深夜のあいさつを決めなくちゃ

イヤホンを付けてラジオを聞く深夜。贅沢に冷房を付けて長ズボンと半袖の寝巻きで良い室温。お金も愛も手にしていない今の私は、インスタのおすすめに出てくる理想の暮らしを自分の影に写して勝手に幸せな気持ちを作る。好きな犬の種類を話し合ったあとにセックスについて真面目に語るような奇想天外な友人。そんな人が隣にいるかのようなこの夜。目に見えない線路を無理やり歩こうとして自らの首を絞める私たち。決して交わることの無い平行なリボンをヒラヒラと見せびらかす二人の笑顔。優しいのならもっとちゃんと怒ってほしい。本当に悲しくて涙を流した日は多分両手に収まるくらいだろう。悔しさという感情がこの世にあって本当に良かった。ドーナツの真ん中に穴が空いていることもきっと救いなんだ。どうして生きているのだろう。どうして月に6万円も払ってこの箱の中に閉じこもっているのだろう。ハイブランドのものを持つことだけに、それをSNSで発信するためだけに生きている気持ちの悪い奴らよりかはまともだろうか。そいつらにとって私は本当に気持ちの悪い存在なんだろう。どうせ交わらないんだからいっその事忘れてしまおうか。誰も見たことのない綺麗な宝石を手に入れたならすぐに飲み込んで死んでしまいたい。

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