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ハリウッド式三幕構成を作品例を挙げて解説【テキスト】

この記事では、ハリウッドのアクション映画にありがちなパターンを使って三幕構成を説明します。

前の記事 ハリウッド式三幕構成をザックリと説明【テキスト】|エージロー (note.com) をまだ読んでいない方は、宜しかったら先に読んでみて下さい。

では、順を追って書いていきます。

第一幕

さえない親父がいます。
娘から嫌悪されています。
でも、この親父、実は元CIAの優秀な工作員。

今は過去を隠して、つましく暮らしています。

―― これが状況設定の提示です。

―― このままでは物語が展開しませんので、プロットポイントが入ります。

娘が誘拐される!

―― この出来事によって主人公に目的ができます。

娘の奪還です。

―― その為に親父は行動を起こします。

―― 主人公が動き出しました。

本当の意味での物語の始まりです。

第二幕

娘を助けるため、CIAの工作員時代に培った経験を活かし、ごく小さな手掛かりから娘の行方を追っていきます。

電話での会話を録音していて、その背後から聞こえる微かな音を分析し、監禁されている場所を探したり、かつての上司で、CIAの役職者や、仲間に依頼して監視カメラの映像を見せてもらい、逃げた犯人を追跡したり、努力と葛藤を重ね、娘を救うために行動します。

―― また、このままだと平坦になってしまうので、作品の中間辺りを一度盛り上げます。

―― ミッドポイントと呼ばれています。

ここで一度、犯人を追い詰めます。
派手なアクションシーンが入ったりします。
格闘や銃撃、カーチェイスなど、高揚感のあるシーンが挿入されます。
娘の救出まであと一歩というところまで迫るのですが、取り逃がします。

そして親父は重傷を負います。

病院で目が覚めた親父は安静を余儀なくされ、動けないもどかしさに苛立ちます。

さらに悪い事が続きます。
見舞いにきた仲間から、「 国外に逃亡され、追跡不可能 」という悪い報せがもたらされ、さらに苦しみます。

―― 大きな葛藤の発生です。

すると刺客が現れます。
入院している親父を殺そうと、夜中に忍び込んできました。
親父は気がつき、反撃して捕まえます。

そして娘の居場所を聞き出します。

―― このようにして、また物語が前へと進みます。

―― 物語のテンションをミッドポイントでピーク近くまで
   盛り上げてから、一気に落として落ち着かせました。

―― そして再び、主人公は目的に向かって動き出すのです。

医師たちの静止を振り切り、病院を後にした親父は、国境を越え、幾度かの妨害を受けながらも、犯人のアジトへと向かいます。

そして潜入し、敵を倒しながら、娘を助けるために行動します。

しかし、寸前で捕まってしまいます。

―― すんなりと救出させないことで、葛藤が強く提示されます。

とらわれの身になって、娘と親父はようやく対面します。

―― この窮地を脱するためにはアイディアが必要になってきます。

例えば、娘はイリュージョニストの助手をしていて、縄抜けが特技であり、夜中に縄を解いて親父を助けるとか( あくまでも例えばですよ )何かしらがあり、状況を打破します。

―― ただし、伏線といって、娘がイリュージョニストの助手であるならば、一幕でその設定を示しておきます。そうしないと作者の都合で書いた事がバレバレで、視聴者は醒めてしまいます。

とにかく、娘と親父はその場から逃げる方向へと行動します。

―― これが、二幕のプロットポイントです。

第三幕

―― ここからが一番の見せ場です。

抜け出したものの、案の定、見つかってしまいます。
娘をかばいながらのアクションシーンが展開されます。
素手での格闘や、ナイフを奪っての戦い、銃撃、爆破など派手なアクションで魅せます。

そして、見事に脱出! 

川辺には、仲間の用意したモーターボートがあり、救出地点である海に向かいます。

―― しかし、すんなりとはいきません。

さらなるアクションシーンです。

水上警備隊の船に追いかけられます。親父は懸命にボートを走らせます。
突き進むと目の前に海が広がっています。目的地までもう直ぐです。

しかし、河口を出たところで警備隊は砲弾を発射。
ボートに命中し、爆破炎上します。

親父と娘は間一髪、海に飛び込み難を逃れます。

―― このようにクライマックスを盛り上げます。

そして、停泊しているクルーザーに引き上げられ、無事帰宅の途につきます。

―― ここで、締めくくりでもいいのですが……

例えば、

クルーザーには、工作員時代の上司が乗っています。
直々に迎えにきてくれました。

しかし、この上司の行動が腑に落ちません。

そこで娘は気が付くのです。
上司は犯人の一味で誘拐の実行犯であることを。

すると、娘が上司に捕まり、縛り上げられます。
両手を縛られた娘を盾にします。
親父は反撃できずに撃たれます。

―― またしても窮地です。

娘は自分が邪魔なことに気が付き、縛られたまま自ら海に飛び込みます。
ここで親父が反撃にでます。
上司を叩きのめし、海へ飛び込みます。
何度も潜って、娘を必死に探します。

すると、なんとか縄抜けをした娘が海面に顔を出します。

―― イリュージョニスト助手設定が活きますよね? (笑)

親父は娘を抱きかかえ、船へと泳ぎ無事救出。

―― 親父は目的を達成します。

娘はこのことで親父を見直します。

―― 視聴者には、親の子に対する愛の凄さが伝えられます。

これが俗に言うカタルシスです。

ハリウッド式三幕構成、如何でしたか?
このような構成になっています。

ではでは。

エージロー

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