33.開拓者学校②

憂鬱でもあり、イヤな予感がしていた私の勘は的中します。

この時の開拓者学校はたまたま昔市内分解した方のふたつの会衆が使っていた王国会館で開催されたので、私は車で片道20分程度で毎日通いで出席できました。

私たちの代の頃から、新人正規開拓者の他に長年正規開拓者である兄弟姉妹も特別に2度目として招待されるというシステムがスタートしました。

その中にER姉妹とKA姉妹という母とおなじくらいの年齢の姉妹たちがいました、
彼女たちは隣の県から来ていて、毎日日帰りは難しいので王国会館の近所の兄弟たちの家に宿泊をしていたようで、

ある日学校が終わるとA兄弟が私に近づいてきて
『姉妹たちが今日は宿泊先まで帰る足がないんだって、ERIE姉妹がふたりを送ってくれないかな?』とお願いしてきました。

私は学校が終わると予習のためまっすぐ家に帰るだけでしたので、特に断る理由もなく姉妹たちを宿泊先まで車で送っていくことになりました。

姉妹たちはすごく喜んでくださって『いつもがんばって学校で注解しているよね、若いのにすごいえらいね。』と褒めてくださったりして、
他の会衆の姉妹たちと接する機会があまりなかった私は純粋に嬉しかったです。

次の日の朝王国会館に入って私は姉妹たちに話しかけようとしてふたりを探すと、

そこには姉妹たちととても仲良さそうに話すMの姿があり、すごく私の心の中で引っ掛かりを覚えたのです。

昨日までMはふたりとそんなに仲良く話していることはなかったのに、
ふたりを車で送っていってほしいとA兄弟が私に頼んでいるところを見ていたのでしょうか。

もやもやしたままその日の授業を終え、帰ろうとするとMが私に近づいてきて

『今からER姉妹とKA姉妹とそこのカフェでお茶するんだけれど、ERIEちゃんも一緒にどう?』

と聞いてきたのです。

その時のMは、まるで私の持っているものを欲しがって横取りに成功したと言わんばかりの満面の笑顔でした。

私は心の底から呆れてしまい、『早く帰って勉強したいので行きません。』とだけ伝えて車に乗り帰りました。

なんでいい大人がいつまでも10歳も歳が下のまだ未成年にこんなに執着するのだろう?

私なんかよりずっとかわいくてきれいで性格も明るいしみんなに好かれていて、
T兄弟たちにも気に入られて嫌がらせも無視もされることなく会衆での立場は安泰じゃないか、
両親そろっているし社長令嬢でお金も持っていて広い家に住んで、
私が持っていないものをたくさん持っているじゃないか、

なんの取り柄も特徴もない、会衆で針の筵しか居場所のない平凡以下な私なんかに気を取られずにもっと堂々としていればいいじゃないか。

私もなんでいつまでもこんなくだらないことで嫉妬心や対抗心を燃やし続けているのだろう?

本当にくだらない、もう疲れてしまった。
もうMとは本当に関わりたくなかったのです。

私なんかに執着しないで、もう存在していない人間として眼中に入れないでほしいし、
私も彼女にもう固執することをやめたいと心の底から思いました。

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