ビオラ(ショートショート)(天使と悪魔シリーズ12話)
【天使のことが大好きすぎる悪魔と、彼に惹かれていく天使の、見た目BL小説群の12話目です(これまでの話はマガジンをご参照ください)】
その日は懇意にしている書店の主人とつい話し込んでしまい、帰路に着いた時には夕方になってしまっていた。夕陽の金と夜闇のプルシアンブルーが、天上界への扉の辺りで美しく交わっている。沈みつつある輝きの、その一条の光に照らされて、小さな花が揺れているのが目に留まった。白いビオラだ。街の中心部、噴水を囲むように設置された花壇の中、自身より大振りのパン