中古のものが苦手な話

私は買い物が好きだが、その際、中古のものは選択肢から外れる。
中古のものが苦手だからだ。
古本、古着、アンティークの食器。蚤の市で売られているようなもの。

なぜならば、誰かが過去に使っていたということがすごく居心地を悪くさせるから。別に汚いとかそういう潔癖という話ではなくて。

そこに誰かを感じる。
年齢も性別も国籍も分からない誰か。ぼんやりしているけれど、必ずそれを使っていた人が影のようにそばにいる。ものを使うときに、そのものに全く思い入れがないということはないはずだ。その人がそれを選んで買った理由があるはずなのだ。
私は霊感は全くないし、目に見えないものが見えるというわけではないけれど、なんだか見えてしまいそうな気がするのだ。

新築でないアパート、中古車、ヴィンテージ家具。

私にお金があれば全て新品にする。
こういうときにお金は便利だ。

私が今この文章を考えながら座っているアパートの居間に、何人の人が座ったのだろう。私の故郷は城下町で、江戸時代の町並みや道路がそのまま保存されている場所があるが、何百年も前、ここで刀で斬り合っていた人たちがいるなんて、鳥肌が立つ。

場所にいるだけでもそんな気持ちになるのに、誰かが使っていたものを使うなんてとんでもないことのように感じてしまう。

考えすぎだろうか。しかしどうしても自分の周りは自分だけが選んだもので埋めていたい。
その方が安心する。そう、安心したいのだ私は。









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