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ハープの音色に身を委ねて - 特別なある日

Bjorkとハープは、雨のフジロックで

2003年のフジロック、Green StageでのBjork。
直前のプライマル・スクリームからずっとどしゃ降り。
舞台でオーケストラのセッティングが進む中、現場スタッフの方達が、ハープの調整に苦戦していた。(ハープは木でできてるため、湿度を最適にしておかないと、割れたり、膨らんだりして演奏に支障が出るらしい)
「このままライブ中止になったらどうしよう…」なんて心配をしてたけど、無事にスタート。
その時の安心感と高揚感が、雨でびしょ濡れだった私の体の中心を、一気に温めてくれた。
この日が人生初のフェス体験、そして、人生初のハープの生演奏を聴く機会、そして、野外の夜の幻想的なライブは、言うまでもなく、最高だった。

Bjork 『Vespertine』(2001)


アリス・コルトレーンのサンプリング

2012年、Oneohtrix Point NeverのDaniel Lopatinのレーベル〈Software〉からリリースされたSlavaのEP『Soft Control』を、気に入ってよく聴いていた。
それからどれくらいの月日が経ったかは覚えてないけど、Alice Coltraneのアルバムを聴いてたら、ビリッ!と雷が落ちたみたいに自分の体が反応したある1曲のフレーズがあった。
『Soft Control』に収録されているとある1曲の一部が、そのフレーズをサンプリングしたものだと確信して、自分の部屋でひとりでドキドキ、にやにやしていた。

Slava『Soft Control』(2012)


グルーヴにも、白ワインにも酔う

2017年、新宿のブルックリンパーラーで行われた、ハープ奏者のBrandee Youngerのミニライブにふらっと立ち寄った。
ハープの弦をグルーヴィーに弾(はじ)き、時に優しく撫でるように演奏する彼女。
空間全体に広がっていく煌びやかな繊細な音の粒たち。
極上の時間が流れていく。
私は白ワインを飲みながら、ゆらゆらと体を揺らしていた。
ライブの後CDを購入して、サインもいただいた。
カタコトな私の英語に、彼女は「Thank you!」とにっこり微笑んでくれた。

Brandee Younger『Wax & Wane』(2016)


夏へ向かう途中の一夜

2019年、ハープ奏者のMary Lattimoreのアルバム『Hundreds of Days』をヘビロテしていた私は、7月に渋谷WWWで来日公演に足を運んだ。
春から夏へと向かう少し不安定な気候に、そっと静かに寄り添い、包み込んでくれるような一夜。
公演後もしばらく彼女のアルバムを無限ループで再生し、ハープの音色を口ずさむ日々を過ごして、その余韻を楽しんでいた。

Mary Lattimore『Hundreds of Days』(2018)


ハープ特集のラジオ

2020年、自分のラジオ番組〈In Every Second Dream〉で、ハープの音楽を集めて放送した。
最近の電子音楽から1970~80年代のジャズ、ニュー・エイジ、民族音楽などジャンルも年代もいろいろで、さらにMary Lattimoreにもインタビューを行った。
彼女の幼少の時の可愛らしいエピソードから、楽曲制作におけるプロセスやハープの魅力を語ってくれた。
コロナウイルスという現代人が経験したことのない出来事に、不安と戸惑いでいっぱいだった世界に、少しでも希望が見出せれば、と、自分の存在の小ささも自覚しながら、ひっそり思っていた。

この時、Bjorkの『Like Someone In Love』の後に流したのが、ロサンゼルスを拠点に活動するハープ奏者でありシンガー、ビートメイカーのLow Leafの『Vetiver』という曲だった。
野太いベース/ビートと、美しいハープの音色が織り混ざった『Baker's Dozen』というアルバムからの1曲。
これ、ハープなの?と思ってしまうような、今まで聴いてきたハープとは違う感触が、そこにはあった。

Low Leaf『Baker's Dozen』(2019)


特別なある日

そして、2023年。
2月1日〜3日にLow Leafが初来日公演を行う、ということで、本当に信じられないような偶然が重なって(詳細は割愛!)、初日の公演時のDJ(ミュージックセレクター)を担当させていただくことになりました。
会場は、恵比寿ガーデンプレイスに最近できたばかりの「BLUE NOTE PLACE」です。
あのブルーノートが手がけたダイニング、ということで、音も空間も、もちろん最高級。ディナーメニューも充実しています。(オレンジワイン美味しかった)
それをテーブルチャージ(1,100円)のみで楽しめるという、まったく新しいスタイルの開かれた場所です。

ハープの生演奏は、本当に、想像以上に感動します。
誰にとっても「特別なある日」になることをお約束できると思います。
是非、この機会にいらしてみてください!
詳細はこちらからどうぞ


インフォメーション

LA発、スピリチュアル&オーガニック、フォーキーかつエレクトロニックなニュースタイルのR&B。時代の扉を開くマルチ・プレイヤーが初来日

フライング・ロータス『コスモグランマ』、マーク・ド・クライヴ=ロウ『チャーチ』等に参加。ロサンゼルスを拠点に活動するハープ奏者、ギタリスト、シンガー、ビートメイカーのロウ・リーフが遂に来日する。最新リリース作品「Bubinga」と同じくソロ・セットの公演で、内容はインプロビゼーション主体になる予定。唯一無二の存在感と音楽性でシーンに刺激を与え続ける彼女の“今”を至近距離で体感したい。

Date & Showtimes
2023 2.1 wed., 2.2 thu., 2.3 fri.
Open 17:30
start DJ : 18:00
LIVE :19:00
end DJ : 22:00
close : 23:00 (L.O : 22:00)

【LIVE】
Low Leaf (harp, vo, electronics, keys)
ロウ・リーフ(ハープ、ヴォーカル、エレクトロニクス、キーボード)

【Music Selector】
<2.1 wed.>
DJ Emerald
Wataru Sakuraba

<2.2 thu.>
Ren Yokoi

<2.3 fri.>
柳樂光隆 / Mitsutaka Nagira

BLUE NOTE PLACEオフィシャルサイトより

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