㊗芸能活動20周年「不確実な未来に乾杯!」DEAN FUJIOKA BillboardliveTour 2024 レポート(大阪・東京・横浜)
2004年、香港で芸能活動を始めてから今年で20周年を迎えたDEAN FUJIOKA。
8月に44歳の誕生日を迎え、その前後に自身初のBillboardliveTour大阪・東京・横浜の3都市各2日間、全12公演が開催された。
Billboardliveは世界基準のトップアーティストだけに許されたライブレストラン。
一番の魅力はなんと言ってもこの近い距離感だろう。
DEANと目を合わせ、演奏と歌声に酔いしれ、同じ時、同じ場所で共鳴できる貴重な体験。
大阪・東京・横浜を、1つのライブとして再現したライブレポートをお届けします。
※「不確実な未来に乾杯!」は8/26 1stでDEANが「不確実な未来には可能性を感じる、いい事あるで」と言ってみんなで乾杯したエピソードから。
(セットリストは最後に掲載)
OSAKA(8/7 1st. 2nd.~8/8 1st. 2nd.)
BillboardliveTourが大阪からスタートしたことが運命としか思えないエピソードがある。
DEANは2015年9月に観客としてBillboardliveOsakaの右エリアのカウンター席を温めたと明かした。
それはR&Bボーカルグループ、Full of Harmonyのリードシンガー、MIHIRO〜マイロ(Mhiroに改名)の単独ライブだったという。
終演後の楽屋で、今回特別に結成されたSweet Talk Bandのメンバーのうち、半分くらいの人たちとはここで出会ったと大阪では語っていた。
舞台上にはサックスとコーラスが新たに加わった8人編成のバンド。
さっきまで談笑と食器の音が絶えず聞こえていた会場にバンドメンバーが登場すると、期待と緊張が入り混じるオープニングナンバーが始まった。
Billboardliveの楽しみのひとつは、アーティストが観客の目の前を入退場することだが、例外なくDEANも客席右エリアの奥の扉から突然姿を見せると、熱狂的な大歓声で迎え入れられた。
高まる音楽の中、騒然となった観客と観客の間を颯爽と進み、階段上で立ち止まると、大歓声のなか白いジャケットの両腕を広げカッコよくポースを決めるDEAN。
満席の観客を見渡すと口元に笑みを浮かべステージに降り立った。
1曲目は『Searching for the Ghost』。
ベースとドラムがリードするロックで重厚なリズムのなか、DEANはスタンドマイクの前に立つと正面に視線を据えて歌い始めた。
それは今まで体験したことのない至近距離の迫力だった。
テーマ曲だった月9ドラマ『シャーロック』を思い出し、DEANの表情に誉獅子雄を重ねた観客もいただろう。
2番になるとハンドマイクに切り替え、左サイドへ右サイドへと歩きながら、クールな眼差しで観客ひとりひとりの顔を覗き込み、ハートを射抜くように視線を交わしながら歌うDEAN。
磨き上げた歌唱力に加え、クールな美貌に圧倒された印象深いオープニングだった。
続く2曲目の『Teleportation』ではさっきのクールさが別人のように笑顔が弾けた。
ドラムがリードする軽快なビッグバンド風の曲に合わせ、手拍子しながらステップを踏むDEAN。
しかも「いいね、いいよね」のところでは、右手と左手でサムズアップ(日本ではグッドサイン)をかわるがわる笑顔で出す振り付け。
あまりの可愛さに、良い意味で今月44歳を迎えた大人男子にはとても見えない。
観客の表情も緊張感が解け、いまここで会えた喜び、アップリフティングな高揚感に包まれた。
MC①
「大阪ただいま!帰って来たで〜大阪!」
拍手喝采で迎える満員御礼の観客。
「ただいま」と言えるのはこのツアーに関しては大阪だけだ。
実際に父方の祖母は大阪出身だと語っていたが、大阪もDEANにとって特別な故郷のひとつに違いない。
「新しいスタート」と位置付けたこのツアーを、大阪から始められた事への感謝も伝わってきた。
また2015年の朝ドラ撮影中は阿波座に住んでいて、靭(うつぼ)公園の近くのスリランカ料理店によく行っていたこと、大阪にはDEANが演じた五代友厚の銅像が少なくとも5体あるが、今回は北浜の五代さんに会えていないこと、五代さんが日本との縁を繋いでくれたことなどを感慨深く語った。
