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レースのない8月と高地合宿

さてさて、例年ならチームでのレースも残すところひとつ、ふたつ、そして世界選手権で
日本の帰国スケジュールをしてる頃。。。

「例年なら」っていろんなことを比べるのにも、そろそろ疲れてきて、いわゆるニューノーマルな世界にそろそろ馴染まないといけないと思いつつも、まあね、いろいろあるんですよ。(ご想像にお任せします😏)

というわけで、ようやくというか、いきなりというか、1週間のステージレースのためフランスに来ています。
今年は、ジロローザ(女子のワールドツアーで1番長くて、選手とチーム的には1番重要なステージレース) は出ないので、8月も丸々レースがなくなり、あるのかないのか、場所も今のところ確定していない世界選手権からのクラシック連戦に向けて、個人的に2週間ちょっとの高地合宿をしていました。

場所は、プロ選手に人気のイタリアとスイス国境にあるLivigno ではなく、オーストリアにあるKühtai というところ。
2018年に世界選手権が行われたInnsbruckのすぐ近くで、少しは土地勘もあるし、トレーニング環境をいろいろ調べた感じ、Livignoより良さそうな気がしたので、Kühtai で行うことにしました。オランダの私の住む場所から車で行くと、Kühtai の方が1時間くらい近いかなというくらいです🚐 

実は、いわゆる高地トレーニング(Living High Training Low) をヨーロッパで、行ったのは初めてな私。(レースでたまーに上りゴールで走るくらいでした、本当たまに。)
4年前のリオオリンピック直前に、ある程度の期間を取って行ったのですが、ステイした場所が高すぎて(2900m)、地理的にトレーニングで低い場所に降りれる環境じゃなかったこともあり(つまりLiving High Training also High) であんまり個人的に上手く順応できなかった感覚があり(というか少し上っただけで過呼吸状態😵)、高地でのトレーニングに抵抗があったのが、ひとつ目の理由です。

そして、ここ3年シーズン中にまとまって(2-3週間+リカバリ期間1週間ほど)高地に行けるほど、レーススケジュールに余裕がなかったため、高地トレーニングみんなやってるし、やってみたいな、行きたいなと思いつつも、できていませんでした。
ちなみに、エース級の選手は、高地合宿にシーズン中にレースを組んでもらえるように、その辺融通がききます。女子の場合、選手全員がこの時期は高地合宿いきたいので、レース出れません🙋🏻‍♀️って言いだしたら、レース出る選手いなくなりますからね😅 
男子のようにツール組は、この時期は全員でチームで高地合宿みたいなのができるほど、予算もマンパワーも選手の人数もいないので、基本的に女子選手はみんな個人で(もしくは仲良い選手同士で) 行ってます。

というわけで、全日本もなくなり、8月あったはず(私がセレクションされてた)のレースが全部なくなり、不幸にもその分のスケジュール入れ替えを8月の他のレースで全然してもらえず☹️ で、みんなはナショナル選手権に、ヨーロッパ選手権に、その他、数レースしてるところ、私は8月1日のストラダ以外、またポッカリ丸1か月ノーレース😢 

コロナで全員がレースなくなって、みんなレースがしたい状況で、イタリアとスロベニアチームにいる日本人なわけですよ。男子のツアーみたいに、2手に分かれて、ヨーロッパのどこかでレースをやってるほど女子にはレースがなくてですね。何もかも、まず一言目には、「コロナで.....、大変な状況なんだ、みんな大変なんだ.....な?わかってくれ。」ってね。言いたいことは山ほどあるけど、もうね本当、言えないんです。

はっきり言って、全然良くはないけど、
高地トレーニングができたし、また1か月ぶりにいきなり(しかも7日間のステージレース🤯)だけどやっとレースができるし💪🏻ってことにして、前に進む以外ないんです。

そんな訳で、いろいろあったのですが、高地合宿は無事にいい感じでコンディション上げられて(※当社比👌🏻)、帰ってきてからはフラットな世界で酸素吸収しています😮 

そんな私のことより、高地でのトレーニングについて話した方がいいですよね😅 

前述の通りいろんな理由で、高地でのトレーニングを全然したことがなかった私。
小さい頃に喘息持ちだった影響なのか、全く関係ないのかどうかはわからないのですが、高地に一定期間滞在することはなくも、レースやトレーニングで少しでも高地に行くと、鈍感な私が自分でわかるくらい、明らかにパフォーマンスが落ちるので、高地でトレーニングするのにかなり抵抗がありました。
明らかに全身に酸素運ばれてなくて、すぐ脚だけじゃなくて身体がいっぱいになって、全然踏めない、あの感じ。
おそらく、あんまり高地への順応性は高くないタイプなんだと思います。(あくまで当社比🧐)

