2018年1月の今日のうた
2018年1月1日
このてから
こぼれておちる
これはなに。
ひかりのどけき
はつはるのゆき。
2018年1月2日
飴色のやけにリアルな夢が、ほら。
カーテン揺らす。また目を閉じる。
2018年1月3日
やわらかな光の粒に埋もれてく。
「またね」はいつも貴方の束縛。
2018年1月4日
肺の中つめたいひかりに満ちて、まだ上半身は人間のまま。
2018年1月5日
きれいごと、つぎはぎだらけ、よまいごと、つきのみちかけ、あとすこしだけ。
2018年1月6日
月世界旅行の片道切符ではたどり着けない。
星が揺れてる。
2018年1月7日
若菜摘むあなたは、矛盾に濡れて泣く。
毒にも薬にもなれないと。
2018年1月8日
きみにもう触れることない手のひらでゆっくり溶けるひとひらの雪。
2018年1月9日
レコードの針が
宇宙を彷徨って
ふたりは静かな
野獣(ノケモノ)
だから。
2018年1月10日
はらぺこのあおむし
いっぴき、みをちぢめ、
はるになったら
ひつじになりたい。
2018年1月11日
僕たちは麻痺した舌を出しあって愛しているのは美しい嘘。
2018年1月12日
眠られぬ儘に来し方、行く末を思い回らす浮雲ひとつ。
2018年1月13日
ジムノペディあやなす
梨の形した干からびた月と
病む犬のため。
2018年1月14日
振り返る見慣れぬ街のまやかしに。
あなたはいない。わたしはひとり。
2018年1月15日
荒れる山越えて息巻く冬将軍。
私はバスに乗って来ました。
2018年1月16日
「置いて来たガラスの靴を王子だけ気付く確率を算出しなさい。」
2018年1月17日
紫煙汲む貴方の
指に光る銀色の
光が雨に滲むの。
2018年1月18日
駆け下りる12時を今12時間過ぎ駆け上る光の階調。
2018年1月19日
窓の外、雪の気配に背を向けて
「僕たちもっと傷つけ合おうよ」。
2018年1月20日
白鳥座見えない真冬の新宿はジークフリードの亡霊だらけ。
2018年1月21日
ながれ星たどれば、ひみつの森、ふかく、こんぺいとうのまあるくあまい。
2018年1月22日
しんしんと降り積む雪の冷たくてカップの底に溶けない沈黙。
2018年1月23日
透明な夜に色鳥採りに咲く三日月と蝶は夢む足取り。
2018年1月24日
男でも女でも子供でも大人でも人間でも魚でもない。
2018年1月25日
私から世界はまるごと遠ざかり木星あたりでまた逢いましょう。
2018年1月26日
食べかけのチョコレートばかり増えていく。夢なら早く覚めればいいのに。
2018年1月27日
愛なんて、光の反射。永遠に抱いていられるはずなんてない。
2018年1月28日
不可思議な絶滅危惧種の豹柄の白熊、今夜も擬態できない。
2018年1月29日
スーツからちらちら覗くしましまの靴下見てる。恋かも知れない。
2018年1月30日
目も合わないふりする貴方の眼鏡なら
曇ったままでいいと思うよ。
2018年1月31日
かさなれば冷たい影のよにわらう。
わたしの分だけ足りないあなた。
(皆既月蝕)
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