DEANの紹介で3曲目は『Let it Snow! 』
オリジナルでも印象深いサックスの音色だが、その期待を裏切ることなく真夏の大阪は一気にロマンティックな雪景色に変わった。
今回「歌い手として」ここに立っていると宣言した通り、DEANはハンドマイクを手に得意なファルセットと伸びやかな歌声を披露すると「C'mon!」と「La La La …」をみんなで歌うよう誘った。
ラストはドラムの華やかさとソウルフルなコーラスで盛り上げ、今までの『Let it snow! 』がさらにエモーショナルに進化した印象深いナンバーとなった。
3曲目から途切れることなく4曲目は『Shelly』。
興奮した会場が次第に落ち着きを取り戻し、DEANの歌に集中し静まり返った。
スポットライトを浴びるDEANはハンドマイクを右手に、左手では手振りをしながら歌う。
サビではDEANの熱唱とサックス、そしてコーラスが美しく絡み、中国語のパートではジャジーなワルツのようなピアノの軽やかさにステップを踏むDEAN。
That’s what she said はいつもコーラスのyuiさんのほうを向く。
伸びのある歌声はラストになるにつれ力強さと迫力を増し、夢見心地の至極のナンバーとなった。
TOKYO(8/11 1st. 2nd.~8/12 1st. 2nd.)
フロアがフラットだった大阪と比べるとステージ前が狭く感じるが、縦に長い3層構造になっており、フロアにいると音が天から降り注いでくるようなBillboardlive Tokyo。
両日の2ndでは、アンコールで正面の幕が開くというBillboardlive Tokyo恒例の演出で、六本木の夜景をバックにDEANの歌声と演奏を堪能できる至福が待っていた。
さて、流水がこぼれるような美しいピアノの旋律に心洗われたと思いきや、そのピアノは、5曲目『Echo』の前奏へ繋がる。
出だしの和音は教会の鐘の音のように重々しさが加わり、DEANの力無い歌声の「wow wow…」は湖のように深い哀しみをたたえている。
波打ったように静まり返る客席。
『Echo』はロンドンのクラブシーンで盛り上がったwaveを日本で初めて取り入れた楽曲と評価されているが、今までのどの演奏よりも、かなり遅めのBPMではないだろうか。
けれどその先で爆発する歌唱とパフォーマンスの迫力は筆舌に尽くしがたいものがあった。
DEANの熱唱は、どうしてこんなに頑張れるのだろうと思うほど激しさを増し、観る者を圧倒し、ひとつのピークへと空間を席捲していった。
間奏でDEANはモンテ・クリスト真海の眼差しで、上層階を右から左へと指差し、頷きながら指差す先に視線を送った。
全身全霊のtell me whyは魂の叫びだった。
ラストで光の筋が天から降り注ぐと、DEANの歌声がまるで命の終わりのようにふと途切れた。
しばしの静寂、そして絶命のブレスが静かに、かつ印象深く響き、そこからは波紋のように深い余韻が広がっていった。
しばらく拍手を忘れるほどに、圧巻のパフォーマンスだった…。
MC②『Echo』直後のMCは難しいと、DEANはステージ上で本音を漏らした。涙で頬を濡らす人が多すぎて軽口を叩けない、もらい泣きしそうになった事も…。Billboardliveの距離感ならではのエピソードだろう。そんな涙に共感して、DEANも止めることができなかった自身の涙の経験談や、東京ドームへの熱い思いを話り観客に協力を仰いだ。観客からは温かなエールが送られた。
DEANは男性客や子供たちに自ら気軽に話しかけ、会場からの声にも敏感に反応し、時には「もっと自己主張して!」と積極的に観客とコミュニケーションをとり、微笑ましいやり取りが繰り広げられた。
また新しく生まれ変わるFamBamの理念も説明され、Food Driveも別途案内されること、新しくできるアプリは人と人との繋がりやぬくもりを感じるこができるびっくりするようなアプリなので事前登録をするようにとの話があった。
DEANの「我こそは一番遠くから来た人!」などの「挙手アンケート」は恒例だが、今回も「遠くから来た人選手権」は、台湾、香港、イタリア、ドイツなど各国に及んだ。
今回新たに分かった事は、DEANのライブのリピーターは全体を通して約8割、Billboardliveに初めて来たという人も約8割で、両者は重なる傾向にあった。
