカードを流す→まともな下家はそのカードを使ってくれる→上家や対面に比べて情報アドが取れる
例えば、鋤手助手を流すことにより、下家が鋤手助手をピックせざるを得ないハンドの場合、他の2名のプレイヤーより畑が軽いという情報をもって戦えることになる。これは意外と大きい。鋤手位だと埋まる可能性もあるので、下家がそのカードを使わざるを得ない状況か否かをドラフト時のカードパワーで判断する必要がある

最後に

レートは飾りなので、追いすぎると精神衛生上良くないよ。
競技人口がもっと増えて、レートが機能すりゃいいんですけどね・・・
後早くABデッキ位まで実装してくれ・・・

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