25.今でも覚えている大好きな長老夫妻

T兄弟があまりにも横暴だったことが影響して、K会衆の成員のメンバ―の中でも派閥がいくつもでき、
派閥同士だけでなくその内でも腹の探り合いをしているのがすごく伝わるほどでした。

私たち親子は特にどこかの派閥に属しているつもりはなかったですが、
直接T夫妻に立ち向かう人はいなくても、陰で私たち親子を気遣って接してくれた人たちは確かにいました。

私は心から大切に接してくれた私の司会者、
私を助けてくれた特別開拓者の姉妹たち、
私が正規開拓者になって援助する側になった時にまわりの目を気にせず頼ってくれた姉妹たち、
なにも言わなくても心は繋がっているからねとアイコンタクトをくれたご夫婦、

そして10代最後の数年間大好きで信頼していたH兄弟姉妹夫妻のことは今でも忘れないし、彼らが私たちにしてくれたことはとても感謝しています。

H兄弟夫妻も他県から異動してきたご夫婦で、
誰にでも分け隔てなく接していましたが、特に私たち親子には本当に気にかけてくれているなと言動からにじみ出ているふたりでした。

H兄弟は長老のひとりで、H兄弟が司会する群れに編成された期間は、群れの中にいる時だけはぞんざいな扱いを受けずに幸せにその空間の中で過ごせたと思います。

柔らかい話し方のふたりで、教理以外の日常のいろんなことを教えてくれて聞かせてくれたましたし、

ふたりがしてくれた中でいちばん嬉しかったのは、エホバの証人の日本支部である海老名ベテルへ行く1泊2日の旅行を計画して実際に連れて行ってくれたことでした。

私はエホバの証人の本部なんてまったく興味はなかったのですが、
昔から工場見学が大好きで、書籍や雑誌がどのように印刷されているのか、当時最新機械が導入されたタイミングでもあったのでそこに興味がありました。

その半年程前にA兄弟が『K会衆のみんなをベテルへ連れて行ってあげる!』と意気込んで、
シャトルバスを予約するために日にちを勝手に設定して名簿を掲示板に貼りだして参加者を募りましたが、

結局参加の名前は数名しか集まらず話は立ち消えとなり、
工場見学がしたかっただけの私は少しがっかりしたけれどそんな集め方ではみんな都合もつかなくて無理だよねと思っていました。

少しがっかりしていた私を見てH兄弟夫妻は『会衆のみんなを全員連れていくのは都合や費用のこともあるしできないけれど、群れの人数なら、レンタカーを手配して行くことはできるよ。』と言ってくださって、
実際に15人程でアルファードを2台レンタルして、私たちはH兄弟の運転で快適な旅ができました。

ちょうど2月で富士山がとてもきれいに見えて感動して車窓からインスタントカメラでたくさん撮って、
『冬の富士山が一番きれいに見えるんだよ。』とH兄弟に教えてもらったのを今でも鮮明に覚えています。

群れでベテルに行くことはA兄弟が強引に会衆単位で募った手前、
『他の群れの人たちの中でも行きたかった人はいるはずだから帰ってくるまでは言わないようにしようね。』とH兄弟はみんなに配慮して私たちに口止めしていたのですが、

どこから漏れたのか出発の数日前に突然A兄弟が私の肩をたたき『ベテルに行くんだってね。』と言ってきて、
H兄弟に手柄を横取りされて悔しいような、そんな顔をしていました。

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