愛車の話

数年前、車を買った。
いつか乗るなら買いたいと思っていた小さな小さな車。

2人乗りで、トランクがめちゃくちゃ小さいから荷物があまり乗せられない。車体が低いから乗り降りの際かがまなくてはいけなくて腰に悪い。タイヤが薄いから走っていてガタガタする。ナビもない。

しかしとにかく可愛くて仕様がない。
全てが素晴らしい、色も、フォルムも、大きさも。
駐車場に停めて歩き出しても、途中で振り返ってその可愛さを再確認する。今日も可愛いな。
周りの車と見比べて、やっぱり可愛いな。

正直都会では持て余している。
週に1回、30分くらい運転してスーパーに行くくらい。
だけど、私はそのたった30分にとても助けられている。

運転の気持ちよさ。窓を開けて風を浴びる時。
走っているときの万能感。このまま私はどこへだって行くことができる。
他のものでは補完できない心の埋め方だ。

正直あとどれくらい乗れるのかと考えると今からすでに寂しい。でも気持ちでは最後まで乗りたい。車道の上でこの車が動かなくなるまで、私は乗っていたい。

モノに名前を付けたり擬人化するのは好きでない。
道具のひとつかもしれないけど、それでも私の大事な相棒であることは確かだ。

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