36.恋との決別②対決
私は彼を好きなきもちにけじめをつけたいのもあり、
次の日の土曜日の夕方の1時間の奉仕が彼とペアになったので、思っていることを話そうと思いました。
あの子に対する接し方に私やまわりも疑問に思っていること、
それは『長老』という立場としてどうなのか、
今まで私が感じてきた彼に対する違和感、
言うべきであるのなら私は彼をずっと好きだったことも言って気持ちにけじめをつける覚悟でした。
奉仕中の1時間、私はいつどうやって話を切り出していいものかタイミングが掴めずにずっと無言でした。
彼も私がなにか話したそうなのかただ不機嫌なだけなのかを掴みきれないのか話しかけることもありません。
お互い無言がまる1時間続き、奉仕が終わって帰るとなった時に今しかないと思い彼を呼び止めて話しました。
『あの子に対する接し方は私はおかしいと思っています、私以外の姉妹も『おかしい』と言っていました。小学生とはいえ年頃の女の子と抱き合っているのは、長老としてどう思って彼女と接しているのでしょうか?』
と。
それだけ話したところで彼は私の話を『ちょっと待ってください。』と遮りました。
彼は言いました、
『ERIE姉妹は僕と彼女が抱き合っていると言いましたが、あれは彼女の方が僕に抱きついてくるんです、僕の手は彼女を抱き返したのではなく、抱っこはやめようねという意味で、彼女を引き剝がすために添えた手なんです、ERIE姉妹は僕のなにを見てそう判断したんですか?たいしてちゃんと見ていないくせにそんなことを言われるなんて、
僕は心外です!!』
とかなり怒った口調でした。
私は固まってしまいました。
やっぱり私の勘違いで、私がおかしいのだろうか?
私が見たものは『真実』ではなく、私が彼を特別なきもちで見ているが故の歪んだ『事実』なのだろうか?
…ちがう、
たとえ私の歪んだ嫉妬心から来る誤解だったとしても、
私だけでなく他の兄弟姉妹たちに『おかしい』と思わせている、長老という立場であるのに躓きのもととなる状況を作っている彼の方がおかしい。
しかも彼は自分はまっとうだ、彼女がしたことなんだと非を、この場にいない自分よりはるかに年下の彼女になすりつけた。
それならもう話を理解できる歳の彼女に、きっぱりやめるように多少きつくても伝えてきちんと策を張るべきではなかったのか。
今までなぁなぁにしていたのは結局自分なのではないか。
長老以前に大人の男としてあり得ないと思いましたし、結局この人は誰に対しても特別な感情を持っていることはないのだな、
私や他の姉妹たちに触ることをこの先話しても『そんなつもりは一切なかった、勝手に僕を想う姉妹たちが悪い。』と自分を弁護するつもりなのだろうな。
私の脳裏には今も彼の『心外』という言葉がこびりついています。
私が黙ってしまったのを見て彼は『もういいですか?』とイライラしたように言いました。
彼の言うとおり、もうよかった、充分だった。
こんな最低な男にいつまでも執着する必要も義理もないとようやく悟れたのです。
『大丈夫です。』とだけ伝えて、私たちはその場で別れました。
彼はあくまで『自分は正義、誤解する私が悪』だと決めたのです。
私は母に自分の感じた違和感を彼に話したいことを事前に伝えていたので、
奉仕から帰ってきて母の顔を見ると涙が出てしまって『言うんじゃなかった。』と言いました。
私の彼に対するきもちに薄々でも気づいていた母は静かに一緒に怒ってくれて、黙って私の頭を撫でてくれました。
それだけで私の心は溶けて、もう充分だと思いました。
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