初日は、後ろ姿だけで辛そうな私🙈👇🏻

今回滞在(ステイ)したKühtai という場所は、2020m地点にあり、10軒くらいの大きなホテル(夏のシーズンはコロナの影響か分からないですが半分以上、閉まっていました。)と数軒のリゾートアパートメントと数えるほどのレストランとスキー用のリフトがいくつかあるスキーリゾートでした。
そもそも民家がないのでそこに住んでる人はたぶんいなくて、トレッキング、高地トレーニング、避暑地として滞在している人しかいないエリアでしや。
残念ながらスーパーもなくて、カフェもなくて、夏の間は2、3軒しかレストランも空いてないという、まさに陸の孤島というか、天空の城(ラピュタじゃないよ、見たことないけど🙈) みたいな立地でした。

キッチンがついてる部屋を借りたので、朝晩はほぼ自炊して、トレーニングして、散歩して、それ以外することが物理的に何もない!という精神と時の部屋ならぬ精神と時の高地でした😇 
なので?これを機についにiPad でKindleデビューしました✌🏻 めっちゃ便利なんですね!

あの奥に見えるのがKühtaiです👇🏻

肝心のトレーニングはというと、どこにトレーニングに行くにしても、まず500mほどの地点まで下らなければならないという場所で、主要道路で北側と南側の下りがあるのですが、どちらも20km弱下ります😅 
(つまり、最後は20km弱上らないとステイ場所にたどり着けないということです😇)

私が滞在している間、サンウェブの選手はチームでトレーニングキャンプを行なっていましたが、毎日朝からもちろんみんなで下ってました。全員のバイクを車に積んで、最初の下りを車で下りるというのは、チームだとたぶん難しいです。下りもかなり斜度があって牛がいたり、馬がいたり、何よりトレーニングの最初の朝一に30分弱下るのは、なかなか、なかなか、、、ですよね。寒いし🥶 
同じく、個人的に合宿に来ていたInnsbruck の世界チャンピオンのアンナと、ノルウェーの世界チャンピオンのチャンタルは、ほぼ毎回車で下まで降りてからトレーニングに行っていました。私も同じく👌🏻 

車で一気に下まで下りて、トレーニングが終わったら最後はドロップした車をコーチは運転して上って、私はバイクで上まで上る。下でのトレーニングが長ければ、車でKuhtaiまで戻っても良いわけで。
そうすることで、いろんなトレーニングのボリューム、バリエーションを調整することができました🙆🏻‍♀️

というより、そうじゃないと毎回最後は1500mをKühtai まで上らないといけなくなるので、それを考慮するとなかなかコースが取りにくくなります。
つまり、誰か車でサポートしてくれるバディーがいないと毎回、朝一の下り+最後の1500mUPがマストになってしまうので、結構辛いと思います。

コーチのサポートのおかげで、死ぬほど自転車乗れました😇 ありがとうございます🙏🏻
Ebikeで一緒にライドできて、毎日ご機嫌だったコーチはこちらです😇👇🏻

Kühtai 周辺の環境はというと、いわゆる大きな街や幹線道路があるのは、2000m、3000m級の山々の間もしくは川沿いで、基本どの方向にも峠を越えるもしくは峠で行き止まりルート以外存在しないという、峠天国😇 
そしてどの峠もピークまで行くと大体2000mです😇 + 上れば上るほど空気が薄くなるという負荷付き。

ここは2800mまで道があって、そのあとは3100mまでロープウェイと登山道がある峠でした👇🏻
(最後の数キロは亀のようなスピードでしか上れなかったのは、ここだけの話🤫)

ただ、2000mにステイして、一度下りてトレーニングを開始して、上ってまた下り(つまりLiving High Training Low)を繰り返すので、順応がしやすかったというより、常に酸欠状態でのトレーニングじゃなかったのが身体には負担が少なかったような気がします。
少なからず(私はかなり🙈)、高地に行けば行くほど、データ上パワーは出にくくなりますし、実際身体のフィーリングと出てるパワー数値が一致しないので、かなり最初の10日間くらい(結構長いwww) フラストレーションが溜まります(※当社比😅) この辺は個人差があると思いますが、私は身体のフィーリングが悪いとかなりフラストレーションが溜まるので、精神衛生上よくないです。そんな時は、牛でも見て癒されるしか、ここには対処法はありません🐃🐂🐄

それでもダメなら、もうパワーメーター見ないというセルフストライキを起こします😇 楽しそうにチロル地方のいろんな峠やピークまで、とにかく上って上って、お約束の記念撮影して、イエィ✌🏻って感じに見えますが、これだけ必死こいて上っても滞在時間、数分。下るためにジャケット着て、景色を堪能するでもなく即下る、だって寒いし🥶という、これが現実www 😅 

峠はお腹いっぱいになるほどあるのですが、多くは頂上で行き止まりというか山頂もしくはスキー場やロープウェイ乗り場になっていて、そういう場合はOut&Backで上ります。でも、斜度が緩めの峠もあれば(あんまりないけど🙈)、延々と10%越えが続いてるような峠もあるので、バリエーションはかなり豊富です👌🏻

