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製薬企業・開発部門の治験の進め方

製薬企業での治験のやり方について、簡単に説明したい。

具体的な治験の進め方の前に、製薬企業の構図について説明したい。まず、製薬企業は大きく開発と営業の2つの部門からなる。営業の部門は医療機関に医薬品の営業を行い、企業の収入源である医薬品の売上を増加させる。開発部門は、将来企業が販売する医薬品を開発している。

治験は、①医薬品が人間の病気を治すための効果を有しているのか、
②人が服用して安全であるかを検証するために、開発部門が行う。この2つの目的のために、数年、長い場合は10年以上もかけて治験を行う。この治験には複数の段階があり、疾患を治癒するための効果を検証するフェーズや、安全性を重点的に検証するフェーズなどに分かれている。また、そもそも人へ投与する前に動物などへの投与を行う非臨床試験も行なっている。

なお、混同しやすい治験と臨床試験の言葉の違いを説明すると、臨床試験は医薬品の人への安全性や効能効果を調べる試験全般を指し、治験は医薬品として承認を取得するために行う臨床試験を指す。

さらに、治験を効率的に進めるために、開発部門は複数の部署に分かれている。代表的な部署を挙げると、各臨床試験の計画を立案する部署、医療機関と連携して計画通りに試験を遂行する部署(Operationなどと呼ばれる)、医薬品にとっても最重要な安全性の情報を収集・管理する部署、試験の結果をもとに政府に医薬品使用の許可を申請・協議する部署などが挙げられる。これらの複数の巨大な部署(数十人から数百人単位)がチームになって、臨床試験を遂行していく。

ここで、治験を進めていくにあたり一番重要な点が、治験の再現可能性である。再現可能性とは、実際に治験を再現するわけではないが、どのように治験が進められ、結果に至るまでが明確に説明できることを意味している。そのため、実際の作業手順が事細かく定めされており、全ての手続きをトラックできる証拠を残す必要がある。

以上が、製薬企業における治験を進める上での大枠であるが、今度はもう少し詳細を掘り下げたいと思う。



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