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近年の早慶高英語入試問題について思うこと

海外からの早慶高受験

海外生が高校受験を考える際、首都圏に帰国する生徒は、やはり早慶高受験を検討することが多いです。

そもそも「早慶高」とまとめてしまうこと自体どうかと思うが、歴然とその括りでの価値というものは存在するので否定するものではないと思います。

それはさておき、いわゆる大学入試改革以来、高校入試においても入試問題の質や入試のあり方にも変化が見られるようになりました。

自分自身は英語を中心に文系科目を指導することが多いので、英語の入試問題の質について考えていきます。

難化傾向

早慶高に関して俯瞰した見方をすれば「難化」したということが言えます。

学校教科書も改訂され、全体的にレベルアップを図る方向性に動いている現状を鑑みると「難化」という表現が適切かどうか議論の余地はあるが、過去を知る我々の目から見ると難しくなっていると言えます。

ただ、各校、各年度で見ると一概に「難化した」とは言えない場合もあることはご承知おき頂きたい点です。

まず、問題を難しく感じさせる点として「量」ということが挙げられます。

試験時間に対し、処理しなければならない文章量が多くなっています。これは、長文化ということだけではなく、いわゆる長文問題と言われる大問の数が多くなったきていることも含まれます。

自分は以前から述べていたのですが、日本の英語試験と言われるものは、試験時間に対して問題量が少なすぎるという点がありました。

例えば英検を考えてみます。2級の筆記試験時間は90分近くあり、合否はともかく、大抵の受験者は後半時間を持て余しています。

学校のテストも然りです。「見直し」という文化があるくらいですから、試験時間内に2周はするだろうという前提というわけです。

難関校といわれる学校では、以前から見直しの時間はほぼない状況でしたが、英語に関して言えば難度はともかく、数分は余裕が持てるのが通常だったと思います。

最近は、その数分の余裕がなかなか持てないのではないか、あるいは進めど進めど、次から次に出てくる問題に、少々心が折られてしまい、結局時間が足りないということに陥る可能性が高くなったのではないか、という印象を受けています。

早慶高の英語傾向

これが正に早慶高でも見られる傾向で、慶應義塾や早実で、特に顕著なのかと感じています。

ただ、早実は2022年度入試に関しては驚くほど問題は易しかったので、スタイル構築に対して手探りなのかなと思います。

目指す方向として、「受験英語の脱却」、ちょっと意地の悪い言い方をすれば「英語圏風」な問題スタイルを目指しているのだろうなと思います。各設問を見ていくと、それほど難しいことも聞かれていません。むしろ、取り組みにくさという点では、2021年度までの問題のほうが上回っていると感じます。しかし、23年度入試では受験者平均が約59点と、決して高くないので、多くの受験生にとって難度は上がったと感じられたのでしょう。恐らく、その難度の原因は文章量への耐性の有無と考えられます。英語の受験者平均は60点にも満たない中、合格者最低点は200点を越えているので、文章量を苦にしなかった受験生は比較的高い得点を取ることができたのではないでしょうか。

慶應義塾は、スタイル自体は20年ほどほぼ変わっていませんが、ここ5年ぐらいで文章量が多くなったこと、設問の難度が上がったことが見て取れます。以前から、長文読解で求められる文章量は多かったのですが、劇的にではないですが、やや多めになっている印象です。また、少々読みにくいストーリーが近年多いのも特徴です。

日本語に変換しながらじっくり読むというスタイルでは、恐らく時間切れになり正答率が高くても50点強というような得点になりがちです。

慶應女子、早大本庄もスタイルを変えてきています。
傾向としては、早実型です。

特に早大本庄は、比較的問題難度が低いイメージがありましたが、近年はなかなか骨のある出題が増えています。

その原因として、長文で扱う題材の質が変わってきていることが考えられます。以前は、おとぎ話のような内容の、言葉を選ばずに言うと「子どもっぽい」ものがほとんどでしたが、最近は世相を反映させた社会ネタが出題されています。

慶應女子は、早実とよく似ていますが、難度は慶應女子が高めの印象です。以前から、科学系のネタは頻繁に出ていましたが、その傾向は近年も変わらず続いています。特筆すべきは、リスニング試験がなくなった点でしょうか。

そんな中、慶応志木は難度や傾向に大きな変化はありません。

いずれにせよ、処理速度は重要であることは間違いありませんので、ここをどうするかがポイントです。

ですので、流れとしては海外生にとって有利な流れとなっていますので、ぜひ英語をアドバンテージにしていきたいところです。