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ジャケ読み「デキる猫は今日も憂鬱」

モノや情報が溢れる今の世の中で、できるだけデジタル・デトックスをしようと試みているのだけれども、先日うっかりスマートフォンで漫画をジャケ読みしてしまいました。タイトルは「デキる猫は今日も憂鬱」。

デキる黒猫・諭吉は、スーパーズボラOLである飼い主の幸来(さく)のため(猫缶を買うお金を稼いでもらうため)に、人間の言葉を理解し、家事スキルが身に付き、人間並の大きさになってしまったという、とんでもない設定の猫だ。

朝なかなか起きない幸来を起こして歯磨きや着替えを手伝い、夜は夜で酔って帰宅し、玄関で寝る幸来を風呂場まで連れて行き、お風呂に入るのを手伝う。他にも掃除・洗濯はもちろん、とても美味しい料理(手作り弁当を含む)を作り、スーパーに買い物まで行く。店員や客をざわつかせるのだが、そこはコメディ漫画だけあって絶妙なラインで猫だとバレることはない。

家に猫がいるだけでも癒やしなのに、時に母のように、時にプロレベルの家事代行のように、なんでもやってくれる夢のパーフェクトにゃんこ・諭吉。なんて理想の同居人(猫)なんだろう。なんて憧れの生活なんだろう。漫画を読み進めるほど「諭吉、私の家に来て!」と強く願うようになった、本気で幸来がうらやましい。

おまけに、人間のような諭吉から時々飛び出す猫の習性は、猫好きの心をくすぐってくるし、諭吉による家事に関する豆知識も出てくるから、日常生活の勉強にもなったりする。軽い気持ちで読み始めたのに、気付いたらいつの間にかどっぷりハマっていた。

真面目にこの漫画を深読みすれば、今の世の中、モノが溢れすぎて汚部屋に住む人が増えているようだし、ADHDも広く認知されるようになってきたし、仕事が忙しすぎて家事代行に依頼する人も増えているらしい。きっと幸来は現代人の問題点を集約したキャラクター設定で、鈍感力が高いゆえにハッピーな人生を送ることができているのではないだろうか。きっと「デキる猫は今日も憂鬱」は、非現実的なコメディのそこかしこに現実世界の問題点が潜んでいる漫画なのだ、きっと。

「デキる猫は今日も憂鬱」
作者:山田ヒツジ
2018年に「少年シリウス」(講談社)で連載を開始した山田ヒツジによるコメディ漫画。「全国書店員が選んだおすすめコミック2020」で11位を獲得し、今年7月にはアニメ化され、現在絶賛放送中。
TVアニメ「デキる猫は今日も憂鬱」Official HP


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