34.かわいそうな女性(ひと)

今思えばMは私に対抗心を燃やして執着していたのは事実だと思いますが、
自分の妹のYM姉妹にも対抗心を燃やしていたのだと思います。

Mは自分の外見に自信があって、それを最大限に発揮するように服装も夏はノースリーブなどエホバの証人からしたら露出が高めで性格も常に明るい女性でした。(※あくまで服装はローカルルールもありますが。)

一方YM姉妹は姉のMを立てて姉の一方後ろにいるような一見地味で控えめな人でした。

それでもYM姉妹の人としての内面の美しさは皮肉なことにMの横にいることで逆に際立っていたと思います。

集会中の注解や神権宣教学校の割り当てなどで充てられても、贔屓目で見なくてもMの話の内容は私ほどでなくても薄っぺらくて全く頭に入ってきません。

けれどYM姉妹の注解の仕方、話し方はすごく人を引きつけるものがあって、毎回とても分かりやすく、これは母も妹も他の兄弟姉妹たちもおなじように感じると言っていました。

ひとつエピソードを書きます。

いつもの若い兄弟姉妹メンバーでの体育館でのレクリエーションの最中に、
私の妹のお友だちがずっと療養中だったそうなのですが、その日に亡くなったという連絡が妹の携帯に入りました。

とてもだいすきなお友だちだったらしく、妹はパニックでロビーで泣き叫び、失神してしまったほどでした。

その時MとYM姉妹が妹の状況に驚いて『どうしたの?』と私たち姉妹に近づいてきて、
取り乱す妹の代わりに私が『妹のお友だちが今日亡くなったって今連絡が入ったみたいで…。』とだけ言うと、

Mは『ふーん。』と一言言ってさっと体育館に戻っていきました。

YM姉妹は何も言わずに妹の隣に座って妹の肩を抱いて泣いてくれたのです。

私は妹のケアも忘れて、おなじ両親から産まれてきたふたりなのにここまで違うんだなとすごく冷静に俯瞰的な位置から見ていたのを鮮烈に覚えていいます。

人間というのは会ったこともない人のために想像してすぐに涙が出て一緒に悲しんでくれる生き物だろうか?と。

YM姉妹はMの妹でなんでも話す仲だと思っていましたので、正規開拓者になるなどの自分の情報をYM姉妹にすら一切漏らすことはないように徹底はしていたのですが、
この時このふたりは両極端に違うのだなと、YM姉妹に対してものすごく感謝の気持ちを持ったし、人としてすごく尊敬できるなと思いました。

そんなYM姉妹の人としての優しさ、女性らしさを、A兄弟も気に入ったんだろうなと思います。

だからあの靴紐事件は気持ち悪いと思うけれど妙に腑に落ちましたし、
実際A兄弟とMがふたりきりで仲良さそうに話しているのは見たことがありません。

誰が見ても人として明らかにYM姉妹の方が霊的問わずまず人間的に優れていましたし、活動に活発になったのも正規開拓者になったのも、MよりYM姉妹が半年先でした。

Mとしては姉としての高いプライドが許せなかったのでしょう。

私も姉という立場なので、自分の妹に対するMのきもちは分からなくはないです。

けれどYM姉妹に外見も中身も全く劣っている私なんかになんであそこまで執着していたのかはやっぱり全然理解できません。

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