さらに約1年前の日本武道館ライブに来た人は、大阪でも約6~7割に上り、横浜はファイナルに限れば9割以上で、ここでもリピーター層が厚いことが伺えた。
逆にDEANのライブに初めて来た人の挙手は20人~40人前後。
これは定員の約1割に相当し、場所柄、女性客のパートナーや家族が多いと見受けられた。
しかし、筆者と同じテーブルだった東京初日の2ndでは、大学のサークル仲間で1人が2人を初めて連れて来たという3人組の男女もおり、DEANの歌声やパフォーマンスのカッコよさを絶賛しながら帰って行ったので、マダム世代ファンの為だけのDEANでは勿体ないだろう。
このまま固定のファンで、みんなで一緒に年齢を重ねるのもいいのではという意見もあるとは思うが、新規のファンの獲得はこれからの課題と言えるだろう。
『Sukima』
聴かせるナンバーが続くが、DEANの歌唱力の充実には目覚ましいものがある。
ハンドマイクを巧みに使い、サビではよく伸びる高音を響かせ、余韻を残しながらマイクを遠ざける。
ゆっくりと回るミラーボールが照らし出す会場で観客は静かにDEANの歌声に聴き入った。
気づけばブレスをせずに一息で歌う場面もあり、DEANの声量や歌唱力は、さらにレベルアップしている事がわかる。
最後の歌詞を歌い上げた直後は、肩で息をしながらも充実感でいっぱいの笑顔を浮かべた。
『History Maker 2021』
音数をできるだけシンプルにした伴奏に、DEANの歌声が際立つ。
『My Dimension』が初めてセットリストに無い今回、この曲が最もDEANの人生や主義主張を感じる説得力がある。
2番以降のコーラスも至福だ。
DEANはマイクスタンドを傾け、小さい炎がやがて大きくなるような情熱を注いだ。
このナンバーは後半以降、ドラムが激しくなり、DEANのパフォーマンスも全身全霊という言葉がぴったりの装いを帯び泣けてくる。
しかし最後には「Yes,we were born to make history」とたった一人で、時には自らスタンドマイクから1歩か2歩下がり、どこまでも真っ直ぐな究極の生声で歌いあげるのだった。
『Stars of the Lid』
「これが最後の曲」大阪・東京ではそう切り出していたが横浜では言うのをやめた。
キーボードのmariさんに合図を送りピアノ演奏が始まる。
DEANの素直で伸びやかな声が星座となって夜空に昇っていくようだった。
BillboardliveTour本編の最後の曲に相応しい。
「La La La」の合唱はやがて観客みんなに広がっていった。
DEANは歌い終わると胸に手を当て丁寧に頭を下げると、アウトロが続いていく会場を後にし、客席後方の扉へと足早に消えていった。
YOKOHAMA (8/26 1st. 2nd. ~8/27 1st. 2nd.)
BillboardliveYokohamaは、2020年にオープンした最も新しいBillboardliveである。横浜馬車道駅直結、近年再開発された北仲エリアにあるも、歴史的景観を残したレンガ造りの瀟洒な建物が、横浜の街に溶けこんでいる。
アンコールを求める手拍子にこたえて客席後方の扉から大歓声に包まれてまずDEANが舞台に再登場し、続いてバンドメンバーが舞台に出てきた。
DEANはリラックスした表情で、最近の話題、映画『ラストマイル』や『A-Studio+』の出演について笑いを交えて語った。
DEANは「グルテンフリー・アンダーカバー」の肩書きも所持しているが、
Billboardlive 恒例、アーティストに合わせたオリジナルメニューでは、グルテンフリーのメニューが各都市で発表され、ドリンクはもっとドライで辛口が好みだったようだが、フードに関してはDEANは絶賛していた。
◆フードメニュー
大阪:海老と空心菜のグルテンフリーパスタ
東京:Let it Asian! Plate(海老の生春巻き・アジア風春雨・チキンサテ)
横浜:ビーツとカカオのグルテンフリーブラウニー
◆ドリンク(3都市共通)
「Sweet Talk」アールグレイをベースに2種類のミント、ホワイトチョコのシロップを使用。モヒートスタイルのノンアルコールカクテル
DEANが各地違うグルテンフリーのコラボメニューについてみんなの感想を聞き、3か所通して販売していたノンアルコールカクテル 「Sweet Talk」で乾杯をした。
