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Story of eri Pancake(001)

毎週日曜日の夜は、わたしが所属しているバンドのミーティングです。油断するとすぐサボってしまうわたしのためのルールです。たとえ練習や作曲をしていなくても、ミーティングにはちゃんと出て、来週こそは進捗を報告できるよう、自分自身を戒めるために。

バンドなんて、やりたくて好きでやってる活動のはずですよね。なのにどうして油断するとサボってしまうのでしょう。その理由は、わたしがこのバンドに参加することになった経緯から説明すると、わかりやすいかも知れません。このお話しは、今から3ヶ月ほど前まで遡ります。

2021年11月、わたしはいつものようにセカンドライフのインワールドにあるアルバイト先のカフェで、接客をやっていました。いつもの常連さんたちとくだらないおしゃべりに盛り上がっていた時、ある人がふと、いきなりこんな事を言いました。「えりちゃん歌って」

わたしは笑いながらやんわりとお断りしつつ、心のなかでは「これは困ったぞ」と思いました。いまここで断っても、この展開、明日もきっと言われるに違いない。そしてその流れは、これから先ずっと、意を決して鼻歌でも何でも歌わない限り、言われ続けるに違いありません。

いきなり生ライブで、なんてとても無理です。色々と考えた結果、自分のYou Tubeチャンネルに限定公開の動画を上げて、それを見て(聴いて)もらって、「ほらね、こんなに下手なんだから、もう『歌って』なんて言わないで」と釘をさす方法を思いつきました。これならダメージは最小限で済みます。

とは言え、生まれてからずっと音楽とは縁遠く、聴くことからも歌うことからも遠ざかって生きて来たわたしにとっては、まるで人前でお洋服を脱いでいくに等しい恥ずかしさがあり、何度もリテイクして、これは歌なのか?歌とは何なのか?と思えるような、超不思議な表現行為の結果が生まれました。

これなら、このクオリティ(の低さ)なら、あきらめてくれる!そう確信して、何人かの、前述の常連さんたちにリンクを送りました。なにしろ、本当に歌なんて歌ったこともなく、熱心に聴いた経験も、誰かを応援した記憶もほぼ無いという、No Music No Lifeならぬ、No Music Lifeな、ちょっと変わった生い立ちです。

音程ってなに?リズムってなに?抑揚ってなに?歌って・・・何なの?そんな思いを抱きつつ、こういうのは好きかなぁっていうミュージシャンの曲の歌のない演奏だけの動画を見つけて、その動画を再生して、それに合わせてただ声を出しました。それが正解なのか不正解なのかもわからないまま。

その動画を見た人たちの反応は、やはり、思ったとおり、ほぼ全員が、「えりちゃん、歌はね、心だからw」と、わたしの肩を叩きながら、苦笑交じりに感想を返してくれました。ほらね、やっぱり、だから言ったの。でもこれでいい。いっこ問題クリア。と思っていたところ、意外な展開がありました。

たったひとり、他の人達とはまるで違う反応をしたひとがいらっしゃったのです。最初はからかわれているのかなと思ったんですけど、でもそうではない。とにかく、わたしの歌を聴いたそのひとも、そのひとの感想を聞いたわたしも、びっくりしました。一体、なんて言われたのか。次回に続きます♫

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