アガパンサス(誕生花ss)
2週間の実習も今日で最後となったが、未だに実習先へ向かう緊張感は拭えない。私は忘れ物がないかという強迫観念に駆られながら、山沿いの道を急いでいた。
そこへ、不意に一人の子どもが現れた。立ち塞がった、と言っても良い。小学生低学年くらい、少しぽっちゃりとした体型の、可愛らしい男の子だ。早足でその横をすり抜けようとしたが、男の子は黙ったまま、私の行手を阻んだ。道幅は狭い。なんだろう、大人をからかっているんだろうか。
私は困り顔を作って、男の子を見た。お姉さんはここを通りたいん