【大幅修正】ゲームカードジョイコ 株主軽視のMSワラント発行はクソ企業の証!?
この記事は
11/15大幅修正・11/16小幅修正
MSワラントとは
〝行使価額修正条項付新株予約権〟=「Moving Strike Warrant」のこと。
リンク先の資料を読んでもワケワカラン。
・発行価額
・行使価額
・新株予約権
このあたりを一つずつ説明していきます。
新株予約権とは
Pとある株価の購入利権(MSワラント)
↑ ふざけてるわけではなく、実際にそうなんです。
新株予約権は英語でワラント。
「将来、とある株価で購入できる権利」のこと。
3,000円の株が5,000円になったあと、「当時の3,000円で買えますよ」と言われたらボロ儲けだよね。その権利を買うのが新株予約権、ワラントです。権利を販売する企業側は、新株と引き換えに多額の現金を得ます。
これが本来の新株予約権。
もちろん3,000円の株が将来2,000円に下落しそうなら「3,000円で買えますよ」と言ったって誰も買わない。そこであれこれと策を弄し、MSワラントという仕組みが生まれました。
発行価額と行使価額ってなんや
将来、昔の価格で株を購入できる権利、新株予約権。
ワケワカランわね。
予約権を買う際、まず日興は1個(100株)あたり1,550円の権利金をジョイコに払います。この1,550円が〝発行価額〟。この時点ではまだ株を手に入れられません。2.5万個なので3,875万円を日興はジョイコへ支払いました。
〝行使価額〟とは、予約権の権利を行使する価格。2149円を下限値としているので、株価がこれ以下なら日興に旨味はない。
ただ、旨味は無くとも損するわけじゃないです。株価下落のまま浮上しなかったら、予約権の権利を行使しなければいいだけ。損しません。
希薄化で投資家は大損する
250万株も大量に発行すれば、発行済み株式の価値は薄まります。今回の場合、17.56%の希薄化。
あなたの財産がある日突然17%以上も値下がりしたらビビるでしょ。しかもその影で、特定の企業だけ儲けてるとしたら腹立たしいよね。
株の価値が17%落ちるなら、理論上、株価も17%落ちます。
11/15、ジョイコ株は2,345円でした。
MSワラントを発表した日の株価は3,120円でしたから、25%もの暴落。何も知らされていない個人投資家は大損を食らっています。
【修正】日興はどうやってノーリスクで儲けるのか
行使価額は売買高の加重平均で、「その日に約定した平均価格」ともいえます。日興はその平均価格の92%で権利を行使します。
つまり、平均価格より8%安く手に入れられる。
これ絶対に儲かる。
もちろん空売りせず権利行使後も株を長期保有したっていいんですけど、日興はジョイコの株が上がるなんて思ってないでしょ。
かといって市場で売却しようとしても、もたもたしてる間に株価下落となれば目も当てられない。権利行使と同時に新株を相殺できる空売りが必要なんです。
ただ、日興が権利行使できる(株を発行してもらえる)下限価格は2,149円と決まっているため、もしも株価が2,000円、1,500円と下がってしまったら、2,149円で株を買う意味なんてありません。
株価2,149円以上の時に権利を行使して、はじめて日興に旨味が出る。8%の利ざやをフルに取ろうと思ったら、2,149円÷92%=2,336円必要です。
株価2,336円。
ここで全ての権利を行使した場合、日興の利益は約4億7000万円。
最初の権利金3,875万円を差し引いたとしても4億3,000万円ほどの利益になります。
【追加】MSワラントの先輩・マースの株価はどう?
一般株主からすれば、ちょっと株価が上昇するたびに日興が売ってくるから、なかなか儲からない。なんなら下がるという、地獄のような日々になります。
6月上旬にMSワラントを発表したマースエンジニアリングのチャートを見てみましょう。
同社の業績はスマート遊技機特需で絶好調。アホほど儲かっており、春先の株価は凄まじい勢いで上昇しました。
現在どうなっているか。
上値を抑えられてるのが分かると思います。
8月に上値が跳ねた瞬間をもっと細かく見てみましょう。
7月31日、第1四半期決算が発表されました。営業利益9倍ものスーパー好決算です。
これを受け、翌8/1の株価は高騰。一時ストップ高を付けました。
しかし翌日から売り物に押され、株価は下落。
これ、大和証券が売ってる(権利行使前の空売りで下落してる)んじゃないの?と噂されました。
後でマースから発表された権利行使状況を見ると・・・
大量に権利行使されていました。
ちなみに直近発表された中間決算の業績はこう。
営業利益は前年同期比で6.7倍!