イタリア側に降りると、オーストリアとはまた違うイタリアの雰囲気なケーキが食べれたりもします😋そして、数キロイタリアに入っただけでカフェはイタリア価格☕️

ただ油断して反対側に繋がる峠を、調子乗って下りたら、帰るのにその峠をもう一回引き返すか100km弱迂回するかみたいなことになっちゃうので、ライドプランはちゃんと峠の高低差と距離を調べてから行った方がベターです🙆🏻‍♀️

まとめると、高地トレーニングでちゃんと効果を出そうと思うと、最低2週間という時間が必要なことが、身をもって実感できた合宿になりました🙆🏻‍♀️ 3、4週間じっくり順応して、トレーニングしてリカバリー期間までいれると、さらに効果はあるのかな🤔
でもまあ酸素が薄いことに身体が順応して血中の酸素運搬効率が上がることにも頭打ちがあるので、いればいるほど良いという訳でもないんですよね。
だって、そしたら元々高地で生まれ育って、住んでるコロンビアの選手がみんな強いってことになりますから。コロンビアの男子選手はクライマー系の強い選手がかなり多いですけど、女子は一概にそういうわけじゃないので。
つまり、後天的、単発的に3週間程度あれば、高地に住んでいる人には及ばなくとも、ある一定のレベルには酸素運搬能力をあげれるんだなぁと。

ただ高地であればあるほど良いというわけでなく、Training Low ができて、そこまで空気が薄すぎない(つまりリカバリーができる)地点に滞在できるという条件を満たすKuhtaiやLivignoが、立地上、適した場所なんだと思われます。
春先のチームキャンプで、スペインのカルペやマヨルカでみんな走るのと同じような感じです。
春先は高地でトレーニングしたくても、どこもスキーシーズン、つまり雪が積もっててトレーニングができないので。
シーズン前は、暖かいスペインに行き、シーズン中は涼しい高地でトレーニング兼、高地順応というわけです。

レーススケジュールの関係で、シーズン中にまとまって高地合宿に行けない場合は、自宅で低酸素テントの中で寝て、Sleep High Training Low で高地トレーニングを行う選手もいます。ただこの低酸素テント、イタリアではアスリートに禁止されてるみたいです。(ドーピングとみなされるのか、アスリートの健康面での配慮なのか、理由はわからないですが、イタリア人のチームメイトが言ってました。まあこの低酸素テント、ダイヤルひとつで、高山病になりそうなレベルの酸素濃度まで設定できうので、そういう理由なのかなあ🤔)
とりあえず、人工的に行ってもそれくらい効果があるってことですね。

私はあんまりデータとか理論とかそういうので走るタイプの選手じゃないので、高地トレーニングについての論文とか研究とか細かいことは全然知らない(というか興味ない🤭) のですが、
今の時代、たくさん論文やデータもあるので、どれくらいやればいい、どれくらいの高度でどういう風に、など情報は溢れてるんですけど、
そもそも実際やってみないとわからないことだらけですね。

まとめると、今回のKühtai でのトレーニングキャンプは、めっちゃ良かったです🤘🏻

いつも感じてることなんですが、やっぱりヨーロッパでレースしてる選手たちと同じことを、まずはやってみないと、何もわからないですね。機材とかそういうのは、チームによってスポンサーが違うので、あのメーカーのあれが良い!から使うというのはできないですが、
どういうトレーニングを、どの時期に、どこで、どういう風にしてるのか、それを情報として入れるだけじゃなく、同じようにやってみないとね。

そこでやってみて初めて、自分にフィットするのか、これは私には合わないなぁとかがわかるので。
そもそもヨーロッパに家があるわけじゃなかった私の、ヨーロッパでのレース活動が始まったのがちょうど4年前の今頃。
リオオリンピックが終わって、ひと息つく間もなく、単身でフランスに飛んで。右も左もわからないで、ヨーロッパでレースし続けることに決めて、まずは帰る場所、拠点を作るところから始まって。
まだまだわからないことばっかりだし、今思えば4年前に来た時から3年前からやっとけば良かったなあ、なんてことも正直あるのですが、たぶんそれはそれで。
全ての物事には、タイミングっていうものがありますから。(※当初比)

だって本当だったら、今頃もう東京オリンピックが終わって、その走りによって、今シーズンの結果によって、今後の自分のキャリアを考えてたはずなのにね。(遠い目😑)

先日、Cyclowiredさんにインタビューして頂いた通り、このままじゃ辞められなくなっちゃいましたよ🙈 

という訳で、ただの高地トレーニング楽しかった日記みたいになっちゃいましたが😅
まずは目の前のレースひとつひとつ納得できるパフォーマンスで走れるようにしないとね。次に向けても💪🏻
ストラダで全然走れなかったし、明後日からのフランスでのステージレースは上手く走れると良いなあ🤞🏻 

では行ってきます👋🏻





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