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フェルメールが絵に描いた地球儀と天球儀を見に行きませんか?!

日本人のフェルメール好きは相当だと思います。この十数年間にフェルメールの絵画が日本にやってきてはたくさんの観覧者を集める、というのが、人気の絵画展のパターンの一つといってよいかもしれないくらいw

さて、そんなフェルメールの絵画作品に「地理学者」「天文学者」という対になっている作品があるのをご存知でしょうか。
きっと見れば、ああこれか、って感じではないでしょうか。

「地理学者」はこれ。

そして「天文学者」はこれ。

これらの絵には地理学者には地球儀、天文学者には天球儀が描かれています。

★絵に描かれた地球儀と天球儀の本物が見られる!!

そして、何と今、日本にはこの絵にも描かれた地球儀と天球儀の本物がやってきているのです!!
これってすごくありませんか??
正直言って、フェルメールの絵画が日本にはやってくるのと同じかそれ以上に貴重な機会じゃないでしょうか?

それも、なんと!

無料で見ることができるのです!!!


★いつ、どこで見られるの?

これが結構注意点もあるところなので、最初に書いておきましょう。

場所は大日本印刷のDNP五反田ビルにあるDNPミュージアムラボ

そして、見られるのは
金曜日の午後6時から9時と
土日の午前10時から午後6時。
まぁいえば、週末だけ。

観覧無料ですが、WEBか電話で予約しなくちゃいけないのが少し面倒くさいと感じるかもしれません。
サイトに開館日と時間のカレンダーがあるので、それを確認して○だったら名前とアドレスと人数を書けばよいだけ。返信メールに予約番号が書いてあるので、それは行った時に必要(多分、名前だけで大丈夫とは思うけど)。
あとは、予約した時間に行ってくださいね。
どうして、予約制なんて面倒くさいことになってるのか(おそらく30分単位で十数名が定員のよう)は、後での実際の鑑賞のところで理由がわかります。

★何が見られるの?

この展示は、フランス国立図書館(BnF)とDNP大日本印刷との地球儀・天球儀3Dデジタル化プロジェクト、によって実現されたものです。
BnFの収蔵する地球儀・天球儀のうち、貴重な55点についてDNPが高精細3D撮影システムによってデジタル化し、データを公開するというものです。そういえば、ヴァチカン図書館の稀覯書のデジタル化プロジェクトにはNECが関わってたりしますよね、日本の技術が結構データのデジタル化に貢献してるわけですね。
今回の展示ではその貴重な地球儀・天球儀のうち10点が前期(5月22日まで)5点、後期(6月3日から9月4日まで)5点、デジタル鑑賞システムと共に公開されるわけです。

前期に公開される5点の目玉は当然、フェルメールが絵に描いた地球儀と天球儀です。
これはヨドクス・ホンディウス(父)が1600年に作った物で台を含めて高さ50センチほど、直径は40センチ程度のものです。
地球儀も天球儀もまさに当時の先端の知見を反映させたものとして見ると、地球儀はまだアメリカ大陸全体には曖昧なところが残り、まだポルトガル人が来訪していない日本はまだ形が定まっていないところがまさにその当時を表しています。
同時に展示されているのは、この他にアラブで作られた同時代の小型のてんきゅうぎ、さらにホンディウスの時代から如何に世界地理の精度が上がっていったかを示す、18世紀中頃のバラデルの地球儀と19世紀中頃のチュリーの地球儀という構成になっています。これらを見比べるだけでも大変面白い!

★たった5点だけなのにそんなにすごいの?

たしかに展示されているのはたった5点の球体の物体だけです。一般的な美術展と比べても貧弱な感じがしますよね。でも、この展示はそれを補うだけのコンテンツもいろいろ用意されています。
まず、展示されている5点の地球儀と天球儀には、一緒にデジタルディスプレイも併設されていて、そこに見所のポイントやそれに関連する情報を見ることができます。さらに、デジタル撮影された高精細データをそのディスプレイで見ることがきるので、目の前に実物が、そして手元のディスプレイではそれを360度自由にタッチパネルで操作しつつ、拡大して細かなところを確認することもできるのです。

この展示されているコーナーとは別の場所では、BnFの所蔵する地球儀・天球儀のうち破損していたものの修復プロセスの解説や、元々これらの地球儀・天球儀はどのような方法で製作されたのかを解説する音声と映像(パンフレットを指定した位置に置き、指示に従ってめくることで解説が進むという凝ったもの、さらにパンフレットの言語を認識して音声は日英仏の3ヶ国語対応しています。

またBnFとDNPがデジタル化を進めている55点の地球儀・天球儀のデジタルデータも見ることができますし、ヘッドマウントディスプレイを使って天球儀の高精細デジタルデータを360度内部から見る視点で見る体験もできます。
この他に十数分の日本がジパングとして世界に認識されて以降、地図上でどのように描かれてきたかを解説する短編映画を見られるシアターもあります。

たしかに展示されている地球儀・天球儀はたった5点だけかもしれませんが、これらの用意されたコンテンツもとても満足度が高いものですし、これらを見ると1時間以上はかかります。
そして、これらのコンテンツを十全に楽しむには同時にたくさんの人をいれるわけにはいかないので、予約制で十数人単位に限定しているわけだということも理解できるわけです。

冒頭の繰り返しになりますが、フェルメールが絵に描いた地球儀・天球儀の実物が見られるというだけでも、本当に貴重な体験だと思います。

そして、それを体験してみて思ったのですが、同時にデジタルデータを操作して高精細なものをディスプレイ上で見られるものが手元にあると、目の前にある実物を人はあまり見なくなるのだなぁ、ということもわかったのですwww
だって、ガラスに隔たれて、やや薄暗い照明では、下部の陰になっているところなんてあまりはっきりみえないんですよね。手元のディスプレイはその部分も、はっきりくっきり、拡大も自由自在で見られちゃうわけで。。。
なんだか実物とデジタルデータの関係性というものも少し考えさせらちゃいますね。未来における美術品や貴重なコンテンツの展示方法の可能性、レプリカで十分なのか、デジタルデータがどのくらいそれを助けるのかといったことをさりげなく考えさせられるわけです。

まぁ、そんなことはおいといても、本当にみに行く価値があると、超絶オススメしておきます!

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