外在化、客体化、内在化
このコラムでは、社会心理学用語の外在化、客体化、内在化について説明しています。
(読了時間:約3分半)
外在化
外在化とは、表現することです。つまり自分の心や頭の中にあるものを、その外に表わすことです。ここで示している「表現」は、文学、芸術作品やシンボル(象徴)、デザインだけではありません。規則や習慣、あらゆる製品、更には数式すらもその1つです。ただし、外在化したモノの持ち主は、自分です。
客体化
客体化とは、誰かが外在化したモノをみんなで共有することです。法律や制度、常識のような明文化されたものや、流行や慣習のような明文化されていないものまで、さまざまなモノが客体化された状態でこの社会に存在しています。
たとえば、人権は、2000年前には存在しない概念でした。しかし、過去の賢人たちが古今東西の知識を元にして、これを作りました。現代の私たちは人権という考え方を知っています。それは、いろいろな国や人種の人たちの間で共有され、伝搬したからです。
外在化と客体化の違いは、それの所有者です。自分が外在化したモノは、自分が占有しています。しかし、1度それが客体化すると占有状態ではなくなり、他者たちと共有することになります。なので、客体化したモノはたとえその作者でも掌握しきれなくなっていきます。
たとえば、あなたが日記に愚痴を書いているとしましょう。その内容は、あなたの心の中を外在化したものです。誰も知らない状態ならば、それはあなただけのものです。しかし、その愚痴をSNSに投稿し、誰かが目にしたとしましょう。すると、その内容は客体化し始めます。もしもあなたの愚痴がバズれば、客体化はより進行し、あなたの考えていたこととは違う解釈をされる可能性はグンと上がります。しかしながら、あなたにそれを止める手立てはありません。訂正することはできますが、異なる解釈が生まれる可能性を完全になくすことはできないのです。
内在化
内在化とは、外在化された、あるいは客体化したモノを、自分の心や頭の中に入れて、自分のものにすることです。内在化することを通じて、外在化されたモノの中にある価値観、基準、信念、感情などを自分のものにできます。
内在化されたものは、もともとは仲間と共有しているものかもしれません。しかしながら、それを再定義したり、再構築したり、新しい発想を得れば、それは自分だけのものになるでしょう。ですから、内在化しているもの、つまりあなたの心や頭の中にある全てのものがが共有されているとは限りません。
防衛機制の取入(摂取)と内在化は密接に関わっています。取入とは、他者のものを自分のものにすることです。これは、内在化と同じ働きをしていますね。
まとめ
外在化
自分の心や頭の中にあるものを、外に表現すること。外在化したものは自分だけの(占有された)ものです。
客体化
外在化されたものが共有されること。共有する人間が増えるほど、客体化の程度は大きくなり、外在化の作者がコントロールしにくくなる。
内在化
外在化あるいは客体化したものを、自分のものにすること。内在化されたものは、占有、共有のどちらの場合もありうる。
おわりに
社会心理学は、とても面白い学問です。しかし、用語が分かりにくかったり資料が少なかったりします。今回は、社会心理学の本を読んでいて、分かりにくかった単語を自分の言葉で説明し直してみました。
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