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妊婦の女性の写真とアルコールの宣伝について

アメリカにおけるアルコールの宣伝については、Distilled Spirits Council of the United States(DISCUS)という米国で蒸留酒を販売する生産者やマーケターを代表する業界団体により、アルコール広告に関するCodeが定められています。

今回取り上げるのは、Woodford Reserveというウイスキー会社のMaster DistillerであるElizabeth McCallさんを紹介するWisheky Magazineが、同広告コードに抵触するかを判断した事件です。
この事件では、妊婦であるElizabethさんが、ウイスキーグラスを片手に持って写真に映っているのですが、これがDISCUSのコードに抵触するという申し立てがありました。
実際の写真と記事は、こちらからご確認いただけます。

違反すると申し立てられたコードは、以下のコード(Section B1)です。
「bverage alcohol advertising and marketing materials should portray beverage alcohol products and drinkers in a responsible manner and reflect generally accepted contemporary standards of good taste」(簡易訳:アルコール飲料の広告およびマーケティング資料は、アルコール飲料製品と飲み手を責任ある方法で描写し、一般的に受容される現代の良識の基準を反映すべきである)

DISCUSは、この市民からの申立てを却下しています。
理由としては、この記事がそもそも「広告およびマーケティング資料」ではないとしています。この記事は、Woodford Reserveの親会社であるBrown-Formanの有料・無償で制作した広告ではなく、あくまでWhiskey Magazineが執筆・撮影したものであること、また、仮に「広告及びマーケティング資料」に該当したとしても、Master Distillerの仕事としても嗅ぎ分けることが90%で実際には飲酒をしておらず(試飲せず吐き出している)、妊娠中に飲酒を奨励しているわけではなく、どのようにエリザベスさんが仕事と妊娠中の母親の役割を共に果たして乗り越えるかを強調している記事である、と説明しております。さらに、Whiskey Magazineの記事をBrown-FormanのLinkedinで共有したことが広告に該当する旨、申立てでは述べられていましたが、このような共有を行なっても、記事はコードにおける広告・マーケティングの実践にはあたらない、と判断しています。
詳細な判断内容は、こちらをご覧ください。

確かに、この記事の後半を読むと、エリザベスさんの女性や妊婦としての葛藤と力強さを伝える記事となっています。エリザベスさんのこの写真のDISCUSの判断は、アルコールの広告に関する規制に関して参考となる判断になるのではないかと考えられます。



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