犬の目の話

犬には色覚がないと聞いたことがある。
つまり犬が見ている世界は白黒だと。
ずっと不思議だった。なんでそんなことが分かるんだろう。

ネットで調べてみたら、犬の見ている世界は白黒ではないとのことだ。ただし青から黄の間の色だけ見えるので、グレーがかって見えるのだという。だから犬の目から見た世界はこのような感じです、という画像も見た。錐体細胞がなんちゃらかんちゃらとそこには説明されていた。

なんでそんなことが分かるのだろう。誰も犬になったことがないのに。
科学というものは素晴らしいものではあると思うけど、それでも私が思うに、犬が見ている世界はこうだと断言することを許されるのは犬になったことのある人だけだ。

私は私の目で見た世界しか見ることができない。
それを他の人も同じように見えていると、錯覚しがちだ。すべてにおいてそうだ。
職場に色弱の人がいる。ではその人以外の人はみな同じように見えているかというと、そうではないと思う。実際に見たわけではないから確信はないけれど。

こうなると世界は混沌としてくる。だって一人ひとり違うんだから。
全てはグラデーションであり、何かをグループ分けしたり、自分と違う人を排除するようなことは全く意味がないのに、それでも人は安心したくて線を引く。何が正しくて、何が間違っているなん誰にも言えない。

そもそも、犬が何を言っているか人は分からないというのに、犬の目がどう世界を見ているかなんて知ったところで、と思ったりもする。なんだっていい。そう、自由なんだよ。人も、犬も。全てが。

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