①.早速オープン日が遅れます。。。 ②.「俺と師匠とブルーボーイとストリッパー」を読んで
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①.早速オープン日が遅れます。。。
先週ご案内させていただいた「本と、珈琲と、ときどきバイク。」という「バイクと出逢うための本屋」がコンセプトの小さな本屋のオープン予定日ですが、早速遅れが生じました。建築関連で材料調達が間に合わないそうで、、、1ヶ月ほど後ろ倒しになりそうです。
そこで、改めてオープン予定日をお知らせいたします。
「本と、珈琲と、ときどきバイク。」
オープンが
11月6日(土)
またはバッファをとって
11月12日(金)
に再設定させていただきます!
楽しみに待って頂いている方を信じて、ご迷惑おかけしますが、
開店まで今しばらくお待ちください。
ただ「バイクと出逢うための本屋」といっても、メカやスペック、バイクの歴史、クルマ関連、、、などそういう類の本はなるべく置かないつもりです。そこを前面に打ち出してしまうとそれこそ既存のバイク好きにしか興味を持たれず、一般の方にとっては余計にハードルが高い本屋になってしまうと思っています。特に女性にとっては近寄り難い印象を持たれかねません。
これは持論ですが、バイクに乗る乗らないを分けるのは「好奇心、感受性、美意識」の豊かさだと考えていまして、それらをくすぐれるかどうかを基準に私のお店では選書しております。それこそバイクが直接出てこない本の方が明らかに多いです。それでもこれらの本との出合いが連鎖していき、いずれバイクへとたどり着く。そんな想いをもってバイクとの出逢いをお手伝いできればと思っています。
②.「俺と師匠とブルーボーイとストリッパー」を読んで
地味に良本と出合うというのはこういうことを言うのですね。SNSを見ててもネットを見てても、私の検索範囲にまるで引っ掛からなかったこの1冊。私がよく通う「高久書店」さんにてたまたま見かけたのがきっかけで、全く買う予定のなかった1冊。
装丁は豪華な印象なのに、内容としては、劇場で活躍する役者たちとそれを支えるスタッフの物語だというのに、まるで華やかさがない。それどころか昭和50年代という今風でもないし、舞台が釧路なので極寒の描写も多く、どこか全体的に仄暗い感じのする地味な全体の雰囲気。
安心してください、そこに引っ張られるやなかれ、気がつけば1冊読み終わっていたというほどに面白く、寒いのに暖かい物語。
主人公は劇場のスタッフの一人。劇場といっても、それは地方のキャバレーで宝塚のような立派な舞台ではありません。それこそ舞台上ではマジックショーやシャンソン歌唱、ストリップショーが繰り広げられる、お客さんは女性の接客を受けながら、それを見る。キャバクラ+舞台のセット販売、加えて演者へのチップという感じです。昨今ではほとんど見られないスタイルですが、そういうお店が昭和には多くあったのでしょう。そんな舞台上で繰り広げられる演目は月替わり。今作の物語は、年末の1ヶ月間だけを担当することになった旅芸人たち。ポンコツマジシャンとゲイ(ブルーボーイ)のシャンソン歌手と妙齢のストリッパーの3人組。この3人が劇場にやってきて、主人公の住むボロボロの寮で一緒に暮らすことになるのですが、、、それぞれに強い個性を持った魅力的な芸人たちの絶妙な会話の掛け合い。度々描写される極寒の表現に対して、暖をとるためにわざわざ狭い部屋に皆で身を寄せ合うシーンの数々。何も持ってない空っぽの主人公にとって、彼らはいつのまにか大きな存在になっていくという話なのですが、何が面白いのかと言われると、一言では言い難い。それこそ寒かったものが暖かくなる話。に尽きるのだけれど、あえて言うなら多彩な文の表現。少しご紹介。
『化粧もドレスもない朝のシャネル(ブルーボーイのあだ名)はただのオヤジだ。ウィンクされると食べたものが二センチ逆流した。』
とか、、、
『「俺、どこで寝るんですか」「あたしの腕の中に決まってるじゃない」落ちた顎が床で音を立てそうだ。』
とか、、、
『たった一ヶ月のあいだにあったことが、ぐるりと頭蓋骨の内側を撫でてゆく。撫でながら感情の壺へと落ちてゆく。何者かになるというほど大げさなものではなかった。』
とか、、、
これらの表現ヤバくないですか?コミカルなものもあれば、その例え描写の繊細なものもある。その感情表現は見事に的を得て、その時の主人公の気持ちドンピシャだと思ったのでした。当然前後の文脈もあるので、その良さは抜粋しただけでは伝わりにくい。ぜひ本作を読んでみて頂きたい。そして極寒の北海道に行ってみたくなります。冬の北海道はバイクには乗れませんが。
「高久書店」でこの本と出合ったとき、私はいったい何を思ったのだろう。何を感じてこの本を買ったのか、、、一期一会とはこのことで、店主の高木さんマジックということにしておきましょうか。
今回はこの辺で。
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