天草
大学の卒業旅行で天草に行った。全然知らないところで、友達が全部計画してくれて、それに乗っかって行ったのだが、すてきな津崎教会とかをめぐりえらく感激した。
バスで橋をわたり島原で向かう途中えらく騒いで、何もない田舎、どこがいいですかって、若い運転手が目を細めながら言った。まだ、ダサくて子供っぽい若い娘たちだった。
バスは港に着き、そこから船で島原に渡った。海も空も青かった。
遠藤周作の「沈黙」を読んでいたが、まだ、人生の悲哀もしらず、隠れキリシタンの地である、かの地に何の思い入れもなかった。
友人はなんであの場所を選んだのか。聞いてみればよかった。
その後、星野博美の「みんな彗星を見ていた」読んだ。そして、長崎周辺で起こっていた、江戸時代初めのおぞましい迫害の歴史の子細を知った。
改めて、連れ合いと長崎の遠藤周作記念館に行った。やはり、青い空と海がきらきらした日だった。
今、天草出身の漫画家、高浜寛があの頃のキリシタンのことを描こうとしている。彼女のなかにもキリスト教の影響はぬぐいがたくあるのだろうか。海の道を通じて私もかの地につながっている気がする。
私は弱虫で卑怯だから、かの地でのたまわっていた人達のささやく物語をはやく語ってほしいと願う。
どんな風に死ぬとしても、人の人生ははかない。それだけは平等だ。
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