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ウマ娘キャラクター解説2:ハルウララ

今日のツイートで、こちらの投稿が爆散され、”ハルウララ”が大きな話題になってます。

どういうものかといえば、ウマ娘というゲームでハルウララというキャラを一生懸命育て、ゲーム内で有馬記念で優勝させるまで育成した、とのことらしいです。一時、Twitterのトレンドに”ハルウララ”や”有馬記念”が入りました。

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ハルウララとはどんな馬だったのでしょうか?

ハルウララは1996年2月27日に北海道の信田牧場に生まれました。

父は1980年代後半に中央競馬のマイル(1600M)のレースで活躍し、安田記念・天皇賞秋とGⅠを2勝したニッポーテイオー。

母ヒロインは未勝利ながら母父ラッキーソブリンは1980年代日本競馬でコンスタントに勝ち馬を輩出した種牡馬。

血統自体はそこまで悪いものではありませんでしたが、臆病な性質と貧弱な馬体が嫌われセリで売れ残り、生産牧場が所有することに。

牧場はハルウララをなんとかデビューさせるため、ツテを頼り地方の高知競馬に入厩させることに。

高知競馬は、現在もそうですが、ケガをして競走成績が著しく落ちた馬や他の競馬場で落ちこぼれた馬の受け皿になっています。

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なぜ高知競馬が競走馬の受け皿になっているかというと、中央競馬などで使用されている砂は青森県産の粗い川砂。

一方高知競馬で使用されているのは、桂浜で採れた、粒子の細かい海砂。

海砂のほうがクッション性は高い上、普通中央線などでは内側の砂の厚さが9㎝前後であるのに対し、高知のそれは14~15㎝と、他の競馬場より深いため、馬の脚にかかる負担が少ないんです。

また金銭的な理由もあります。通常馬主が調教師に馬を預ける場合は預託料を定期的に払う必要があるのですが、高知競馬はその預託料が比較的安かったこと、当時1つのレースに出走するごとに約6万円の出走手当がついたことも大きな要因でした。

さてそんなこんなで1998年11月17日にデビューしたハルウララですが、デビュー戦は5頭立ての5着に終わり、以降も1番人気や2番人気に稀に押されても勝てない日が続きます。

だけれども体は丈夫で年間20回ほどレースに使うことができたため(中央競馬では年に10~15回が一般的)、出走手当で稼いでいたのです。

転機となったのは8歳となりデビューから5年が経過した2003年。高知競馬でアナウンサーをしていた橋口浩二氏が実況の準備のため出走馬の経歴をチェックしていたとき。

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そこで異常に連敗が長い馬を見つけ、興味を持った橋口アナはそれを高知新聞の記者につたえました。

するとその記者は、新聞の社会面にハルウララの特集記事を掲載。さらにそれを高知県競馬組合の職員が見つけ、当時経営難に陥っていた高知競馬の打開策として、ハルウララをアピールすることで客足を呼び込もうと全国のマスコミにハルウララの資料を送付。

それが毎日新聞の目に留まり、7月23日付の毎日新聞全国版に掲載されたのみならず、ワイドショー番組「とくダネ!」でも取り上げられたことにより一躍ブームとなったのです。

当時はいわゆる「失われた30年」の真っただ中。何度負けても挫けず走るハルウララはサラリーマンやリストラの星として祭り上げられたのです。

2004年にはたまたま別のレースに騎乗するため高知に来ていた武豊が1度だけハルウララに騎乗。結果は11頭立ての10着だったが、レース後ウイニングランのように馬場を1周回るファンサービスをしました。

武豊騎乗ということでこのレースは大きな注目をあつめ、このレースで

・当日の入場者数

・1つのレースの馬券売上額

・1日の総馬券売上額

といずれも高知競馬史上最高記録を更新。

その年の5月、109連敗を記録し、当時日本競馬史上2番目の連敗記録を樹立(当時の1位はハクホークインの161!連敗。現在はダンスセイバーの202!!連敗。しかも現役らしい…)

しかしハルウララの競走生活の最後は、あまりに悲しいものだった。

2004年9月にハルウララのオーナーと調教師が対立し、ハルウララを栃木県に移送してしまう事件が発生。当然調教師側は引退レースを開催しようとハルウララを高知へ戻そうとするも、オーナー側が対応をのらりくらりしているうちに登録を抹消されてしまい、結局引退レースに出走しないまま引退となってしまった。

その後オーナーが運営するホースセラピーに使役されたり、繁殖牝馬としてディープインパクトと交配させるという計画も持ち上がったが、結局実行されないまま行方不明に。

2012年になりマーサファームという小さな牧場に預けられたが、オーナーが預託料を支払わないまま音信不通に。現在はファームの運営者やファン有志の募金により余生を過ごしています。

生涯成績は113戦0勝2着5回3着7回。いい意味でも悪い意味でも、人に振り回された馬でした。

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