ロードレースのチームワーク
前回のポストの反響が大きすぎて、驚いてるのですが、まあジェンダーの問題については、TooMuchに発言しすぎたらしすぎたで活動家みたいになるし、かと言って、言わなければ何も起こらないし、でも言い出したらキリがないし。。。とデリケートな問題なのでまた感じることがあれば書きます✍🏻
というわけで、今日は自転車競技の中でも私がプロとして走っている「ロードレース」という本当に不思議な世界のことを書こうと思います。あくまでも、ヨーロッパのチームでの、経験というか実際を書くので悪しからず。
一応、ロードレースはチーム競技です。チームに所属していないとプロのレースには出れません(ナショナルチームは、除く。)。と、まあわかりやすくいうとチームで一番勝てそうな選手をみんなで勝たせるために、エース以外はボトル運んだり、レース中の安全な位置どりとか、最後のリードアウトとかをアシストしてます。その辺は、重要なチームワーク。
ここで面白いのが、よく「そういうチームで走るとか、チームワークとかみんなで練習しないの?」と聞かれることがあります。答えは、ほとんどしません。というより、チームメイト、選手もスタッフも全員、ヨーロッパはヨーロッパですが、違う国(自分の国)の自分の家に住んでいますし、レースがあればスタッフさんから現地の空港までの飛行機のチケットが送られてきて、現地集合です。そしてレースが終わればその日のうちに空港に送迎してもらい、解散という流れです。そして、レース前にミーティングをして、その日の自分の役割と誰で勝ちに行くかを決めて、Go!だけです。
チームで全員で練習するとしたら、シーズン前のトレーニングキャンプかレース前日の試走で少し最後のリードアウトを確認するくらいです。
なぜいきなり今日はこんなことを書いているかというと、私がチームメイトと一緒にライドではなく、「トレーニング」するのがかなり苦手で、チームといますがトレーニングは別にしてるからです。(決してイジメられてるわけではありません🙈) 今アデレードでのレースが終わり、次のメルボルンでのレースまで10日間あり、男子のダウンアンダーが開催されているこの1週間は、女子チームは引き続き同じステイ先に滞在して、各々チームによってはイベントに行ったり、もちろんトレーニングもしています。オーストラリアの地元チームやオーストラリア人は、10日後のレースまで自分の家に帰る選手も多く、私のチームのエース、クロエもレース翌日に自宅に帰っちゃいました。(そうです。チームの遠征中だからと言って、絶対に一緒に四六時中、寝食も共にしないといけないわけではないんです!) そして、残されたメンバー5人でこの1週間は、それぞれのトレーニングのボリュームやメニューなどを相談して、トレーニングを行なっています。だから自ずとみんなで一緒に、となるわけなのですが、私はトレーニングはトレーニングで1人でやりたい派なので、毎日1人で別ルートでトレーニングしています。それも別にみんなに言えば、OK。
(もし日本でこんなことをしたら、なんて協調性のないやつだってなって、チームからも干されるかもしれませんね。わかんないけど🙈)
なぜ、私がいわゆるグループライドをしたくないかというと、チームでの練習は基本2列で走ります。隣になった選手とスピードを合わせないといけません。(別にこれはみんなで走るテクニック練習とかそういう問題じゃなくて、そういうものなんです。だからチームライドしたからといって、集団内での位置どりが上手くなるわけじゃないです。)
余談ですが、12月にあったチームキャンプでも自分としては良い感じのペースで登ってたら、ハンドルバーの位置を合わせてって隣の選手に注意されたり、昨日は「私は私のメニューとコースで練習するよ。」ってチームメイトに言って最初は一緒に走りだして、気持ちいいペースで登ってたら、それ全然Easyじゃないって言われたりしております。(いつも若干空気読めない不思議ちゃんです。)
そりゃ、チームで練習したらクライマーもいればスプリンターもいて、それを一緒にグループで練習となれば、お互いに得意不得意なところで待ったり、トレーニング負荷を合わせないといけなかったりで、
「みんなで走る」っていうチーム感が生まれたり、チームメイトと仲良くなれたりはありますが、本当に適切なトレーニング負荷がかかっているのか、というと?マークです。1人だと常に先頭固定ですが、グループだと誰かが順番で後ろになって楽になってしまうわけで。
とはいえ、チームはチーム。トレーニングはトレーニング。その落としどころというか、自分はどうするかはかなり重要です。
そう、私は日本生まれ日本育ちの日本人です。そういう周りに合わせないと!と、考えないわけではないです。まずは、チーム監督に聞いて、チームメイトに聞いて、そこから始めました。もちろん、トレーニングは絶対にみんなで一緒にだ!って言われたこともありますし、逆にコースの試走以外はみーんなバラバラだったりしたこともあります。そんな経験から一番大事なのは、「そのトレーニングで強くなってますか?大丈夫?」って常に自分に問いかけること。