引き続きとんでもなく儲かってる。
なのに株価は上がらない。
これがMSワラントの恐怖です。
決算発表翌日の終値は2,583円。今日11/16の終値は2,382円。
大和証券が全ての権利を行使しきるまで、こんな状態でしょう。
2,300円を超えない限り大和は儲かりませんけど、それなら権利を行使しなければいいだけの話なので、損はしません。やっぱりノーリスクなのね。
大株主は損するんじゃない?
株の希薄化は既存株主全員の問題。
特に、多くの株を持つ大株主は大きく損をする。
たとえば藤商事の場合、代表取締役は松元兄弟で、大株主も松元兄弟。だから株価下落でもっとも損するのは松元兄弟です。
MSワラントを発行する際、松元(兄)が「僕は大損するけど構わん!」と考えたかって話。
んなわけない。
そんな聖人なら、最初から個人資産を会社に突っ込みますわ。
なんで他の株主まで巻き込むんだよ。
そもそも藤商事にしろマースにしろジョイコにしろ、金庫の中に多額の現金を持っています。あまりにも優秀な財務内容ゆえ、要請さえあれば銀行は喜んで貸すでしょう。社債を発行してもいいし、公募増資をしてもいい。
資金調達手段はいくつもあるのに、なぜわざわざ被害者の多いMSワラントを使うのか!
……これ、外部からは分からないんです。
ジョイコはなぜ日興を儲けさせようとしたのか。
藤商事やマースはなぜ大和を儲けさせようとしたのか。
間違いなく裏がある。
でもそれは表に出てこない。
憶測の域を出ない。
インサイダー取引をしてるんじゃねえの??って疑いたくもなります。
ここは詳しい人に教えてほしい。
現状で分かるのは「個人株主を泣かしてでも特定の誰かを儲けさせたい」という、歪んだ意思だけかな。
GCジョイコの大株主は〝異様〟
MSワラントを発行すれば大株主ほど大きな損をしますから、今回の決定には大株主の同意を得ているはずです。
同意を得ていなかったら「経営陣はふざけるな!」と、株主総会で退陣させられますからね。
では、GCジョイコの大株主は誰か。
わーお。
メーカーが大株主なんです。
GCジョイコはMSワラントをやらねばならぬほどカネが無いのか
先日発表された9月30日時点の貸借対照表を見てみましょう。ポイントはトポス&ガイアのnoteでお伝えした〝流動比率〟です。
流動資産が流動負債より大きければ倒産しにくいというアレ。
100%ならギリセーフ。
200%なら安全です。
609%www
流動資産478億円のうち、現預金は112億円。これだけで流動負債どころか固定負債まですべて払えちゃいます。実質無借金経営だ。
しかも純資産(=自己資本。これまで積み上げた利益や資本金など自由に使えるお金)は極大で、500億円近くある。自己資本比率は83%です。MSワラントなんぞに手を出す財務内容ではありませんわ。
GCジョイコの建前
ジョイコはMSワラント発行について、その目的を具体的に語っています。
いわく、
へー(遠い目)
ちなみに、次世代決済システムの開発投資に47億円。次世代決済システム導入に伴うジョイコ社内のシステム投資に10億円。M&Aや提携で20億円かかるんですって。総額77億円。
でも、ジョイコの現預金は112億円。
すぐ換金できる有価証券は170億円。
MSワラントなんてやらなくても、足りるんじゃね?
PTSの株価
PTSとは夜間市場のこと。
小規模な市場ながら、夜でも現物株を取引できます。
MSワラント発行を発表したGCジョイコの株価はどうなったか。
ストップ安。
今日9時から始まる東京市場でも、良くて暴落、悪ければストップ安となるでしょう。
増収増益ですし、配当金も増やしているので上がる可能性もあるけれど、17%もの希薄化となれば、理論上、17%下がるよねぇ。
と同時に懸念するのは、パチンコ関連株全体への影響です。
ガイア倒産の影響でメーカーの株価は上がりにくくなってますし、財務優良な藤商事やマース、GCジョイコが(本来なら不要な)MSワラントを発行したことで、パチンコ関連株全体への不信感は一層強まるでしょう。
長期保有はリスクになるため、一旦手放す投資家は多そうだ。
というわけで、GCジョイコのMSワラントについて解説を試みました。ほんと、何を目的にやるんでしょ。日興に騙されたとも思えないし、大株主になんらかの利益があるんでしょうな。やだやだ。
次回のnoteは、遊技機メーカーの中間決算について取り上げます。
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