強さってなんだ?ビート大会ルールについてのちょっとした提案

BPLS3もいよいよ佳境に入っていますが、今日はちょっと違った観点から記事を1つ書こうと思います。

それは『ビートマニアの大会ルールにはもっとバリエーションがありうるのではないか』ということです。
ビートマニアの大会には当然ながらルールがあり、そのルールの中で強い人が活躍し、良い成績を残すでしょう。

アリーナモード登場以降、近年のKACやBPLではアリーナモードが使われることが標準になっています。
アリーナモードは人vs人(対人戦)のためによく整備された公平なルールになっており、その特徴は
『自選曲の投げ合い・勝ち点制・ランダム同期』
です。

思い返すと、(みんな大好き)KAC2013はこのような公平なルールとはほど遠いルールでした。
予選ラウンドでは16人が延々とAAとDevilz Staircaseをプレイし、EXスコアの合計で順位が決まり、もちろんランダム同期なぞありませんでした。
決勝ラウンドでは自選曲の投げ合いが行われましたが、順位はEXスコアの合計で決まり、ランダムも非同期です。
思えば、昔のKAC(やトップランカー選手権)では、同じ課題曲を全員がプレイし、スコアの合計で順位をつけるということが一般的でした。

アリーナモードにももちろん良さはあるのですが(だからアリーナモードが開催されるとトッププレイヤーたちの対戦が盛り上がるのですが)
色々な草の根大会までそのルールがアリーナモード一辺倒になってしまうのはちょっと行き過ぎていると感じます。
特にアリーナモードの投げ合い形式は、このゲームの楽曲数があまりに多いため、対策する負担が大きすぎるのではないかと思っています。

では、
『自選曲の投げ合い・勝ち点制・ランダム同期』
という現行のルールを変えるにはどのようなアイデアが考えられるでしょうか。

まず「自選曲の投げ合い」は選曲の自由度が高すぎて対策コストが高くなりすぎる=参加者の負担が大きいという問題ですが、
大会の主催側で課題曲リストのようなものを作り、その中からしか選べなくすることで選曲プールを小さくするということが考えられます。(BPLS3では過去シーズンに比べて選曲プールがかなり小さくなっていますが、選手の練習コストに配慮したものだと思われます)
もう一つ思いつくのは、最初から主催側でプレイする楽曲を指定してしまうことです。
それであれば最初から指定された楽曲だけ練習すれば良いので、莫大な楽曲全てを対策するという負担はなくなります。

勝ち点制についてはどうでしょうか。勝ち点制になる前は、EXスコアで大差がつく(つけられる)ような楽曲をプレイして圧勝を狙うのが常套手段でした。灼熱1が異常なほどに猛威を奮っていた時代の話です。普通の☆12で多少負けても灼熱で押し返せば良かったわけです。(KAC2013ではまさにそのような大逆転劇が生まれました)
またノーツ数が多い楽曲が選ばれやすい環境でした。ノーツが少ない曲では点差を大きく付けにくいという理由です。
確かに勝ち点制であればいろいろな楽曲が武器になりうる(選曲のためにノーツ数や点差を気にしなくてよく、心臓勝負を挑むことが不利にならない)というメリットや、1曲で事故って大差がつくと残りが消化試合になってしまうのを防ぐというメリットもありますが、
大会の進行上引き分けが起きやすくなるという問題もあります。
ここで一つラフなアイデアを提案すると(自画自賛的ではありますが)本番のスコアをBPIで評価して、BPIの合計点で勝負するような大会も考えうるところかもしれません。

『ランダム同期』についてはどうでしょうか。
もちろんランダム同期の方が公平であることは言うまでもありません。
しかしランダムが同期でないからこそ、KAC2012の(DOLCE. vs MADOKAの)冥のようなドラマが生まれたという点も無視は出来ないところです。
屋外でやるスポーツは風が吹いたりするので全然公平じゃないこともあるわけです。しかし公平じゃないからつまらない、公平じゃないからダメだとはならないはずです。ランダム非同期なら非同期で、それはそれで対策するのも力のうち。という見方も出来うるのではないでしょうか。
何よりランダムが非同期だからこそ生まれるドラマも沢山あります。

ここまではアリーナモードを出発点に、その対になる案について考えてみましたが、そもそもPvPから離れてゲームvsプレイヤー性にもっとフォーカスするような大会の在り方も考えられないでしょうか。

音楽ゲームにおいてまず目の前にあるのはゲームで、制作者が用意した楽曲・譜面がプレイヤーに立ちはだかっているはずです。
プレイヤーはスキルを向上させ、ゲームを攻略し、よりよく攻略した人が強いプレイヤーだと言われることになるでしょう。我々はいつも歴代トップのスコアを意識しているわけですが、それは最も良くこのゲームを攻略した結果=歴代スコアだからです。
ところが、音楽ゲームの大会になると途端に対人メタの要素が色濃いPvPがメインのルールになってしまうのです。

しかしプレイヤーvsプレイヤーは決してこのゲームのメインだったわけではないし、プレイヤーvsゲームの方が遥かに根源的であると思うのです。
e-Sports化の流れからPvPにシフトするのは一つ必然だったのかもしれませんが、
PvPだけが音ゲーにおける強さなのか?
という疑問も浮かんできます。

そもそもPvPというルールの性質上、
自分は上手に出来るが相手は上手に出来ない
楽曲を相手に押し付けるのが最善の選択になるわけですが、
一視聴者の目線からすると、いやいや、
二人とも上手い楽曲で真っ向から競い合うシーンももっと見たいよ??」と思いませんか?

ここで青龍氏の超超超大台配信がヒントになりそうです。

卑弥呼4100のようなキリのよいスーパースコアを狙う、出せたらクリア、出せなければ失敗
という企画は、ゲームに挑むプレイヤー、つまりゲームvsプレイヤーという色が非常に強いわけですが、
こういうゲームvsプレイヤーの切り口を通じてお互いに競い合うというのはPvPの対となる面白いアイデアかもしれません。

自分の話で恐縮ですが、以前私が作成した大台ビンゴ(下図)のようなものを用意して、これをPフリー20分の間で何マス埋められるか競う
というのはゲームvsプレイヤーの構図をメインに据えつつ大会を行う一つのアイデアとなるのではないでしょうか。

持ち時間の中で好きな楽曲に挑戦する

さて、ここまでいろいろなことをつらつらと述べてきたわけですが、結論としては、もっといろんな形式の大会があってもいいんじゃね?もっといろいろ模索してもいいんじゃない?
ということに尽きます。

BPLは今のようなPvP中心のルールが続くはずですし、BPLを模した大会もPvP色の強いルールになるのが自然でしょう。
しかしPvPでの強さだけが音ゲー本来の強さではなかったはずで、強さはいろいろなルールで好きに示される方がきっと面白いと思うのです。
とすると今の大会ルールはアリーナに偏重しすぎているような気もしてきませんか。

昨今はかつてないほど野良大会、草の根大会が充実している時期だと思います。であればこそ、KACやBPLとは違った新しいルールを模索するチャンスとは言えないでしょうか。

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