正直、チームで一緒に練習行こうって言われてるのに、断るのにも勇気がいります。勝手ばっかりしてたら干されるんじゃないかとか。。。基本、小心者なので。(もちろん、1時間くらい流して、カフェに行くようなライドの日には一緒に行きますよ👌🏻)
でも、最終的に必要なのは、(ここ重要。)「レースで走れるかどうか。」だけなんですよ。いくら練習をたくさんしても、みんなと仲良く練習したとしても、逆に全然みんなと練習しなくても。レースで最後のリードアウトする時、アタックの掛け合いになった時、逃げを追わないといけなくなった時に、いい仕事をすることだけなんです。いくらみんなで走っても、スプリントに向けてペースが一気に上がった時に、前にいて、他のチームも組んでるトレインに負けないように、走れることだけなんですよ、必要なのは。
もちろん、そこに至るまでも至った後も、必要なのはチームワークです。でも、チームワークの前に、仕事ができる脚と嗅覚がないと、チームワークすらレースでできないのです。練習でトレイン組んでも、ローテーションしても、それはあくまで練習で。レースではチームの数だけトレインがあって、チームの数だけ作戦があって、男子みたいにお決まりのレースの展開もないので、基本トレインは割り込まれるし(私たちも仕方なく割り込むこともあります)、いつでもアタックかかるし。だから、最後のリードアウトもレース中のトレインも、レースでしか本当の位置どりとかは起こらないし、レースでしかその混沌としたプロトンの中でチームのトレインを作れないし、基本走れる選手は何も言わないでも、初めてのチームメイトでも初レースでトレインを普通に阿吽の呼吸で組みます。もちろんみんな、右とか左とかGO!とか叫びながらですけどね。)
そんなこんなで、初レースが無事に終わった今週は、チームキャンプみたいな感じで、アデレードに滞在してます。シーズンインしてからみんなでトレーニングするっていうのも、長いシーズンで、このオーストラリアにいる1週間だけですね、おそらく。それだけでもコミュ症な私は、「あの1人で練習行きたいです。。。」っていうのにビビりながら(日本人ですから。)、集団行動も苦手なので適度に1人でフラフラしなが、過ごしてます。
いろいろチームワークとか書きましたが、まあ選手によっては、モチベーションが保てないとか、楽しいから、とか一緒に高め合えるからという理由でグループトレーニングが好きな選手もいます🙆🏻♀️
でもなかなかチームの合宿所とかにみんなで住んでない限り、脚も気も合う選手が近くに住んでるというは難しいので、基本何かしらメニューがある時は1人で練習する選手が多いです。
実際は、レースに集合して、「仕事してねー。これあなたの仕事ねー。」で、走れればOK! 走れなかったら、あの子走れないね。って言われないにしても思われる(で、仕事できないとチーム内で認識される)ので、まあかなりシビアな世界です。
しかし、裏を返せば、強くて、仕事できれば、空気読めなくても、頭悪くても、不思議ちゃんでも、なんでもいいのも事実です。今まで見てきた世界のトップ選手なんて、それはもう。。。今のチームのエース、クロエだって「次のレースまで家帰るわーごめんねーじゃあまたメルボルンで!ちゃんとヨーロッパでのシーズンインを見据えて練習しなさいよー」とレース翌日に帰っちゃいましたから🙆🏻♀️
でも誰も文句言わないし、私もさすが、クロエ。くらいしか思わないですし、来週のレースでまた勝ってもらうために、エースが機嫌よくやることが大事です。
というわけで、このロードレースという、チームスポーツでありながら、いわゆるチームプレーも個人が強くないとそもそもできないわけで。
だから、「みんなでトレーニングすること」よりも実は「自分が強いこと」という方が重要だと私は思ってます。
事実、女子の場合、男子のように「日本人」が欲しい、「日本人」と契約したいっていうチームは存在しません。(3回もチームを渡り歩いて、わかりました。) 何も言わないでも、ボトル取りに来いって言われたらボトル運べて、エースのしてほしいことが走りでできて、強ければいいんです。あとは、ちょっと変でも、おかしくても、「こいつ悪いヤツではないな」と思われるくらいで大丈夫です🙆🏻♀️ (※当社比)
日本人特有の、周りに良く思われようとするあの気遣いは、本当疲れます🙉 自分を持ってる人間しか集まってない世界なので。
長々と書いちゃいましたが、まとめると。
まあまあレースで走れて、仕事できれば、コミ症でも、みんなと群れるのが苦手でも大丈夫なチームスポーツが自転車ロードレースなのです!!(違うかwww)
ではまた次回👋🏻
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