ピンク色の話

昔からピンクが嫌いだった。
可愛いふわふわした女の子のイメージだから。
背が高く、声が低く、ぼーっとした顔の私には似合わないと思っていた。

保育園で、豆まきの豆を入れる箱を折り紙で作るとなり、ピンクと水色の紙を用意されて順番に取っていって下さいと言われた。背が高い私は一番最後。私の前に並んでいた子は皆ピンクを選び、私は水色を選んだ。
これはピンクが嫌いという以外にも、皆がピンクを選んでいて気持ち悪かったという理由もあるので、私の天邪鬼のはじまりエピソードでもある。

大人になると、ピンクはピンクでも好きなピンクがあることに気付くようになる。
あぁ、私は「あのピンク」が嫌いだったのかなと思う。あのふんわりまったりしたピンク。

何で子供にはあのピンクなんだろう。
あのスーパーやドラッグストアで売っているゴム手袋のピンク。
もっと可愛いピンクはたくさんあるのに。

歩道を歩いていると、小学生とすれ違う。
今はいろんな色のランドセルがあるんだな、うらやましい。私の頃は有無を言わさず赤いランドセルだった。
もしあの頃にあのピンクのランドセルを渡されていたら、私は何と言っただろうか。

ピンクと打ちすぎて、ピンクがゲシュタルト崩壊してきた。
あのピンクを好きな人もいるだろうから、あんまり責めちゃいけない。
でも私は一生あのピンクが嫌いだと思う。

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