水瀬いのりの炎上について

1.同一性は疑わしい

(1)そもそもアカウントの同一性は、水瀬いのりinfo(以下 公式info)が発信した「水瀬いのりさんの注意喚起が読めないバカ」という文章が、同一性を疑われる他のアカウントの文体に類似していた、という点から導かれている。
20文字程度のありふれた内容の文体であり、仮にまったく同一の文章が他のアカウントから発信されていたにしても、ここから二つを同一の人間の投稿であると基礎付けるのは不可能である。
仮に公式infoと他のアカウントを操作していた人が同一人であるにしても、他のアカウントを操作していたのは水瀬いのりだ、と言える根拠はどこにもない。つまり、この問題はその当初からまったくの妄想と言える。
(2)そうである以上、(1)の事実を補強する推測とされている事実もまったく当たらないと言わざるをえない。
例えば、文末に"!"を2つ付け、その後に、"笑"を付ける文体が類似していることを指摘するものがある。
しかし、これは社会通念上ありふれた表現であり、特定人と結びつけられた表現ではない。そのため、これを用いていることから二つのアカウントの同一性を推認することは不可能である。
また、ここから、他のアカウントの操作者が水瀬いのりである、という推測も同じく成立しないことは明らかである。
(3)さらに、公式infoが誤った内容を投稿した直後に、同一性を疑われる他のアカウントがアカウントを削除した、という事実が挙げられている。
二つの事実の正確な前後関係は不明であり、そもそも、この二つの因果関係も全く明らかではない。そうである以上、他のアカウントの操作者が水瀬いのりだ、とするのは不可能である。
仮にここから、公式infoと同一性を疑われる他のアカウントの操作者が同一である、ということまでは推認できるとしても、その操作者が水瀬いのりだ、とする証拠はどこにもないこともまた同様である。
(4)他のアカウントの"いいね"していたものが、水瀬いのり本人の趣味嗜好と類似している、という事実が指摘されることもある。
これも明らかな誤りである。水瀬いのりの趣味嗜好だとされているものは一般的なものであり、またそれゆえ、幅広い年齢から好まれているものでもある。
それらをいくら重ねたところで、水瀬いのりという特定の個人と結びつけることはできない。

2.公式infoの対応は妥当

(1)公式infoは件の原因について、アカウントがのっとられたことにより発信された、と発表している。これは問題の原因を特定し、その原因を外部に求めるという対応である。
仮に本件における発信が、マネージャーレベルの近しい関係者からの発信だとしても、マネジメントとしてこのような発表になるのは、それ自体の妥当性はおいて常套手段である。
それゆえ、公式infoがまず行う発表としては、結論として妥当ということになる。
(2)仮に本当にのっとりなのだとしたら、犯人に対して法的手段を講じることを公式infoが宣言するべきであり、これをしないということは、それが出来ない事情があるのだろう、という意見がある。
これは誤りである。法的手段に出ないことから、ある事実を真だと推認することは明らかな誤謬である。
たとえば、窃盗の被害を警察に届けないことから、窃盗がなかったということにならないのと同じである。
もうひとつ例を挙げれば、オタクは過去にいじめられていたとしても、法的手段には出なかったことが多いのではないだろうか。そこからいじめられていたオタクはいない、とするのは明らかな間違いであることが分かるはずである。
この問題は性被害でより大きな問題として存在するが、ここでは立ち入らない。炎上におもしろおかしく参加した者は、反省してこれを考えてみるといいと思う。

3.結論

(1)以上のように、長く語るまでもなく当該アカウントが水瀬いのり本人であるという推測はまったく失当である。
(2)また、当該アカウントが行っていた他の声優への発言を鑑みると、当該アカウントによる発信が水瀬いのりによるものだ、とするのは、明白な誹謗中傷である。
個人的には、水瀬いのりの所属事務所であるアクセルワンは、こちらに対して上記を内容とした法的手段を取るべきであろうと思う。
(3)タレントの裏アカウントが明らかになった、というのは確かにおもしろいネタなのかもしれない。しかし、それをネタとして消費し、タレント本人や他のタレントを巻き込み傷つける行為は許されることではないだろう。
そのような一線を超えていることに対して無自覚な態度は、法改正を必要とするほどの誹謗中傷問題や、タレントの自死にまで直結している。いつになったらそのような問題に自覚的になるのであろうか。
この一件の反応の大きさをみても、オタクの無自覚な邪悪さは相当なものであり、この点からも所属事務所や関係各事務所は、法的手段で対応すべきなのではないか、と思う。
(4)法的手段を取ることに対しては、水瀬いのりが他のタレントを誹謗していたのであるから、関係各事務所は水瀬いのりに対して法的手段を取るべきである、という主張がされている。
これは明らかな間違いである。上記のように、他のアカウントから発信した者が水瀬いのりであるという証拠ははない。自己の思い込みを元にした法的手段など、そもそも成立のしようがない。そのためそのような手段を取ることを求めることは誤りである。

※公開するが、追記や表記を訂正する予定。

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