サトラレに囚われている話
心の中でよからぬことを考える。
不謹慎なこと、下品なこと、無責任なこと、調子に乗ったこと。
そんな時、どうか自分がサトラレでありませんように、、と私は切に願ってしまう。
もう20年くらい前の漫画だ。ドラマ化も映画化もされたはず。
サトラレという人がまれにいて、思念が強いばかりに思っていることが周りの人に聞こえてしまうという運命の人たち。
もちろんフィクションだ。しかし当時私は、私がサトラレだったらどうしようと恐怖に怯えて過ごしていた。
なぜかというと、周りの人はサトラレの心の声が聞こえても聞こえないふりをしないといけない。サトラレに自分自身がサトラレだということを気づかせてはいけないという法律があるのだ(確か)。
自分の考えていることが漏れ出てしまっている上に、皆にそんな気を使われているなんて、想像しただけで死にたくなる。
数日前、心で思ったことを文字に打ち出すことができる技術が開発されたというようなニュースを見た。きっとそれは話せない人や寝たきりの人のためのものなのかもしれないけど、ちょっとドキドキしてしまった。
だって人はよからぬことを考えてしまうものでしょう。心にフツフツと湧き上がる思いって自分ではコントロールできない。人の心の中だけは覗けない、そうでなければ自由なんて全くないことになる。
何十年も、私はこのサトラレに囚われている。
きっとずっとこの先も。
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