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マラリアの研究者【Day93】

任地60日目。
写真は最近フィールドワーク中に見つけたダニ。はじめてダニを見た。

お世話になっている協力隊OBの方から、ルワンダの生物学者の方を紹介して頂いた。

私の任地に訪問するとのことで連絡をもらったのだが、まさかの中間報告会にてすれ違いだった。

ルワンダに来る前から彼の話をちらっと聞いていたので会うのをとても楽しみにしていた。

しかし、幸いなことに次の日も滞在しているとのことだったので、お昼に会う約束を取り付けることができた。

彼は大学で獣医学を専攻しており、現在は首都キガリの研究所でマラリアを媒介する蚊や寄生虫を媒介するハエについて研究しているそうだ。

今回は調査のために任地に訪問していたようだ。民家にいる虫を調査し、研究所に持ち帰ってマラリアや寄生虫の有無を調べるようである。

彼の研究所には東京大学からの学生が研究に来ていたようだ。

ルワンダでは、料理を作るときチャコルといった七輪のような器具を使って調理をする。裕福な家庭はガス、貧しい家庭になると薪で調理をしている。

興味深ったのは、貧しい家庭では蚊帳やスプレーといった蚊の対策ができていないのだが、チャコルや薪を使うためその煙が防虫になっているそうだ。

東京大学の彼は3つの料理手法とマラリアの感染率について研究しているようなので、是非繋がりを持ちたい。

他にも、ユーカリの活用についても聞いてみた。

任地には(ルワンダ全体かもしれない)、ユーカリの木が人工的に植わっている。何故こんなにユーカリがあるのかまでは分からなかったが、ユーカリの枝を玄関や寝室に置いておくことで防虫になることは話していた。

調べてみたら、ユーカリ自体が吸水性が高く成長率が早く、乾燥地域に強いようだ。砂漠地域での緑地にも使われているので、そういった背景があるのかもしれない。

さらにユーカリには、防虫や殺菌、炎症にも効果があると言われている。

大学の卒論では予備実験でテルピネン系の実験をしていた。最終的には家畜の糞の含まれる臭ーい成分を使った研究だったので、スッと爽やかな香りの実験が恋しかったのを記憶している。

ユーカリは600〜700種類くらいあると言われているが、その成分はシネオール(別名:ユーカリプトール)やリモネン、が多く、これらは構造がとても似ている。ちなみに、シネオールは二本松の訓練所で調査していたクロモジや現地のマーケットで売られているローズマリーにも含まれている。

身近にユーカリやローズマリーがあるので、蚊帳が手に入らない家庭でもこのユーカリを使えるのではないかと考えている。

ユーカリの葉をドライにして、部屋に吊るして置くだけでも効果があるようなので、この知識を現地の人々がどのくらい知っているのかも気になるとこだ。

一方で、ユーカリもローズマリーも天然ハーブなので、妊婦や子ども、一定の病気には毒性が強いのでそのあたりの知識を知っておかなければならない。

マラリアの感染は、マラリア原虫を持った蚊又は感染者がいなければ感染しない。

しかし、学校現場にいてマラリア感染した子どもが定期的な頻度でいるので、蚊に刺されない対策をすること、マラリアに感染しないことを地域全体として行うことで、マラリアを減少させれるのではと考えている。

彼とは蚊やハエに加え、昆虫について様々な話をすることができた。

来週にもまた調査に来るようなので、可能であれば同行させてくれるようである。

有り難いことに捕虫網のフレーム(ネットだけ日本で持ってきた)を貸す又はくれるようだ。

フィールドワークの延長線上、彼らの研究に何かしら協力できたらと思う。

ルワンダでのマラリアは、致死率が一番高い熱帯熱マラリアが9割以上である。彼らと一緒に地域の子どもたちや住民のマラリア感染率を減らす活動や研究に関われたらと思う。

(2019/10/31)


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