「今日は何に乾杯する~?」客席に向かって聞いてくることもたびたびあり、「大阪最高!」で乾杯したり、DEANの誕生日を祝って乾杯をしHappyBirthdayを歌ったり、再会を祝ったり、世界平和や「不確実な未来」などに乾杯したが、最終日は観客からいくつか聞いておきながらも、突然
「君の瞳に乾杯!」と暴走し、観客を喜ばせた。
これは単なる思い付きではなく、このツアーのどこかでこれを言いたかったのではないかな…。
続いて2通りあるカバー曲のうち、どちらか1曲が披露された。
カバー曲① ポゴシプタ~会いたい キム・ボムス
(8/7 2nd, 8/8 1st, 8/11 1st, 8/12 1st, 8/26 1st, 8/27 1st)
DEANが忙しくてカラオケも行けなかった2016年に、メイクルームで電気シェイバーをマイク代わりに熱唱しているインスタグラムがあるが、この曲をフルで聴ける貴重な機会となった。
横浜最終日の1st、この楽曲を披露する最後のチャンスで初めてハングルの譜面を見ずに歌えた達成感を、歌唱の直後に打ち明けた。
カバー曲②「もう一度夜を止めて」 崎谷健次郎
(8/7 1st, 8/8 2nd, 8/11 2nd, 8/12 2nd, 8/26 2nd, 8/27 2nd)
名曲、ラブバラードの王道と言われるこの曲を、驚くべきことにDEANはここ数か月で初めて知ったそうだ。透明感があり高音が美しいDEANの声質には似合い過ぎるナンバーだ。またBillboardliveというお洒落で都会的な舞台にもよくマッチした。サックスのソロも充分に聴かせてくれた。
『Sweet Talk』
DEANは「このメンバーでビルボードのステージに立てるって決まった時、いちばん最初にこの曲をやりたいと思って選んだ曲」とこの曲を紹介した。
だからバンド名も SweetTalk Band。
バンドメンバー8人を紹介し、最後に自分の名前を紹介して頭を下げると、温かい拍手が沸き起こった。
「良かったら踊って歌って、立ち上がっていただいて、一緒に歌ってください!」
DEANの誘いでフロアの大半が立ち上がる。初のBillboardliveは一気にダンスフロアと化し、華やかにセレブレーションが繰り広げられた。
「最後にでっかい声で、アレやろうアレ」と言われれば、もちろんそれは
「グッバイ言うてもまた会える!」のコール&レスポンス。
DEANから求められるがまま「今日イチでっかい声」を4回繰り返し、歓声と拍手に包まれ、出口へ向かうDEANを見送りお開きとなった。
Billboardlive、予想通りDEANには、おあつらえ向きのVenue(会場)だったのではないか。(またここで会えることを願っています!)
【まとめ】
今回目撃したのは、DEANのまっすぐに音楽に向き合う姿、1回1回全力投球のステージだった。
どのステージも決して緩めることのないDEANの迫力に、生きる力を得たのは私だけではないはず。
新たな目標に向かって着実に歩を進めはじめたDEAN
は、Billboardliveについて「1つの大きなチャレンジに向かうために乗り越えなきゃいけない壁だった」とラストステージを降りる直前に語っていた。
これからDEANが指し示す方向には、1つの大きなチャレンジがある…
でも覚えていてほしい。
今回多くの観客とハートを共鳴できたように、この先もこの未来もDEANと歩いていく仲間がたくさんいることを…。
セットリスト
①Searching For The Ghost
②Teleportation
③Let it snow !
④Shelly
⑤Echo
➅Sukima
⑦History Maker 2021
⑧Stars of the Lid
~アンコール~
⑨カバー曲 もう一度夜を止めて(崎谷健次郎)
または
⑨カバー曲 ポゴシプタ~会いたい(キム・ボムス)※
⑩Sweet Talk (DEANの紹介は『Sweet Talk』だったが実際に歌われた歌詞はOne Last Sweet Talk)
※カバー曲の演奏回
『もう一度夜を止めて』
8/7 1st, 8/8 2nd, 8/11 2nd, 8/12 2nd, 8/26 2nd, 8/27 2nd,
『ポゴシプタ』
8/7 2nd, 8/8 1st, 8/11 1st, 8/12 1st, 8/26 1st, 8/27 1st,
最後までお読み頂きありがとうございました!!
まだまだだなぁ…精進します🙏