何かの特別になりたいという気持ちの話



接客業をしていると、「安くしてよ、いつもここで買ってるんだから」みたいなことを言うお客さんに多々遭遇する。客の立場を利用して相手の不利益になるルール違反を受け入れさせようとする人。そういう人に正直飽き飽きしている。何言ってんだと思う。

「この店を何人にも紹介してるのよ」などもある。この人はありがとうございます、の感謝を求めている。認めてほしい自己欲求。

すごくたくさん買ってくれているのに、さらっとしていてなんにも求めない人もいる。ああこういう人になりたいな。

職場の近くに、よくランチに行くお店があった。値段は少しだけ張るけど美味しくて、接客も良くて、気持ちが安らぐ。
ある日からお会計の際に「いつもありがとうございます」の言葉を掛けてくれるようになった。
そしてまたある日から、ランチにおまけが付いてくるようになった。「いつもご利用いただいているのでこちらサービスです」と小さなスイーツ。

そのまま私はフェードアウトした。
私は特別扱いされたくなかった。
だって私にとってあなたが特別なんであって。

なんでそういうサービスをするようになったんだろう。結局そういうものを求める人が多いんじゃないだろうかと私は推測している。
みんな特別になりたいんだ。何かの特別に。

私だって誰かの特別になりたい。
でも特別だよって、わかりやすく示してくれることが必要だろうか。

あなたは特別。そういう気持ちは、目や、話し方や、空気で分かると思う。
あなたは特別。形あるものを特別の証拠にするのではなくって、そういう気持ちが垣間見えた瞬間がなにより私は嬉しい。特別だって思ってくれているだけで十分幸せだからである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?