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唐突にピンクとグレーについて語る

新型コロナウイルスによる悲しいニュースが多い。どうしたって気持ちが暗くなる。

いやこれじゃまずいぞ!!せめて気持ちだけでも明るくしよう!!!明るくするにはどうしたらいいんだ!!!!!そんなの決まってるだろ!!!!!!推しの話をすればいいんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ってことで大好きな映画『ピンクとグレー』について語ります。

この映画、わたくしほんとにほんとに大好きなんてございます。その大好きポイントを完結にまとめようとしたけれど大好きすぎてまとまりませんでした。…じゃこのnote終わっちゃうので無理矢理まとめます。

大好きポイント
・原作と脚色の相乗効果
・役者を贅沢に堪能できる
・テーマとエンターテイメントの共存

まずはそのいち。
・原作と脚色の相乗効果

加藤シゲアキさん作の同名の原作小説、皆様読んだことがありますか?
まだの方は以下若干のネタバレがありますのでご注意ください。

まず、映画で大体的に宣伝文句にも使われていた『開始62分の衝撃』。
ピンクからグレーに切り替わる瞬間ですね。

これはやっぱり凄い。所見時はド肝抜かれました。

ただ、当時この【仕掛け】をメインで宣伝してたのには若干もやもやするところもあるのです。

この映画、【仕掛け】そのものを見せてお客さんをびっくりさせよう!という映画ではないんですね。(「カメラを止めるな」は逆に【仕掛け】そのものを見せる映画でした。決して悪い意味で言ってるんじゃないよ。)

ここでは【仕掛け】を使うことでしか表現し得ないものがあり、その先の感情を見せるために【仕掛け】を使っている。

つまり、「【仕掛け】がすごいんですよー!!」って売り出されたのはなんかもやもやなのです。
この物語は、【仕掛け】ありきのびっくり映画ではなく、その先を追求している、奥の深い、正当な、青春映画だと思っています。(もちろん商業としての売上のためにインパクトのある宣伝文句が必要なのは百も承知なのですが。)

そして何よりすごいのが、この【仕掛け】は原作には全く登場しないんですね。

そしてもう一つ、私が大好きな、りばちゃんが「しょーもな!」と言ってライターを投げるラストシーン。

このシーンも原作にはありません。

原作は、りばちゃんが白木蓮吾のように首を吊って、意識が遠のいていくところで終わります。

この通り、原作と映画の脚本はかなりの相違点があり、かなり大胆な脚色がされているのです。

この大胆な脚色に好き嫌いはあるかもしれませんが、私は全力で拍手を贈りたいです。

なぜなら、原作と脚色の関係は本来このようにあるべきだと思っているからです。

小説と映画。
媒体が違うのですから最適な魅せ方も違います。
カフェや自宅で文字媒体を通して自分のペースで読む小説と、2時間密閉された空間で2時間爆音大画面で観る映画。
こんなに環境が違うのですから、そりゃ大胆な脚色も必要になります。当たり前です。
(逆にこれができていない原作アリの映画が多すぎるのが問題なのです。)

このピンクとグレーはその媒体に最も適した形に姿を変えることによってその魅力を最大限に発揮させています。
特に中盤の【仕掛け】は映画ならではの演出として最高の手段です。

まさしく小説×脚色の掛け算。相乗効果抜群です。

そしてそのに。
・役者を贅沢に堪能できる

これはもう言わずもがななので勢いに任せて書きます!!!!
ピンクからグレーの役者の変わりっぷりがえげつないんだよ特にあの2人!!!!!!!!!!!
菅田将暉さんんんんんんん前半めっちゃ感情移入しちゃっただろうがよおおおお移入した感情返してくれよおおお!!!!!!本領発揮しすぎなんだよおおおお!!!!そして夏゛帆゛さ゛ん゛ん゛💢゛💢゛💢゛なにその変わりっぷり!?!?バケモノ!?!?おまわりさんここにバケモノがいます!!!!(褒め言葉)
役者さんの凄まじさをこんなにも堪能しちゃっていいの!?!?ごちそうさまですよほんとに!!!!!純粋に恐ろしくなったよ!!!!!役者やべえ!!!ありがとうございます!!!!(ここまで一息)

ぜー、はー、

単純に、見世物として最高のものを提供し過ぎなのです役者さん………。この演技だけでもスタンディングオベーションものです……。

はい、少しクールダウンしましてそのさん。
・テーマとエンターテイメントの共存

この映画、テーマも色々あるかと思うんですけども、個人的には最大のテーマは『人と人とはどうやっても真にわかり合うことなどできない』ってことだと思うのです。

捉え方によっては、残酷だと捉える方もいるかもしれませんが、このテーマに私は救われました。

だって、事実だもの。

わかり合えないもどかしさ、残酷さ、切なさ、諦め、悔しさ、そういったものを全部放り投げてくれるラストシーン

「しょーもな!」

私は、この美しいシーンに心救われました。

人生は、人との関わりは、人の心の中は、生きるということは、

案外しょーもないのです。


多分、このテーマは世間的に見て正しくはないかもしれません。「人と人は努力すれば必ずわかりあえる!」の方が道徳的ですものね。
けれど私は、芸術のテーマは正しいものである必要はないと思っています。これは本当に個人的な話です。

よくドラマや映画で、正論を台詞でまくし立てる、お説教のようなシーンをよく見かけます。
こういうシーンを見るとたまに思う。

芸術をお説教の道具にするべきではないと思う。
逆だ。お説教を芸術の道具にするべきだ。
お説教や正論も含めて、芸術作品として美しくなければ意味がない。逆に、それが美しいのであれば、そこで語られるのは正論である必要はない。(もちろん、美しいのであれば正論を語るシーンも大いに価値がある。)

これは本当に個人的な想いです。人に押し付けるつもりは全くありません。

けれどこの映画の(一般的には正しくないであろう)テーマ、そしてそれを描く描写は本当に美しく、胸を打つ。

この映画ではテーマや論が、芸術として美しく成立しているのです。

そしてテーマ性だけに留まらず、映画としてのエンターテイメント性にも溢れている。
前半から後半への急展開、スピード感のある描写とキャラクター、観た人を引き込み離さない魅力ある映像演出とストーリー展開。

これほど完璧に美しくテーマとエンターテイメント性を共存させている映画を、愛さずにいられるだろうか。いや、否!!!!!愛さずにはいられない!!!!!!愛してるぞピンクとグレー!!!!!

さて、映画「ピンクとグレー」の魅力、語りだしたら本当に止まりません。すごい長くなってしまいました。やば。
何回観ても引き込まれる、素晴らしい映画です。この映画好きな方、いつでも語りましょう。

ピンクとグレーはいいぞ!!!!!!

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