依存と彼の自殺③首吊り自殺

マフラーを結んでユニットバスのドアに引っ掛けて首を吊った、彼からマフラーを外して、彼の身体を下ろした。

彼の爪先は、もうすぐ床に付く位置でぶら下がっていた、、、

完全に脱力していて、重くて一緒に転んだ。

彼の目は閉じて、口は少し空いてた。

唇は紫色になってる。

首からマフラーを外したけど、首回りは内出血で真っ赤になってた。

涎を垂らしたような跡がパーカに付いてた。

失禁はしてないようだった。

とにかく冷たく紫色になった彼の指先を温めて、必死で蘇生法を検索した。

呼吸があるかどうか、わからなかった。

だから、頭を下げて、顎を上げて、心臓マッサージ30回と、人口呼吸で息を吹き込んだ。

私の口から彼の肺に、空気がはいっているのか、わからない。入れた空気が、鼻から抜けて、鼻水がまわる音がした。

心臓マッサージをしたら、口から空気が漏れた。

呼吸してる！生きてる！と思った。

まぶたを上げても、目に反応はない。

でも、指先をさすって、名前を呼んだら、ほんの少し握り返された気がした。

微かだけど、息をしてると思う。

彼の胸に耳を当てて、鼓動があるか確認した。

弱く脈打つ鼓動を感じた。

けれど、自分の心臓の音かもしれない。

わからない。

胸に耳を付けたら、私の重さで、息が吐き出された。

そのあと、離れたときも、いびきのような息を吐き出す音が聞こえた。

温めたら、手足の色が戻ってきた。

私は彼の服を上げて、何度も心音を確かめた。

自分の鼓動か、彼の心音か、わからない。

手首の脈は取れない。でも、確かに生きてる。

何度か、帰ってきてもODしてるせいで目を覚さないことがあったから、私は彼を寝かせるために付近を片付けた。

その時、何故か、彼の顔の写真を撮った。

1時57分だった。

それから、彼を寝かせて、彼の携帯を取り出して、何か連絡とか、メモとかないか確かめようと思った。

そしたら、私の知らない女にLINEを送ってた。

"もう出てけって言われた"

"死体だけ置いていなくなってやろうかな、いないし。"

"最後の嫌がらせ　家で首吊り自殺"

って、送ってた。

笑えない…って怒りが噴出した。

彼には身寄りがない。入院させようと思ったけど、医療費が払えない。

私は、もうすぐ、刑務所に行く。

家を解約しなきゃいけない。

毎日毎日、彼にお金を渡せるような状況じゃない。

とにかく、彼がめを覚ますのを待った。夜中の2じ。今救急車を呼んだら、周りに迷惑がかかる。もしも入院することになったら、医療費が払えない。

そして、外が明るんできた。

彼の親友に、メッセージを送った。そしたら電話がかかってきて、生体反応はあるか？って聞かれた。どうしたら良いのか聞いて、彼の顔を強めに叩いた。反応がない。瞳孔反射、と言われて瞼を上げた。少し白目が濁ってた。

パニックになって、彼の腕を触ってみた。

腕が固まってる。怖くて、すぐに母に電話した。すぐに救急車を呼べと言われた。

救急車は5分くらいで来た。

救急隊の人にもう無理です、と言われた。

呆然とした。

棒一本の、脳波計を見せられた。

もう、亡くなってから、だいぶ時間が経っています、と言われた。