女の子ばんざい!

3か月ぶりに脱毛に行った。

今日施術してくれたおねえさん(と言ってもわたしより年下だった)は
よく喋る人で、わたしの脚に触れるなり
「うわあーめっちゃすべすべですね!毎日保湿してるんですか?」って
ほめてくれた。

もともとわたしは自分の身体には無頓着なタイプで
ハンドクリームは塗るけど、
ボディクリームのことはずっと存在を無視していた
そういう女子力の低い人間だった。

身体のケアなんて洗うだけで充分、
全身保湿するなんて冗談じゃないと思っていたのだけど、
最初に通った脱毛サロンで熱心に保湿するよう
指導というか脅されたおかげで
すっかり風呂上りに毎晩ボディークリームを塗る習慣がついてしまった。

脱毛に通うようになって3年、
契約が満了したのを機に別のサロンに移ったので
今通っているところは2店舗目になるのだけれど、
そういえばここでは保湿しろとは言われない。
おねえさんによると、やった方がもちろんいいらしいし、
意外なことにケアしていない人も多いらしい。

腕とかもさわられながら何度も
「めっちゃすべすべで気持ちいいです。モテ肌ですね」って言われて
なんかうれしかった。

脱毛に通ったおかげで薄くなってはいるのだけど、
毛が濃かった頃のコンプレックスが抜けない&
日に焼けたくないからあまり肌を露出しないという
色気のない生活をしているので
もっと自信を持っていいのか!ってなんだか驚きだった。

恋人でもいなけりゃ、普段他人と肌が触れ合うことってそんなにないし、
こんなにお金と手間をかけて努力しているのだから
わたし恋をしないといけないなあと思った。
男の人にさわってほめてもらう権利が、今のわたしにはある。
漠然とそんなことをおもった。

思えば好きな人からふられて3年、
脱毛に通いだしたり、転職したり、料理教室に通ってみたり
なんかいろいろやってきたけど、どれも全部わたしの場合は
「いい女になって見返してやろう」とか
「わたしをふったことを後悔してほしい」とか
そういったガッツや恨みが原動力ではまったくなく、
ただ何かをしなければ、何とかしてこのダメージを埋めなければ
ただただそういう気もちだけだった。

好きだった人に対しては
「お願いだから戻ってきて、嘘だと言って」って
縋り付くような気もちしかなかったし、
とてもじゃないけど歯向かう気もちにはなれなかった。

失恋して自分に自信がなかったし、何かしていなければ不安で
だから闇雲に動いていただけだ。
自分が前に進めている実感がなかったから、
せめてもの既成事実を作って逃げたかったのかもしれない。
こんなにたくさん泣いて苦しい思いをしているのだから
何か得なければ、何か変わらなければ。
ただひたすらずっとそんなことを思っていた。

もう会うことはないとは思うけれど
もしも会えた時にわたしだけずっと同じ場所にいるのは嫌だ。
「変わった」って「自分の知らない新しいわたしになった」って
そういう風に思ってほしいという気もちはどこかにあって、
それがわたしの好きな人に対する唯一の抵抗だったかもしれない。

最近になってようやく、
好きだった人のことをあまり執着せずにすむようになって、思う。
あれから結局わたしは変われたのか、レベルアップできたのか
それはよく分からないけど、
でも今のままでも自信持っていいんじゃない?って。
わたしは毎日がんばっているし、わたしは可愛い。

好きな人をうしなったのは大きな痛手だったけれど
それと引き換えに少なくともわたしはすべすべの手足を手に入れたのだ。
そう思うと案外悪くない気もしてくる。

女の子ばんざい!





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