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『全てを手にした人』に会ったことがない。

あなたは「全てを手にした人」に会ったことがありますか?
私は37年間生きてきましたが、未だに会ったことがありません。

人生において、幸せとは何か?
幸せな人生を送る上で、大切なことは何か?
人は、何を手にするために生きるのか?

地位・名誉・財力・権力・人望・健康・家族・愛・時間etc…

約20年前、大阪の北新地、座ると最低でも5万は下らない高級クラブで働いていた。
お客様は、ほとんどが大企業の会長さんや社長さん、芸能関係者、アスリートなど一流で、かつ華やかな世界で活躍されている方ばかりだった。
そんな方々のお話は、18歳の私にとって刺激的で、特に社長さんの苦労話などは今でも記憶に深く残っていて、今の私の価値観にも大きく影響している。

いつも大人数を従え来店される、ある大企業の社長さんは一度お会いしたら忘れられないくらいのユーモアな見た目の方で、社長さんなのに全く偉そうな態度をとらない。
ホステスからもあだ名で呼ばれていて、親しみやすく、何とも懐の厚い素敵な方。
その方の奥様が、新地の元ホステスだと知り、その結婚秘話を伺ったことがあった。
「いやぁ、ホステスを嫁にもらうのは大変やで。」と切り出されたので、私はてっきり、落とすことに苦労したのだと解釈していたが、その方の言う“大変”というのは、ホステスと結婚することに対する“しがらみ”や、“世間体”での苦労だったそう。

やはり、世間一般的にホステスという職業は、良い印象にないということ。
男性に媚を売る商売、金銭感覚がズレている、枕営業疑惑など、ホステスの印象は華やかな世界だからこそ、こういったイメージを持たれることが多い…

そんなイメージのホステスを大企業の社長さんが結婚相手に選ぶとなると、身内をはじめ、社内や関係各所からも理解を得ることは難しかったはず。
だが、その方は自分の思いに正直に進み、その選択で失った仕事案件もあったし、親とも疎遠になってしまったと話された…。
そして「人生、全てのモノは手に出来ない。何かを犠牲にしないと手に出来ないモノ(人)なら、喜んで地位も名誉もお金も捨てる。その覚悟がないと、ホステスと結婚なんで出来ないってこと。」と笑って話してくれた。

その方の話を聞いてから、お客様をみる私の目が変わった。
改めてお客様一人一人を見ると、誰一人として、全てを手にした人は見つからなかった。

いくら地位や名誉やお金を持っていても、満たされず日々、自分の持ってないモノ(愛)を追い求める人。
テレビで見ない日はない、人望も名声もある方の、あの寂し気な後ろ姿。
誰もが羨む財力があるが故、人を心から信用できない闇と孤独を抱え生きる人。
私たち2人は唯一“親になる”という経験が叶わなかったと、夫婦関係も良く、何不自由なく順風満帆に生きてきた人。


そういった方々を見てきた私なりの価値観。
地位・名誉・財力・権力に、私は何の魅力も感じない。

全てのモノを手に出来ないのなら、あなたなら何を手放しますか?
私は財力と権力を手放す代わりに、家族と信用は手にしておきたい。


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