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Fortniteのemoteと振り付けの著作権

Fortnite内で購入可能なエモート(emote)につき、振付師であるKyle Hanagami氏の振り付けの著作権を侵害したとして、Hanagami氏からEpic Gamesに訴訟が提起されていました。

オリジナルの振り付けのYouTube”How Long”はこちら。44秒くらいから47秒くらいなど、何度も同じような振り付けが出てきます。
エモートの比較については、2022年8月24日の地裁によるOrder Grating Motion to Dismiss内の10頁以下に記載されています。
実際の動画での比較は、こちらのYouTubeで確認できました。数秒の振り付けではありますが、これを見る限り、かなり類似しているようには見えます。

地裁判決は、Hanagami氏の主張を認めなかった一方、2023年11月1日の上訴審判決(原文はこちら)では、地裁はsubstantial similarityの”extrinsic test”の適用に誤りがあったとして、Hanagami氏の主張を認める判決としています。

地裁ではそれぞれの動きを個別にみると、それぞれは著作権の保護がなされていないものであるから、全体としてみても保護されないとしましたが、高裁では、音楽の著作権で比較されるメロディ、ハーモニー、リズム、ピッチ、テンポ等から分析を行うことから、振り付けも、一貫性のある全体で構成された関連する一連のダンスの動きとパターンであると定義した上で、静的なポーズではなく、フットワーク、四肢の動き、手や指の動き、頭・肩の動きなどが、実質的にEmoteと類似していると判断しています。

社交ダンスのようなステップは米国著作権法上登録が不可とされていますが、今回のようなダンスにおいては、単純なステップ以上の創作性が認めれうることになります。Hanagami氏の弁護士によれば、ショートフォームのデジタルメディアの時代において、振り付けの権利について影響を与える判断であるとしておりますが(Los Angeles Times)、日本における振り付けの検討にも参考になる判断かと思われます。


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