見出し画像

①.本喫茶わかば訪問 ②.「地球星人」を読んで

#本と珈琲とときどきバイク #バイクと出逢うための本屋 #バイク乗りと繋がりたい #バイクと一般人とを繋げたい #本喫茶わかば #地球星人 #きれいなシワの作り方 #村田沙耶香

①.本喫茶わかば訪問
かねてよりずっと行きたかった箱根にあるお店「本喫茶わかば」さんへ梅雨入り前の最後の晴れの日を狙って訪問。新しく本屋を始めようとする同志として、クラウドファンディングで募ってた頃から存じ上げておりました。

画像2

画像3

平日の昼下がりということもあって、誰もおらず、静かに2時間ほど読書時間を過ごすことができました。上写真が本売り場(主に古本です)、下写真が喫茶スペースで、奥に見える本棚は喫茶利用者向けに読んでもいい本ということでした。本のラインナップも面白く、日常を豊かに彩る暮らしがメインの選書という感じでしょうか。
私は靴を脱いで畳で本が読める喫茶を経験したことがなかったので、日本人の心に響くものかトライしてみたかった気持ちがありました。私の自宅にも畳の部屋はないのです。
靴の脱ぎ履きを煩わしいと感じてしまうのは私含め現代人ならではですが、一度くつろいでしまえば、とても収まりのよい落ち着く空間。「あぁ、日本的だなぁ」と思いながら、敢えてコーヒーではなく烏龍茶を注文。BGMはちょうどよい音量とテイストのジャズがかかっていました。

画像4

軽食もあったので、里芋のグラタンも注文。とても美味しかった。まだ緊急事態宣言下ではありますが、おいおい皆さんも足を運んでみてはいかがでしょうか。日本人的な丁寧な時間の過ごし方がそこにありました。

ちょうど村田沙耶香さんの本を読んでいた関係で、売り物の本棚の中に村田さんのエッセー「きれいなシワの作り方」という面白そうな古本を見つけ早速購入。感想は下記にて綴らせていただきます。最近いろんな作家、特に女性作家の日常の視点に興味がありまして、数々の物語を生んできた作家さんたちは普段何を考え、何を想い、日常を捉えているのか、自分にとって何かのヒントになる気がして、その類の本があれば、つい手にとってしまいます。

「地球星人」

②.「地球星人」を読んで
私は最近女性作家の本をよく読むようになりました。ストーリーは架空のものではありますが、一つ一つの描写&視点に必ず作家さんの個性が出るからです。特に女性が描く女性の気持ち、男性の気持ちは読んでいて面白い。「男性のことをそう捉えるのか」「女性はこの時そう考えるのか」というような感性を丁寧に磨くことができる。男性作家の場合はやはり自分自身も男なので、理解&共感の範疇に収まりやすいのですが、女性作家の視点は驚きと発見があるように私は思います。
江國香織さん、宮部みゆきさん、三浦しをんさん、角田光代さん、山田詠美さん、川上弘美さん、恩田陸さん、村田沙耶香さん、林真理子さん、村山由佳さん、辻村深月さん、原田マハさん、西加奈子さん、湊かなえさん、高田都さん、綿矢りささん、瀬尾まいこさん、、、、挙げたらキリがないですが、主な有名どころはもちろん、出版社もやっておられる作家さんもいたり、、、独立して働く女性には、男性にはないパワーをすごく感じます。そしてそのパワーこそ私の知りたい根源的な「何か」だと最近思っているわけです。

さて、前段が長くなってしまいましたが、今回の感想は村田沙耶香さんの「地球星人」。読後は「なんじゃこの展開!怖っ、キモっ、ヤバっ、でも気になる」みたいな、、、語彙力が足りないですが、この物語は最近読んだ中でもとても正気とは思えないエグさがありました。村田さんの人と成りを疑いましたね(いい意味で)。
読み進めていくなかで「ははーん、これは最近の傾向である、生きるのが不器用なマイノリティに属する主人公サイドが前を向き、生きようとする救いの話だな」と予想をしていました。ところが、後半から予想だにしないおかしなことになっていくのです。ある意味で主人公側は救われたとも言えるし、この地球上では生きていけないと気づく絶望感もあります。それほどまでに主人公側は「変形」してしまい、「昇華」してしまった。
完全に理解の外なのですが、それでも主人公側に手を差し伸べたくなる気持ちも少なからず残っており、、、読後の複雑な感情はとても一言では表現できない。理解、共感、嫌悪、拒絶、善悪などなど、、、いろんな言葉とともに喜怒哀楽全てが一気に襲いかかってくる感じでしょうか。
タイトルの「地球星人」が指す意味は、本編の前半〜中盤で大体わかったつもりだったけれど、それが本当に宇宙人から見た視点での我々「地球星人」だったと気づかされる頃にはもう開いた口が塞がらない。言葉の表現だけなのに、最後なんて目を開けていられないくらい凄惨な光景が目の前に広がりました。さすがです村田さん!
ネタバレはしたくなかったので、ボカシながらもなんとなくこの作品のヤバさが伝わったでしょうか。予想の斜め上、ブッ飛んでる。
皆さんも怖いもの見たさに読んでみてはいかがでしょうか。
本当にこの解釈で合っているのかわからないくらい、考察に幅が出る作品だなと思いました。

この作品を読んで、元々好きだった村田沙耶香さんがいったいどんな人なのかというところに非常に興味が湧いてきた矢先、先ほど述べた本喫茶わかばで見つけたのが村田さんエッセー「きれいなシワの作り方」です。
これは村田さんが雑誌ananに2013〜2015に連載していたエッセーを編集し、本にしたものです。当時30代半ばの村田さんの人と成りがよくわかる。視点も面白く痛快。人間的な魅力を感じる反面、「この人、結婚できないだろうなー」とも思ってしまいました。(失礼ながら申し上げてしまいました。村田さんごめんなさい!)
直接お会いしたことがないので、人見知りと本人は仰るもののどの程度のものなのかはわからないけれど、文字にするぶんには村田さんは饒舌なので、その観察眼、相手を思いやる気持ち、女子あるある、若き日の彼氏依存の失敗談だとか、いろいろ周囲が気になってSNSにアップできないという気にしすぎ感などなど、あたかも目の前で話を聞いているかのようにとても面白く拝読させていただきました。
私が感じた限りでは、村田さんは想像よりも、可愛い女子&乙女な思考の持ち主。それが根元にある人なんじゃないかと。一方でそんなの私に似合わないとどこか冷静で客観的に割り切ったところがある、2面性があって行ったり来たりする人なのかなーと、勝手ながら村田さんイメージを形成して楽しんでいました。
ただ、どのエッセーを切り取っても「地球星人」が生み出せる人には到底思えなかったという、、、ますます村田さんの謎が深まるばかりです。

絶賛コロナ禍ですし、しかも梅雨に入ったので、バイクに乗りづらい日が続きますが、本でも読みながら、ツーリング先等の妄想膨らませて過ごしましょうかね。レッツ妄想ツーリング☆

本日はこの辺で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?